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界磁喪失継電器(40)について

本日は界磁喪失継電器(40)について述べていきます。

前回の記事で脱調保護にはインピーダンスローカス方式、電圧位相比較方式の二種類が使用されると説明しました。

ただ実際にメーカーからタービン発電機や非常用発電機を購入すると、発電機の脱調保護には界磁喪失継電器が使用されるケースが多いようです。

界磁喪失継電器はその名の通り、発電機内部の界磁が喪失したことを検知することが主目的の継電器になります。

同期発電機はタービンやディーゼル機関からの機械的入力によって、回転子が回転します。ただ回転子が回転するだけでは磁界は存在しないため、他励発電機などを用いて回転子から磁界を発生させ、この磁界が電機子を高速で横切ると電磁誘導の法則によって電機子側に電気が出力されます。

もし界磁がない状態で回転子側が回転をすると、それはすなわち誘導発電機となってしまいます。電験の機械科目で頻出の項目ですね。

通常、誘導電動機は固定子の回転磁界に対し、回転子が遅れて回転するため、すべりが1以下になります。しかしここで回転子がグングン回転速度を上げると「回転磁界<回転子の回転速度」となりすべりが1を超えてしまいます。こうなると誘導電動機から誘導発電機になってしまうんですね。

界磁喪失継電器は同期発電機が誘導発電機となっている状態を検知し、いちはやく系統から切り離すために用いられます。

原理としては発電機出力である電気子側(回転子側ではない)電流電圧をCTとVTで監視し、なんらかの故障によって界磁が喪失した(もしくは相当する故障が起きた)ことを検知します。電流と電圧からインピーダンスが算出できるのですが、脱調や界磁喪失時にはインピーダンス軌跡が特定挙動を示すため、異常を検出できる、というわけです。

私が実際に確認したのは、下記のような継電器になります。

https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/faspec/detail.do?kisyu=/pror&formNm=N_CGP2_CGP2-A41D1_1&category=ex&id=spec

脱調リレーをメーカー側が盛り込んでくるケースはあまりなく、実際にはこの界磁喪失継電器(40)が提案されます。その際、発電機保護の場合は40Gという名称で提案されます。GはGenerator(発電機)のことで、タービン発電機なら40TG、でディーゼル発電機の場合は40DGと表記されるケースが多いみたいです。

意外と単純なネーミングですよね(笑)

次回は界磁喪失継電器とともに発電機保護に使用される、比率差動継電器(87)について触れたいと思います。

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