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デジタル人材の不足を解消するなら、初等中等教育における教育課程の見直しや指導人材の確保が急務!

情報教育支援プラットフォーム ELDI(エルディ) 事務局員の寺西です。

教育開発研究所から『教育改革を問う』という書籍が刊行されています。
本文中に、”「技術」教員の不足は「危機」”という小見出しで、次のような文章が掲載されています。

 この後の審議のなかで、何人もの委員から、中学校の技術科の教員の採用や応募の少なさから来る問題などについて、「危機感を持つ」という発言が相次いだ。なかには「小手先では超えられない」といった発言さえあった。
 教員不足は教育界の構造的な問題をはらんでいる。高校の「情報」科は必修化されて20年近いのに、専任教員が極端に少ないままのようで、腰が定まらない状態だ。
 大学入試センター試験に替わる大学入学共通テストには将来、「情報」も導入される見通しになっているから、今後、変化が期待できるのかもしれない。
 しかし、この情報教育を中学校で担う「技術」科の教員の採用も応募も少なく、養成課程のない地域も存在するという。

教育改革を問う

上記をご覧になって「?」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。はい、この文章は、月刊誌『別冊教職研修「学校管理職合格セミナー」』2018年10月号に掲載された巻頭コラム「教育界最新論争点」、タイトル「先生が足りない!?」の再掲です。
つまり、このnoteの執筆段階より4年以上前のものです。

中学「技術」や高校「情報」の採用が進まない大きな理由の一つは、標準授業時数の少なさにあると筆者は考えます。
中学「技術」分野は、教科「技術・家庭」で定められた70時間(中1・2それぞれ)、35時間(中3)の半分の時間数、高校「情報」は3年間で70時間しかなく、授業時間数により定められる教員定数に従うと、各自治体が採用し、各学校に配置する「技術」や「情報」の教師の人数に制限ができるのが実態なのです。
※「技術」は中1・2は毎週1時間、中3は隔週で1時間、「情報」は高校のどこかの学年で週2時間、というのが実態です。

結果として、各学校に1人、ないしは他の学校と兼任でこなしている教師がたくさんいらっしゃるのが、中学「技術」、高校「情報」の領域です。

これでは、各自治体は、積極的な採用をどうしても避けてしまいがちになりますし、そのような採用状況で、「技術」「情報」の先生になりたい!と積極的に思う若者の数は必要以上に限られてしまいます。。。

そして、2018年に上記のコラムが出るほどであるにもかかわらず、国家として有効な打ち手をまだ打てていないと感じます。

教育改革を問う』には、上記引用箇所から下記のように続いています。

この状態を放置したままで、諸外国と対抗するだけのAI(人工知能)人材の決定的な不足を嘆くのは、ちぐはぐ過ぎて、まさに危機的ではないか。特別免許状の制度を使うなどして、外部人材を早急にかつ積極的に活用する時代がきている。

教育改革を問う

デジタル人材の不足を解消したいのであれば・・・
“高校「情報」や中学「技術」の先生が足りない!なんとかしろ!”
と叫ぶだけでは解決しない
、と心底(国家として)理解し、そして、初等中等教育における教育課程の見直しを含めた指導人材の確保が急務であると思いませんか?

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