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福岡のまちのための『ウォーカブルシティ入門』ーPART1「ウォーカビリティがなぜ重要か」
Plat Fukuoka cyclingは福岡のまちがBicycle Friendlyなまちになるために活動しています。今回は『ウォーカブルシティ入門ー10のステップでつくる歩きたくなるまちなか』(ジェフ・スペック著、松浦健治郎監訳、学芸出版社)をなぞりながら「Walkable」と「Bicycle Friendly」の関係について連載します。
日本のウォーカブル政策について
ウォーカブル政策は、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出を掲げ、行政による車道の一部広場化等の取組みに併せて、民間事業者等が行うオープンスペースの提供、建物低層部のオープン化等による賑わい空間の創出を目指した官民連携でのメニューを都市再生特別措置法という再開発志向だった法律の中に加えられた制度です。
ウォーカブル政策は国土交通省の都市系の部署での制度ですが、同じ国土交通省の道路を扱う部署も連動して「2040年、道路の景色が変わる」と題して、道路の将来像を描いており、国が縦割りを超えて取り組んでいる政策としてまちづくり分野では注目の政策です。
まず、本書の第1章にあたるPART1「ウォーカビリティがなぜ重要か」から読み解いていきます。
ウォーカブルシティ・ウォーカブル政策の本質について
著者のジェフは「ウォーカブルシティ(歩きたくなる都市)」について、
「ウォーカブルシティ(歩きたくなる都市)」とは、単なる理想論ではないということである。それは、私たちの社会が直面している多くの複雑な問題、すなわち、我が国(アメリカ)の経済競争力・公共の福祉・環境の持続可能性を日々損なっている問題に対する、シンプルで実践的な解決策である。だからこそ、本書はデザインの専門書ではなく、権力に対する本質的な呼びかけである。
と述べ、単に歩行者が歩きやすい歩道まちづくりではなく、経済や福祉、環境面の包括的な戦略を目指す都市思想であるといえます。
日本のウォーカブル政策の策定に関わった東北芸術大学の馬場正尊氏も、ウォーカブル政策の本質について、下記のように指摘しています。
「ウォーカブル政策の本質は、ただ人々を街に歩かせることではない。それはあくまでも手段。上記の懇談会(ウォーカブル政策策定の懇談会)で中心的に議論されたのは、いかにして都市の生産性をあげていけるか、ということだった。これは単に街路沿いの商店の売り上げを意味するのではない。都市全体としての生産性のことである。」
都市の生産性とは、その都市での経済活動がどれだけの人間で行えているかということです。この点を人口増加率と所得の関係で田鹿倫基氏が興味深い記事を書かれています。
人口増加傾向の主に大都市は、全体の労働人口もある程度供給されるため、仕事の生産性向上や、よりよい人材獲得のための給料の引上げのトレンドが生まれにくいという指摘です。
ここから先は福岡市の都市の生産性の現状となぜ福岡(市)において、ウォーカブルシティが重要なのかをお示していきます。
福岡市の都市の生産性とウォーカブルシティの重要性
人口の増加傾向が続いていた福岡市(2020年国勢調査:約161万人)ですが、主に市民税を納める生産年齢人口は既に2010年の99万8千人をピークに減少傾向となっています。
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