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ライター・編集者 北川由依さん - インタビュー #11|turning point

今回お話を伺った方
北川由依さん:ライター・編集者

<北川さんのターニングポイント>
21歳 札幌の会社にインターンで勤める
26歳 ライターの仕事を始める
27歳 京都に移住

ニシグチ:まずは学生時代のお話から聞いていきたいんですが、出身は三重なんですよね?

北川さん:はい、三重の松阪です。高校卒業まではそこですね。

ニシグチ:三重だと進学や就職の時、どのあたりが視野に入ってくるんですか?

北川さん:名古屋、大阪、東京あたりが多いですけど・・私は北海道の大学に入りました。

ニシグチ:飛びましたね(笑)なんで北海道だったんですか?

北川さん:経営を学べる国立で探していて、父が北海道を勧めてきたので北海道大学にしました。北大は父が行きたい学校だったんですよ。あと、札幌は修学旅行で行ったこともあったので。

ニシグチ:へぇー!僕はずっと高槻にいるので、こういう話を聞くと見知らぬ土地に行っていきなり1人暮らしするってすごいと思います。

北川さん:なんとなく、どこであっても高校を出たら1人暮らしをするものと思っていたので。

ニシグチ:そうなんですね。で、北海道はどうでした?

北川さん:良かったですよ。大学は札幌市内にあったんですけど、最高に住みやすかったです。大学も札幌駅も徒歩5分くらいの場所に住んでいたので便利でしたし。大学の敷地内も自然豊かで、馬や牛もいましたからね(笑)

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ニシグチ:さすが北海道・・。

北川さん:学生時代は勉強せずにラクロスばかりしていました。それから就職活動の時期になって、最初は三重に帰ろうと思っていたので名古屋あたりで探したんですけど、入りたい会社がなかったんですよ。いろいろ受けているうちに社長の顔が見えないとか、規模が大きすぎる会社は向いていないとか気づきました。で、だんだん中小企業やベンチャー企業を受けるようになって、10人以下の会社に行き着いたんですよね。

ニシグチ:それに自分で気づいたのがすごいです。希望の職種とかはあったんですか?

北川さん:最初はなかったんですけど、だんだんと街に関われるような仕事がしたいと思うようになりました。でもそういう会社が当時はなかなかなくて。インターネットで必死に探して東京のNPO企業を見つけたんです。そこが地域の中小企業の企業支援や、学生が中小企業の経営者とともに期間限定の社員としてプロジェクトに取り組む実践型インターンシップの事業をしていて。そこから辿って札幌のコーディネート機関を見つけ、働くことになりました。インターンから始めてそのまま就職した感じです。

ニシグチ:自力で見つけ出したんですね。そこではどんな仕事をしていたんですか?

北川さん:最初は大学生向けのインターンシップのコーディネートの仕事です。そこからだんだん農業プロジェクトの担当になって、大学生向けの農家インターンシッププログラムをつくる事業を立ち上げることになりました。その中で農家とのネットワークが広がり、その後流通事業を立ち上げるために全道を回って農家開拓をし、商品企画や流通の仕組みづくりをしましたね。

ニシグチ:全道って・・北海道ってめちゃくちゃ広いんでしょ?なかなか大変だったんじゃないですか?

北川さん:そうなんですよ。しかも新幹線はないから、夜行バスで0泊3日みたいなハードな出張が多くて。月の1/3がそういう出張だったので3年目くらいに体を壊したんですよね。

ニシグチ:それは辛い・・

北川さん:この時代にやらせてもらった仕事が今に繋がっているし、良い出会いもあったり面白いプロジェクトも知れたりして良かったんですけどね。札幌にも10年近く住んで満足していたので、次の場所へ行きたいと思うようになりました。

ニシグチ:え、そこからどこへ行こうと考えたんですか?

北川さん:やっぱり三重に帰りたかったんですけど・・10年離れていたので地元のことがわからなすぎたのと、それまで北海道でやってきたような仕事が見つけられなくて。で、先を模索しつつライターの仕事を始めました。

ニシグチ:おっ、急に来ましたね。これはターニングポイントじゃないですか。ライターを選んだのは、書くことが好きだったからとか?

北川さん:全然好きじゃなかったです(笑)家で育児をしていて時間があったのと、自宅にいながら発信できるから、子育てしながら無理なく働けるかなって。だからクラウドソーシングとかで仕事を探したり、WEBメディアの「greenz.jp」にも応募したりして書くようになったんです。それと前職で中小企業や農家のところへも行っていて、面白い人たちが各地にいることを知っていたので「もったいない、伝えたい」という思いがあって。「greenz.jp」はもともと読んでいて伝えたいことが書けると思ったので・・だからライターになった感じですかね。

ニシグチ:伝えたいことがあったからということなんですね。でもいきなりライター職を始めて仕事って取れるものなんですか?

北川さん:それが結構すぐ取れたんですよ。顔の見えない仕事はやりたくなかったので、最初から取材のある記事に応募していたのが良かったのかもしれないです。電話取材でできる求人広告の記事を書く仕事をするようになったので、すぐに稼げるようにもなって。それで急いで再就職しなくてもいっか、と思うようになりました。

ニシグチ:素晴らしい・・。そして移住計画はどうなっていったんですか?

北川さん:東京の知り合いの社長さんが雇ってくれるという話や、埼玉の会社を紹介してもらう話など色々あったんですが、どれも直前でうまくまとまらず・・だけど札幌の家は解約手続きをしてしまったので引っ越さなきゃいけなくて。夫と「何のツテも無くなった今、どこに住みたい?」という話をしたら、2人とも京都で一致したんです。それから1ヶ月後には京都にいましたね(笑)

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ニシグチ:急!(笑)旦那さんは北海道の人ですか?ついてきてくれる人で良かったですよね。

北川さん:はい、北海道の人なんですけど。良かったです(笑)

ニシグチ:そして縁もゆかりもない京都へ引っ越してきて・・どうですか?合っている感じはします?

北川さん:そうですね。京都は自分のペースで自分のサイズで生きていける街というか。コミュニティーや関係性の深さがあるから自分らしいペースで仕事ができると思います。良い意味で都市っぽくないんですよ。そういうところがハマった感じですかね。

ニシグチ:それは良かったですね。でも1からのスタートで、仕事はどうしたんですか?

北川さん:相変わらず求人広告も書いていましたし、「greenz.jp」でも書いていたので仕事はそれまでと変わらずできたんですよ。夫も専門職なのでどうにでもなったし。あとツイッターやFacebookで声をかけてもらえたり、京都はコワーキングスペースもたくさんあるので。そこで紹介してもらえたりですかね。営業活動はしたことないんですけど、ありがたいことに広がってきています。それと、京都に来たら「greenz.jp」を知ってる人がたくさんいて、そこで書いていることが信用になったというか。「greenz.jp」は大きかったですね。

ニシグチ:なるほど。それまでの積み重ねが効いてきた感じですね。
今の仕事内容って移住当時と比べて変わってきていますか?

北川さん:最初はやっぱり求人広告の方が多かったんですけど、インタビュー記事を書きたかったのでだんだん割合を変えていき、移住後しばらくして求人広告は辞めました。ライターとして初めは地域のプロジェクトに関わることや食関係が好きだから書き始めたんですけど、書く理由をもう少し掘り下げないと書き続けられないと思うようになったんです。自分は何がしたいんだろうって、どのような仕事に就いていても皆考えることだと思うんですけど。で、例えば飲食店の取材なら情報取材ではなく、なぜこの店が作られたのか、店主がどんな人生なんだろうかということを書きたいなと気づいたんです。街に関わりながら生きている人に興味があるんだと。

ニシグチ:それ、すごくわかります。掘り下げるって大事ですよね・・。自分の核というかテーマを見つけたんですね。

北川さん:そうですね。今は「誰もが自分らしい選択ができる環境を作りたい」というテーマで記事を書いたり仕事をしています。

ニシグチ:それをしっかり言葉にできるのがいいですよね!今は自分らしい働き方ができている感じですか?

北川さん:はい。今は雇用形態だけでいうと、週の半分会社員でその他の日はフリーランスなんです。出社義務がなく完全リモートなので時間も場所も自由なんですけど。

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ニシグチ:へぇー!僕と似たような感じですね。どういう経緯でそこに入ったんですか?

北川さん:もともと業務委託でライター業務を請け負っていたんです。でも書くだけではなく、少しずつ会社の広報やプロジェクト運営も手伝うようになっていたのもあって、下の子が保育園に入ったのを機に入社しました。今で言うインハウスエディターみたいな立ち位置ですかね。

ニシグチ:書くだけでなくというのは・・どうやってライターの枠を超えて仕事の幅を広げていったんですか?

北川さん:うーん・・そもそも手離れの良い仕事をしてこなかったんですよね。間に代理店が入っていると段取りが組まれて取材に行って書くだけでいいけど、そういう仕事はほとんどしていないんですよ。「こういう悩みがあって記事を作りたいんですけど・・」というふわっとした依頼が多くて、ヒアリングから企画、執筆と一通りやっていたので。好きな人たちと中長期で仕事をできるよう、記事を書くだけの単発的な関わり方ではなく、編集や企画、メディア運用の会議に参加するなど継続的な関わりを模索してきました。

ニシグチ:なるほど・・。でもその方がやりがいもありそうでいいですよね。最後に今後の展望を聞いてもいいですか?

北川さん:今後はサービス紹介や採用サイトなどコーポレート系のライティング仕事をもっと増やしていきたいですね。事業を立ち上げる時にコンセプトを考える、全体の言葉のディレクションをするみたいな上流工程から関わっていきたいです。私がいることによってサービスや会社をより知ってもらえたと言ってもらえる人になりたいんです。会社の内部でチャレンジしながら、フリーとしても外部から企業に関わっていけたらなと。京都には良い会社がたくさんあるから、面白い人たちと一緒に楽しく仕事をしていきたいです。

それと、様々な社会課題に取り組むNPOや企業の取材をする中で、いろいろと考えさせれています。自分のやっていることは良い部分だけを扱っているんじゃないかって・・世の中の課題はあまりに複雑に絡み合っていて、自分だけではどうしようもないし、あまりに無力だなって思うんです。だからこそ、私一人の力は小さいけど、チームを作って、何かしら取り組みたいなと思っています。まだ何も決めていないのですが(笑)自分と身の回りは幸せにできるようになったからこそ、次はどうしようかなと。踏み込んだところに入っていきたい気持ちがありますね。

ニシグチ:いやぁ、そこまで考えられているんですね。北川さんの今後も楽しみです。今日はいろいろなお話が聞けて本当に勉強になりました!ありがとうございました。

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話を聞いた人:上司ニシグチ
撮影&ライティング:UNO
バナーデザイン&記事編集:秋山楓

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<取材を終えて>
北川さんとは一度、とあるセミナーでご一緒したことがあり、今回でお会いするのは2度目となりました。当時はセミナーの懇親会で名刺交換をして、少しお話しただけだったのですが、お話したときはとても明るくて「ザ・動けるライターさん」といった印象があったので、今回はすごく楽しみに京都まで足を運ばせていただきました。お話の中で特に印象に残っているのは、"自分の仕事が社会の役に立てるかどうか"という軸をもって、これまで仕事をされているというところでした。そこに合わせて住む場所や受ける仕事を選ばれているというのは、とても興味深いお話でした。何より、仕事に向き合う姿勢がとても素晴らしい方で、本当に勉強になりました。

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