2024年入試について
2024年入試の振り返り
2024年2月に行われた入試は、例年とは異なり、判例ではなく書籍からの出題でした。2024年分過去問の配布がないのは、院も「著作権等の関係上、配布は行いません」と言っているとおり、こういった理由からです。
出題された書籍は、「碧海純一著『法と言語』(日本評論社、1965)」という少し古い書籍ですが、大学院の講義の民法研究で毎年使用されていた、法解釈にまつわる書籍です。
大学院で執筆する税法に関する論文は、「立法論ではなく、解釈論であれ」とされる東亜大学大学院においては、避けては通れない基礎的な内容であり、入試で取り上げられたのも当然のことかもしれません。
例えば「白い犬」という言葉で、万人の人が同じ「白い犬」を思い浮かべられるでしょうか?「尾だけが白い犬」かもしれませんし、「白い犬」だけでは、「大きな犬」かも「小さい犬」かもわかりません。法の解釈は、万人が同じイメージを持たないといけないのです。ただ、日本語は特に、なのかもしれませんが、いろんなとらえ方があり、それを解釈論でなるべく万人のイメージが同じになるようにするといったことが必要です。それがまさに法律論文の役割であるといえます。
非常に簡単に説明を書いてしまいましたが、入試の内容としては、今後もこの傾向が続くかもしれませんし、以前のように、判例を中心とした出題に戻る可能性ももちろんあります。また、民法の森嶌先生が亡くなったことで、出題が民法分野でなくなる可能性もあります。
しかし、内容が変わるだけで、やることは同じであると私は考えています。
論文を書くために、指導がしやすい人、指導内容の理解ができる人、ある程度の文章が書ける人が求められているのは当然であり、出題内容が、書籍なのか、判例なのかはあまり変わらないのです。
というのも、修士論文を書くにあたって、判例を取り上げるのはもちろんですが、書籍も取り上げます。
判例も書籍も、自分の書きたいことの後押しをしてくれるような内容になるよう取捨選択をし、煮詰めていきます。
似たようなことを入試でやらせて、そこそこの文章が書ける人を選別する試験ということです。
もちろん、限られた時間内でできることは知れていますが、それでも、こいつはできる!と思わせるような文章を書くことは可能です。
判例に偏った指導のみ受けた方は、2024年の試験は非常に面食らった内容であり、大変だったのではないかと思います。
2024年入試の過去問チャレンジを考えている方へ
さて、2024年の過去問にチャレンジされる方にお願いです。
「碧海純一著『法と言語』(日本評論社、1965)」を見つけてきていただきたいのです。
古い書籍であるため、2024年9月29日現在Amazonで購入はできません。
(メルカリはひょっとしたらあるかもしれません。)
しかし、図書館にはあります。もちろんどこの図書館にもあるというわけではありません。古い書籍ですし、専門書は、見つけるのが大変です。
論文を書くにあたって、非常に大事なのは「必要な文献を手に入れること」なのですが、これの練習だと思ってぜひやっていただきたいと思っています。
探すのに便利なサイトはこちら。
「サイニィ」と読むそうです。
検索窓に「碧海純一 法と言語」と入力すると、下の方に該当書籍が出てきます。
ここを見ていただくと、この書籍を所蔵している図書館のリストが確認できると思います。多くが大学の図書館ですが、国公立である方が、行きやすいはずです。お近くの図書館があるといいですが、どうしても見つからない場合は、国立国会図書館がコピーして送ってくださいます。
大学の図書館も、国立国会図書館も、論文執筆ではお世話になりっぱなしの図書館ですので、今から利用を始めるのは無駄ではありません。
2024年に出題された内容は、本書の7ページから11ページです。
国立国会図書館で遠隔複写の申し込みをする場合は、このページを指定してください。
大学図書館で借りた方も、このページをコピーして大事にしまっておいてください。
過去問攻略記事は、上記の理由から引用部分を隠して、作成する予定です。
ぜひ、本書を調達し、調達の方法も知ったうえで入学してきてください!
(もし興味がわけば、全編読むのももちろんいいと思います。)
というわけで、過去問攻略はもうしばらくお待ちください。
なお、何か質問がありましたら、遠慮なくコメントしてくださいね。
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