クロモジ(オオバクロモジ)
【オオバクロモジ】大葉黒文字
学名:Lindera umbellata Thunb. var. membranacea (Maxim.) Momiyama
クスノキ科クロモジ 属 落葉低木
英名:ないと思われる
原産国:日本
分布:オオバクロモジは北海道南部から東北北部
<基本情報>
属名「リンデラ」はスウェーデンの植物学者、Johann Linderから。
「クロモジ」は本州各地に分布、大きく分けると2種3変種であり「オオバクロモジ」のほかにヒメクロモジ(本州中部以西)、もう1種はケクロモジ(近畿以西)、ウスゲクロモジ(関東以西)がある。
▲白神山地のオオバクロモジ
「クロモジ」は古くから高級楊枝の材料となっており、枝や葉はお茶としても利用されている。
元は「クロキ」と呼ばれていたとされ、名前の由来は樹皮の黒い斑点を文字と見立てた説が多く見受けられるほか、宮中の女房詞(にょうぼうことば/室町時代/生活において使う言葉の後ろにモジをつけて呼ぶ隠語/例しゃもじ)という説がある(個人的に後者推し)。
かつては石鹸や頭髪用油への使用、香料としてヨーロッパへの輸出用に伊豆地方でクロモジオイルを生産していた(大正時代)。(参考『日本の香木・香草』誠文堂新光社)
米国にも通称spicebushと呼ばれる「アメリカクロモジ」(Lindera benzoin)がある。※黒斑点ではないようですが未調査。
▼spicebushの花(多分)
<主な栄養成分・フィトケミカル>
クロモジエキスに含まれるポリフェノールの一種「プロアントシアニジン」の抗ウィルス作用が確認されており、研究が進んでいる(養命酒製造株式会社発表、国立国際医療研究センター研究所、愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターとの研究)
オオバクロモジの主な芳香成分、リナロール(ローズウッドやラベンダーに含まれる)は初夏から含有量が増えていくらしい。その他1,8-シネオール、酢酸ゲラニル、リモネン、α-ピネン、ゲラニオール。フローラルとシトラス系の香りがバランスよく含まれる。
特にリナロールによる抗菌、抗炎症作用や自律神経系への機能性についても研究が進められている。
クロモジは漢方では、幹と枝からの生薬を烏樟(うしょう)、根皮は釣樟(ちょうしょう)という。
気管支の抗炎症、血圧を下げる作用もあるとされ、根皮は胃腸のの調子を整え、整腸作用もあると言われる。枝葉は入浴剤として肩こりや腰痛、神経痛、湿疹など皮膚疾患にも良いとされる。
▼クロモジの花。種類不明
追記:千葉県君津市には、江戸時代から伝わる「雨城楊枝(うじょうようじ)」という千葉県指定伝統的工芸品の楊枝、黒文字細工がある。
黒文字楊枝専門店「日本橋さるや」(東京・日本橋)は、唯一江戸時代から300年以上続く老舗店。
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