イタヤカエデ
【イタヤカエデ】板屋楓
学名:Acer mono Maxim.
ムクロジ科カエデ属 落葉高木
英名:Painted maple
分布:日本は北海道から九州、他には朝鮮半島、中国、サハリンなど
<基本情報>
各地の環境による変種が多いことから別名も多い。エゾイタヤ(北海道産)、トキワカエデ、ハナノキ、オニイタヤ、エンコウカエデ、ベニイタヤなど。たくさんあるので割愛。
※追記:カエデの分類は多岐にわたりイタヤカエデだけでも大変。凄すぎのサイトを見つけたのでメモ。
http://mohsho.image.coocan.jp/Membpict.html
カエデ属の果実は翼果といい、果皮の一部が翼状に2つに分かれ片側にだけ種子があるため螺旋を描くようにゆっくりと滞空して落下する。
広範囲に分布しているが、寒冷地の山地に多く北海道、東北産は良材とされている。建材や家具、ピアノやギター、ハーモニカなどの楽器などにも使われている。
イタヤカエデの若木を帯状に裂いて編んだ籠などの伝統工芸品「イタヤ細工」は、秋田県仙北市(角館)のもので1790年頃から続く。
建材で国産の「カエデ材」というのは「イタヤカエデ」を指し、「メープル材」は北米産のサトウカエデのことを指す。
▼メープル材のバイオリンパーツ
ちなみに英名「Japanese maple」はイロハカエデやオオモミジなど紅葉でお馴染みの種類を指すらしい。(葉が7つに深裂)
▼カエデ属はたくさんあるものの葉っぱのカタチで見分けらるようですが、図鑑片手じゃないと素人にはなかなか難しい。
<カエデ樹液(メープルシロップ)>
▼写真はイメージです
広く流通するメープルシロップは、主にカナダ産サトウカエデ(砂糖楓 Acer saccharum)の樹液。イタヤカエデからも樹液がとれ、東北などでメープルシロップ製造を試みた時代があった。
国産メープルシロップは、長年途絶えていたが、近年になり北海道の美幌町や白糠町、山形県金山町、新潟県村上市、埼玉県秩父市、宮崎県椎葉村などで製造が始まり特産となっている地域もある。
樹液はオオモミジなどからも採れるが、イタヤカエデの糖の含量が一番多い。
アイヌの人々はイタヤカエデを「トペニ(乳の木)」と呼び、冬場に幹から得られる「甘いつらら」を楽しんでいた。また、産後に母乳が出ない時の祈りを捧げる木だったようだ。(アイヌ民族博物館 デジタル図鑑より)
<主な成分>
糖はサトウカエデよりも少ないが、栄養素はカルシウムやカリウムが特に多く、マグネシウムなどミネラルが豊富に含まれている。サトウカエデは微量にビタミン、ポリフェノール類も確認されているがイタヤカエデのデータは現時点で見当たらず(どなたか教えてください)。
<青森県では>
日本で初めてのイタヤカエデ樹液の採取、国産メープルシロップ製造は青森県十和田市とされている。
青森営林局の事業で、1955年頃から十和田湖周辺で始まったが、1956年にそのあたりは十和田八幡平国立公園となった。時代的に徐々に自然保護の声が高まり生産中止となったようだ。
時を経て2011年から十和田湖畔にて樹液を採取し、過去の工程を再記録、保存・検証を目的に樹液の採取、シロップの生産を実施している(現在は不明)。
<十和田湖畔 メープルの生える森 逍遥の旅>
2015年11月、十和田奥入瀬プロジェクト実行委員会(実施は十和田市現代美術館)主催のプロジェクトでアーティスト山本修路氏と十和田湖畔のイタヤカエデの森を散策するというイベントに参加した。
樹液採取の時期(時期は寒暖の差が開く3月頃)ではなかったので樹液自体は見ていない。その後どうなっているか気になるところ。
ガラケー撮影でした
▲採取した翌年頃の穴 ▼自己修復中の穴
逍遥(しょうよう)とは
気ままにあちこちをぶらぶら歩くこと、です。
略してplantrip