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”今の東京”を様々な視点で切り取る。 / 「ENCOUNTERS」展 @ANB TOKYO。(展覧会レポ)

webメディア「ナンスカ」で、六本木にオープンした新しいアートコンプレックス「ANB Tokyo」の紹介記事を書きました。

■ 六本木にオープン。予期せぬ「遭遇」から化学反応を引き起こす新しいアート複合施設「ANB Tokyo」

11月8日(日)まで、オープニング展示として、4つのフロアで異なるキュレーションの展覧会「ENCOUNTERS」展を開催中。盛り沢山でカオス(?)な展示で、記事の中では個々の作品にまで詳しく触れられなかったので、気になった作品をもう少し個人的な視点で書きたいと思います。

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六本木交差点付近に誕生した「ANB TOKYO」 外観

7F:SOURCE/ADIT: Studio TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH

個人的にとても良かったのが、”TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH”の展示。写真家・小山泰介さんとキュレーター・山峰潤也さんを中心に、写真家、現代美術家、建築家、メディアアーティスト、音楽家、デザイナー、プロデューサー、編集者など20名超のメンバーによるプロジェクト。

そのなかの作品のひとつ、顧剣亨さんによる《Roppongi Hills Mori Tower_1》。

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《Roppongi Hills Mori Tower_1》/ 顧剣亨
(先日、六本木蔦屋書店で開催された「TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH展」でも目を引く作品でした。)

巨大な写真だけれども、布のような織り込んだ繊維状にも見える作品。顧さんが「デジタルウィービング」と名付けたという、複数の画像から画像編集ソフトで1ピクセルずつの取捨選択を繰り返した作品。壁一面を覆う巨大な作品でありながら、1ピクセルずつ、縦糸と横糸を絡ませるように、気の遠くなるように景色が”編み込まれて”います。

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こちらの作品は、六本木ヒルズ森タワーの展望台から4つの方向に向かって撮影した4枚の写真を重ね合わせたものだそう。東京のどこかにありそうで、どこにもない風景。亡霊のようにも見えるビルは、スクラップアンドビルドが進められる東京の様子を表しているようにも見えました。

このほか、いくつかの視点(もしくは時間?)から見た風景が入れ子になり交錯する永田康祐さんの作品(昨年のあいちトリエンナーレの中でもとても印象的な作品でした。)、きらびやかな夜景を絵筆でなぞるようにして豹変させていく小林健太さんの作品も印象的でした。

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《Post Production-1》《Post Production-2》 / 永田康祐

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《Purple Lights #smudge 》《Shibuya Hikarie #smudge 》《Blue Sky and Cherry blossoms  #smudge 》 / 小林健太

小林健太さんは、先日テレビ朝日ではじまった番組「アルスくんとテクネちゃん」の初回でも取り上げられていました。(番組時代は数分ですが、webのインタビューが充実しています。)

4F:楕円のつくり方

こちらのフロアでとにかく目を引いたのは、機械で絵を描く作品などを手がけるやんツーさんとグラフィティをベースとした作品を手がけるNAZEさんの共作のドローイングのシリーズ。

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《船の上で地図を描いている》/ やんツー、NAZE

やんツーさん台車のようなドローイングマシーンにNAZEさんが乗ってスプレーでグラフィティを描きながら、ドローイングマシーンもスプレーを吹き付けて描く《船の上で地図を描いている》。

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《船の上で地図を描いている》/ やんツー、NAZE
ドローイングの様子は映像で見ることができました

そして、機械学習によって作成された”仏像”の絵の上に、NAZEさんのスプレードローイングが描かれた作品シリーズ。人間が描くことと機械が描くこと、それが曖昧になっていくというか、意味をなさなくなるようにも思える作品でした。

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先ほどの永田康祐さんとやんツーさんは、こちらの会場ちかくにある、21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」でも趣の異なる作品を展示中。ぜひこちらも併せてどうぞ。

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3F:NIGHT LIFE 展示の様子

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6F:And yet we continue to breathe. 展示の様子

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こちらのスペースを運営するのは一般財団法人東京アートアクセラレーション。

共同代表のひとり、山峰潤也さんのキュレーションされた水戸芸術館での「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」展は、わたしにとってかなり衝撃的な展示で、セシル・B・エヴァンスやヒト・シュタイエルという名前もこの展示で初めて聞いたし、今回の展示にも出展されていた谷口暁彦さん、小林健太さん、そして特にエキソニモにはこの展覧会で完全にハマりました…

(今見るとすごい書き出しで書いてますが…汗)

3年間限定で運営されるというこちらのスペース。今後、どのように展開されていくのか目が離せません。

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【展覧会情報】「ENCOUNTERS」

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会場:ANB Tokyo 3F, 4F, 6F, 7F (港区六本木5丁目2-4)
会期:2020年10月11日(日)~11月8日(日)
時間:12:00〜20:00(入場は19:30まで)
休館日:月・火
チケット:一般:1000円 中・高・大学生:入場無料 ※受付にて学生証要提示
入場方法 Peatix(事前予約制)
入場規制 10名/毎30分程度
10/11(日)〜10/18(日)入場分チケット
10/21(水)〜10/25(日)入場分チケット
10/28(水)〜11/1(日)入場分チケット


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ぷらいまり。
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