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ドクターストップの反対 / 私は売り子さんになる
一部の高齢者の方々にとって、特養は刑務所だという悲しい気づきがあって落ち込んだ。
介護の方々がこんなに頑張っているのに、所詮ブラックなのか・・・と。
ところで、少なくとも介護や看護に関しては、”気づき”や”学び”というのは、直接現場で関わっている人にしか降って来ない。それを上澄みだけ盗んで大舞台で講演している偉い人を見て、「は?嘘でしょ?」と呆れて、その後、どよーん・・・。スケールが小さい世界だなあ。
しかし、そういう扱いを受けている職員は職員で、いつの間にか自分までもが同じようなエネルギーを持つようになってしまうらしく、ご利用者様へのあたりがきつい。極端に言うと昔、実話をもとに映画化された「es」の看守と囚人のように。
もちろん、持病があるからお菓子を山ほど食べちゃいけないってのはある。ある程度管理しなければならないのは仕方ない。
でも「さっき食べたでしょ?!」ときつく言えば「なんで自分の子供の差し入れを好きに食べちゃいけないんだよ!」と、相手も腹が立つに決まっている。
なんてことを先生にぼやいたところ「1日くらい沢山食べたってどうってこことないわよ。」というお言葉。
この配置医の先生は、いつもいつも「限られた特養という条件下で、あなた方は、この施設は、本当によく頑張ってやってる!」と嘘でなく心から褒めて下さる。
私がぼやいている姿をじっと見ていたかと思うと、先の言葉をかけてくれてた。
もちろん、一人一人の採血データーを見てくれての上だ。
一瞬、無言で先生の顔を見つめていた私だが、次の瞬間、笑いがこみあげて来るのを我慢出来なかった。
「口角があがっちゃってるよ。」と言われ、先生もつられて笑ってた。「なんか、楽しいこと思いついたんだね。」
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「売店もないのかい。ほんとにつまんないところだねえ。」とボヤいている老婦人の顔が思い浮かぶ。
売店を作りたいという小さな起案すら、その昔却下されたので、私も一緒に項垂れていたものの。
皆が食べたいお菓子、食べたいバーガーやサンドイッチの種類を、私は知っている。
車の調子がどうにもこうにも悪くて、廃棄処分になる前の回診車が地下に眠っている。あれを素敵なワゴンに仕立てよう。
お菓子やパンやバーガーや、飲み物、家族に手紙を書くために欲しいと言っていた可愛いレターセット、趣味の編み物のためにいつも毛糸を欲しがっている人もいた。色鉛筆を欲しいという人もいるし、アイス食べたいとか言う人もいる。
音楽をかけながら、ワゴンを可愛くバラエティーにしたてて、施設中を練り歩こう。車内販売のノリで。
時刻は、皆の心が寂しくなり、不定愁訴が勃発する時間帯 午後4時頃からにしよう。
ご利用者さんの辛い気持ちを聴いた時は、泣きそうになった。こんなに頑張って来たのに、刑務所だったなんてと。
もう辞めたいと思うことは何度もあるし、この先も分からない。
でも、もう少しだけ、出来ることがあるような気がする。
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良し、元気 出てきた。
そして 飲み過ぎた。だめじゃん。(今日も)