工場電気職から発電プラント電気職へ転職する際の注意点
転職してはや数ヶ月ですが、最近少しずつ気づきが出てきたのでちょっと記事にします。
タイトルにあるように私は前職で工場の電気職を担当していた過去があり、電気計装設計をメインに業務を行っていました。人も潤沢とは言えなかったため、現場で工具を使って作業することもありましたし、最後の2年弱は電気主任技術者もやっていました。
こういったバックボーンを持った状態で、次に建設業いわゆるエンジ会社に転職したわけです。
扱っているのはざっくばらんに言うと発電プラントで、再生可能エネルギーであるバイオマス発電とかそのへんの電気設計をやっています。再エネ発電にかかわりたいと思っていたので、満足している次第です。
そこで入社前のイメージとのギャップについて話したいと思います。
製造プラントから発電プラントへ
今回記事にしたいと思ったのは「製造プラントと発電プラントはかなり異なる」という点を改めて知らせたいと考えたからです。
私は以前から電気系のエンジニアが転職する先として、再生可能エネルギー業界を推していました。データセンター業界も良いと呟いたりもしてましたね。
何故かというと、給料が良いからっていう点と電気主任技術者が働くフィールドとして発電プラントというのはやはり花形なイメージがあったという点、以上2点があったからです。
製造業は研究職、開発職、製造職……とかなりの職域があるため、これらを個別に評価する制度が整っていないことが多いです(前職もそうでした)。激務だったり専門性が強い部署でも、他と一律の給料水準となってしまい、結果として待遇に不満を持つ人が出てしまいます。
私も電気主任技術者に選任されましたが、給料据え置きだったことが不満でして、色々あってトンズラかました部分があります。
再生可能エネルギー業界は、固定価格買取制度(FIT)なんかのおかげで利益が見込め、比較的新しい業界であることから人材も不足気味です。
よって電気系の技術者の給料が他業界よりも高くなる傾向にあります。(私調べ)
こういった点から私は、製造プラント⇒発電プラント関係会社へと乗り移りました。
製造業からの転職は覚悟がいる?
上記経緯でエンジ会社、とりわけ再エネを取り扱う部署に転職しました。私の所感から言うと、これから製造業から発電プラントに行くぞと思っている方には「ある程度新しいことを覚える気概がいる」と思ってもらった方がいいかもしれません。
製造工場というのは基本的には電気を使う側、需要設備になります。一方の発電プラントは発電した電気を電力会社の系統に逆潮流(いわゆる売電)する事業場になります。正直言って逆潮流があるプラントの方が、高圧もしくは設備が複雑になるため、そのぶん技術的な難度が高くなります。
バイオマス発電を例にとると、タービン発電機など通常の工場にはない大型電気設備があり、補機まで含めると構成が全く異なります。発電機が系統に連系するため、設計面でも運用面でも複雑になり、一言でいえば大変になるわけです。復水器だとか脱硝装置、脱硫装置なんかも特有の設備ですね。
電力会社との協議(接続検討など)も基本的に電気エンジニアが担うため、特別高圧系統の知見も不可欠です。資格で言うなら電験二種でネタになる分野について、一定の理解が必要となります。
普通の需要設備で働いていた電気エンジニアにはこのあたりが未経験となるため、覚えることが多くなるでしょう。何を隠そう、私がその一人です。
逆に分散型電源、高圧のディーゼル発電機やコージェネレーション発電設備を持っているプラントの経験者なら、問題ないのかなとも思います。
工場も製造工程自体は技術の結晶であり、異なる専門知識が必要です。ですので逆に発電プラント→製造工場という転職を果たした人もそれなりに大変だと思います。
結論として業界が違うため同じ電気系の技術者でも習得しなければならない技術が異なる、ということですね。
「当たり前だろ」と思うかもしませんが、私はこのへんのイメージが若干甘かったと思います。
まとめ
というわけで、工場なんかの電気職から再エネなどの発電関係へ転職する方は、ちょっと注意ですね。太陽光発電や風力発電に関しては取り上げていませんが、技術習得はやはり別途必要です。
ちなみに発電プラントの難度としては火力・バイオマス>風力>太陽光だと思います。なぜかと言うと、タービン発電機やガスタービン発電機があると補機がついてくるので複雑なプラント構成になりますので。
一方回転機械のない太陽光発電はかなり優しめ、という意見を聞いたことがあります。こういった点も参考にしてください。
ちなみに地熱と水力はよくわかりません(笑) すいません(泣)
ではでは、また。