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朝からストリート・オブ・ファイヤー


俺のブログは稚気に溢れ、何も意味はない。
それが“絶対的オリンピック反対論“であろうとも、決して重要ではない。

「夕方、私に会いにマリイが来ると、自分と結婚したいかと尋ねた。私は、それはどっちでもいいことだが、マリイの方でそう望むなら、結婚してもいいといった。すると、あなたは私を愛しているか、ときいて来た。前に一ぺんいったとおり、それには何の意味もないが、恐らくは君を愛していないだろう、と答えた」

「『じゃあ、なぜあたしと結婚するの?』というから、そんなことは何の重要性もないのだが、君の方が望むのなら、一緒になっても構わないのだ、と説明した。それに、結婚を要求してきたのは彼女の方だから、私の方はよろこんでこれを承知したわけだ」

「すると、結婚というのは重要な問題だ、と彼女は詰め寄ってきたから、私は、違う、と答えた」

ー カミュ『異邦人』

そう。重要なのはもっと別の事柄なのだ。
なのでストリート・オブ・ファイヤー。

https://youtu.be/Yub3-Ow7tBs

アメリカの、とある架空の街。
地元出身のロック歌手エレン・エイム(ダイアン・レイン)が凱旋公演を行う。それをストリートギャング集団・ボンバーズが拉致する。
エレンのファン、リーヴァ(デボラ・ヴァン・フォルケンバーグ)は長き放浪から帰ってきた弟トム(マイケル・パレ)に助けを求める。トムはかつて、エレンと恋仲だったのだ。

エレンが歌手になるために、心ならずも2人は別れた。陸軍上がりの女性兵士マッコイ(エイミー・マディガン)、そしてエレンのマネージャーであり今の恋人ビリー(リック・モラニス)と共に、トムはエレンを救出する。

エレンはトムが、金のために自分を救ったのかと訝る。しかしトムがビリーから謝礼を受け取らなかったのを知り、2人の間に再び恋の炎が燃え上がる。焼けぼっくいに火がつく。

いっぽうエレンを取り返され、面子を潰されたボンバーズの首領レイヴェン(ウィレム・デフォー)は一味を率いて街を襲撃しようとしていた・・・

ウォルター・ヒル監督が描く「現代の西部劇」。ロックンロールのお伽噺で彼が得意なアクションものだが、実は人ひとり死なない。
1984年度、キネマ旬報第1位。

画像悪いがボンバーズのアジトにおける、One Bad Stud.

https://youtu.be/Dra6gpjJG4I

エレンを奪い返した帰途、売れないドゥワップグループと知り合う。
追撃激しい逃避行。このモチーフは以前、拙『宝塚構想 ー タンザナイト(キリマンジャロの夕暮れ)』に表したところ。そこで希望が溢れるのだ。
音楽で。

https://youtu.be/P5FLjAs2nQI

彼らソレルズはエレンのバンドに雇われる。
◆I can dream about you

https://youtu.be/2gefPJ3unLg

レイヴェン襲来。トムとタイマンを張り、トム勝利す。
しかしトムはしょせん流れ者。エレンがロックンロールを続けるためにも、今の恋人ビリーに彼女を託し、トムは去ってゆく。

https://youtu.be/szyh2zUwFKs

「そのとき、なぜか知らないが、私の内部で何かが裂けた。私は大口あけてどなり出し、彼(司祭)をののしり、祈りなどするなといい、消えてなくならなければ焼き殺すぞ、といった。私は法衣の襟首をつかんだ。喜びと怒りの入り混じった慄きとともに、彼に向かって、心の底をぶちまけた」

「君はまさに自信満々の様子だ。そうではないか。しかし、その信念のどれをとっても、女の髪の毛一本の重さにも値しない。君は死人のような生き方をしているから、自分が生きているということにさえ、自信がない。私はといえば、両手はからっぽのようだ。しかし、私は自信をもっている。自分について、すべてについて、君より強く、また、私の人生について、来るべきあの死について。そうだ、私にはこれだけしかない」

「しかし、少なくとも、この真理が私を捕らえているのと同じだけ、私はこの真理をしっかり捕らえている。私はかつて正しかったし、今もなお正しい。いつも正しいのだ。
私はこのように生きたが、また別の風にも生きられるだろう。私はこれをして、あれをしなかった。こんなことはしなかったが、別のことはした。そしてその後は?」

「私はまるで、あの瞬間、自分の正当さが証明されるあの夜明けを、ずうっと待ち続けていたようだ。何ものも何ものも重要ではなかった。

そのわけを私は知っている。これまでのあの虚妄の人生の営みの間じゅう、私の未来の底から、まだやって来ない年月を通じて、一つの暗い息吹が私の方へ立ち上ってくる。その暗い息吹がその道すじにおいて、私の生きる日々ほどには現実的といえない年月のうちに、私に差し出されるすべてのものを、等しなみにするのだ」

「他人の死、母の愛 ー そんなものが何だろう。いわゆる神、ひとびとの選びとる生活、ひとびとの選ぶ運命 ー そんなものに何の意味があろう。ただ一つの宿命がこの私自身を選び、そして、君のように、私の兄弟といわれる、無数の特権あるひとびとを、私とともに選ばなければならないのだから」

「君はわかっているのか。いったい君はわかっているのか? 誰もが特権を持っているのだ。特権者しか、いはしないのだ。他のひとたちもまた、いつか処刑されるだろう」


真に重要なのは、こういうことなのだ。

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