酷暑 / わずか数メートル
既に昨年の夏に味わったことなのだけど、通勤が暑い。
降りた駅から施設までの道が地味な上り坂。
本当に毎日暑い。
こんな日々に気になるのは施設に住まう高齢者の方々の水分量。
冷房が効いているとは言え油断ならない。
飲んでくれない人になると、もうありとあらゆる飲み物を並べる私。
イオンジュースにカルピスにお茶に珈琲にあとそれから・・・ノンアルビールでもいいぞ。とにかく飲んで下さい。
しかし、てこでも液体を飲まない認知症の人が居て悩んでいたところ、ご家族様に訊いてみることにした。好きな飲み物は何?
答えは大納言しるこだった。
飲むか!そんなもん!
・・・・・・・・・。飲むんだな。これが。この暑いのに。炭酸でも何でもなく。
ある人は甘酒。嘘でしょ。
もちろんそればかりだと困るのだけど、それをきっかけに他の飲み物を飲むようになってくれたりもする。
私たちにとっても厳しい夏。
中にはとうとう点滴する人も現れるが、何でもいい。とにかく生き延びて欲しい。生きていた方が良いよ。私が証明する。
***
今日は今使用している単発派遣の人件費一ヶ月分の予想を立ててみた。一日に、3時間枠の人が二人と8時間枠のロングの人が一人。一か月で60万と少々。とりあえずは乗り切れそうだ。リピーターも増えて来た。
何故だか単発派遣の方々に人気の施設なのだという。新しい人がなかなか居着かない施設だと思っていたのに、分からないもんだね。
「課長さんはもうどれくらい居るの?」と訊かれて、今月末で一年と答えて驚かれる。「皆さん、そんなに新しいんですか?」
いえいえ、他は施設長と私、そして我らが介護主任のKちゃんは新しいけど、他は化石のように古い古参ですよ。それが今変わろうとしている。
段々施設に笑い声が増えて来た。私の眉間の皺は濃くなっていそうだけど。
***
この暑いのに、うちの猫の坊やの方が、どうしても玄関の外に出たいという。廊下の向こうまで行って戻って来るだけだったが、楽しそうだった。
満足したのか、それとも「暑いってのは本当だったんだな。」と納得したのか。
とりあえず今日も皆元気である。
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