電気主任技術者資格の本当のメリットとは?現場経験者が語る現実
こんにちは!「電気主任技術者」と聞くと「すごい資格!」「高収入で安定した職!」なんてイメージがあるかもしれませんね。けれども、現場経験者の目から見ると、資格を取っただけでバラ色のキャリアが待っているかと言われると…実はちょっと違うんです。
この記事では、電気技術者として約10年の経験がある私が、巷でよく聞くメリットを「本当にそうなのか?」と冷静に分析していきます。そして、経験者だからこそ感じる「本当のメリット」についてもお伝えしますね!
巷で言われる「電気主任技術者資格のメリット」の現実
まずは、よく聞く「電気主任技術者資格のメリット」について、実際のところはどうなのか?私の経験を踏まえながら一つずつ見ていきます。
①高収入!…って本当?
よく聞くのが「電気主任技術者資格を持っていれば高収入!」というフレーズ。確かに、資格がないよりは収入面で有利になることもありますが、「高収入」という言葉に期待しすぎると少し拍子抜けしてしまうかもしれません。実際、資格保有者の年収はそこまで高くないのが現状なんです。
例えば、電気主任技術者の第三種(3種)を持っている方の年収は400~500万円程度が多いとされています。第二種(2種)でもボリュームゾーンは500~600万円ほど。平均収入よりは少し良いかもしれませんが、「これで夢の高収入生活!」というほどではありませんよね。資格を持っていても、実務経験の有無や会社の業績、さらには地域差などによって大きく左右されるため、「高収入」とは一概に言い難い部分があるのです。
また、未経験者の場合はさらに厳しい現実が待っていることもあります。資格を取得しただけではスタートラインに立った程度。実務経験を積み重ねていくことが本当に大切です。
②職にあぶれない!…でもそれは誰にとって?
「電気主任技術者資格があれば、職に困らない!」と言われることも多いですね。確かに、資格と実務経験がある人にとっては、求人数が多く、安定した雇用が期待できる職種でもあります。しかし、資格があるだけで職に就けるか?と言われると、それは年齢や経験によって異なることも覚えておく必要があります。
例えば、若手であれば「ポテンシャル採用」で未経験でも採用されることも少なくありません。逆に、40代や50代での未経験の場合、実務経験者と比べて採用のハードルが高く、条件を落とさないと厳しいケースもあります。未経験の方でも若ければ大丈夫ということが多いのですが、年齢を重ねるほどその「ポテンシャル採用」の枠も狭まっていきます。
「職にあぶれない」とはあくまで条件次第。実務経験が豊富であれば強みになりますが、年齢や経験が要因となり、不利になる場合もあるため、「絶対に職に困らない!」と過信するのは危険です。
③希少価値がある!…3種は昔ほどレアじゃない?
「電気主任技術者資格は希少価値があるから有利!」と言われますが、特に第三種(3種)については、最近ではその希少性が薄れつつあります。というのも、3種試験は年に2回実施されるようになり、CBT(コンピュータベーストテスト)の導入で、受験のハードルが低くなった結果、合格者も増えてきているからです。
これにより、資格取得者が増え、希少価値も以前に比べると減ってきています。もちろん、まだまだニーズはありますが、かつてほどの「資格を持っているだけでアドバンテージ!」という状況ではなくなっています。資格を持つことで有利に働く場面もありますが、「資格取得者が珍しい!」という感覚で就職に臨むと、少し違和感を覚えることになるかもしれません。
④責任が重い
電気主任技術者には、「責任が重い」という、ある意味では資格特有のデメリットも存在します。この責任の重さを軽く見てしまうと、実際に職に就いた際に「こんなはずじゃなかった!」と感じるかもしれません。
例えば、停電や災害が発生した場合、たとえ深夜や休日であっても現場に駆けつけることが求められることが多いです。万が一、現場の設備にトラブルが発生した場合には、電気主任技術者としての責任を問われることもあります。トラブルの原因や対応方法の説明を求められる際も、門外漢である他の職種の人々に対して責任の重さを理解してもらえず、無理な要求を突きつけられることもしばしばです。
このように、「出勤しなければならない時が多い」「トラブル時に責任を負わなければならない」という状況に、ストレスを感じる人も多いです。責任の重さに見合う収入や待遇が得られないと感じ、割に合わないと思う人もいるため、この点については事前にしっかり認識しておくことが大切です。
私が考える「電気主任技術者資格」の本当のメリット
では、私の実体験を踏まえた「電気主任技術者資格の本当のメリット」とは?実務経験者の立場から、資格取得の実用的なメリットを2つご紹介します!
①定年退職後の働き方におけるメリット
電気主任技術者資格が役立つシーンとして、実は「定年後の働き方」が挙げられます。通常、定年退職後に好条件での再就職は難しいですが、電気主任技術者資格があると定年後でも安定的かつ融通の利く働き方ができる可能性があるのです。
例えば、私が知っている74歳の方は、保安管理の仕事で、週に3回、8時間勤務で月給20万円ちょっとを得ています。さらに、年金の支給停止調整額を勘案して、年金と合わせて50万円近くの収入を実現しているのです。この支給停止調整額とは、年金受給者が働くことで得られる収入が一定額を超えた場合に、超過分に応じて年金が調整される仕組みで、この方の場合は、収入を50万円以下に抑えることで効率的に年金と給与の両方を得ています。
この方の業務は、工場の保安管理契約による選任業務で、1日に点検業務にかける時間は2時間ほど。残りの時間は、日報や書類作成などで、比較的ゆったりとした勤務内容です。この働き方は、通常のフルタイム勤務に比べて負担が少なく、年齢を重ねても無理なく続けられる理想的な形。現役時に電気設計をしていたものの、選任経験がなかった方ですが、この資格のおかげで定年後も安定した生活を送ることができています。
②転職の際の「+αの強み」になる
電気主任技術者資格のもう一つの魅力は、転職の際に「補強」として強みになる点です。これは電気保安系の仕事だけでなく、設計、施工管理、生産技術など、電気に関わるさまざまな職種においても有効です。資格があることで、基本的な知識や技術を持っている証明になるので、「この人には一定の技術力がある」として好印象を与えることができます。
実際に、私も過去の転職活動でこの資格が評価されました。電気主任技術者資格が「必須」とまではされていない電気設計や生産技術職の面接でも、資格があることで「実務経験もあり、さらに電気主任技術者資格も持っている」という安心感が生まれ、評価を高めてくれる効果がありました。また、再生可能エネルギー業界やエンジニアリング会社などでも、この資格があると「即戦力」としての期待が高まり、採用の確率も上がる傾向があります。
「必須」ではない分野でこそ評価が高くなりがちなので、電気主任技術者資格は転職の際の+αとして、大いに力を発揮するものだと感じています。
まとめ
いかがでしたか?「電気主任技術者資格」は確かに「高収入」や「職に困らない」といった期待がある資格ですが、現場での経験を踏まえると「思ったほどの夢の職!」というわけではないのが正直なところです。
ただ、定年退職後の働き方として柔軟で効率的な選択肢を増やしてくれる点や、転職活動における「信頼の証」として強みになる点など、確かに他にはないメリットがある資格でもあります。
資格を取得するだけで満足するのではなく、実務経験と合わせることで本当に価値が生まれるのが「電気主任技術者資格」の真の強みだと思います。資格取得を目指す方も、ぜひ現実的なメリットを知って挑戦してみてくださいね。
ちなみに電験二種はこちらの記事で攻略方をまとめてます!!よければ購読してみてください!!