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【過去問】共テR03 物理 第1問 問4(ドップラー効果・うなり)
これも計算不要問題。いいですね、入試センター。
Aはある速度でBに向かって歩いている。
Aが発した音波は、Bに直接に届くアと、後ろの壁を反射して届くイがあり、Bで$${n[Hz]}$$のうなりを生じている。
問:ア・イの元の音からの振動数の大小を問う。また、Aが速度を上げたときうなりは増えるか減るか。
答:ドップラー効果。アはBに近づいているので大、イは壁に対して遠ざかっており、それがBに到達するので小。
うなりは、ア・イともより大・小となるのでうなりの回数=振動数の差が大きくなるので増える。回答は①。
まああっさりとしたもんですが、そもそも、ドップラー効果の式、導出を知らずに暗記だけしていると、分母と分子、どっちがどっちか分からなくなったりしたときに大事故につながります。
$$
f'=\dfrac{V-v_o}{V-v_s}f
$$
![](https://assets.st-note.com/img/1641223006269-Gf7YXVGHmV.jpg?width=1200)
ドップラー効果は、180年前くらいにオーストリアのドップラー氏が定式化したそうで、その後、計測器がなかったからか、絶対音感を持つ人で実証実験が行われ、確かめられたそうです。
この説明を文章でしようと思うと、自分でも読むのは大変なので、動画で説明します。
さてうなりです。「うなりの回数=振動数の差」とあっさり覚えていてもまあ試験的には大丈夫かなと思いますが、割と簡単な数学で確かめられるのでやってみましょう。実際のうなり音については、以下のギターでの実演をお聞きください。うなりは英語でbeatというそうです。確かにそんな感じもしますね。
ギターの調弦(音合わせ)では、うなりを用いて、うなりの数が小さくなり聴き取れなくなるまでペグ(糸巻き)で調整します。下の動画の感じです。ただし、最近はスマホのアプリで直接調弦することが多いですが…
動画でのうなりと定常波の解説はこちらです。
以下、テキストでのうなりの解説です。
まず波動関数。これは万能なので是非使いこなして欲しいです。
$$
y=A\sin2\pi\left(\dfrac{t}{T}-\dfrac{x}{\lambda}\right)
$$
これがxの正の向きに進む波動関数です。$${1/T=f}$$なので、
$$
y=A\sin2\pi\left(ft-\dfrac{x}{\lambda}\right)
$$
と書いても同じことです。
波動関数の詳しい解説は別の機会ということにして、今回は、うなりの説明ですね。
$${f-\delta}$$, $${f+\delta}$$の二つの振動数の音を用意します。$${\delta}$$は$${f}$$よりメチャクチャ小さい大きさ、後の計算例では420に対する2くらいの数字です。波は、同位相で原点Oから正方向に発出します。
なぜプラスマイナスで用意するかは数学的な都合です。すぐに分かります。
$$
y_1=A\sin2\pi\left\lbrace (f-\delta)t-\dfrac{x}{\lambda}\right\rbrace
$$
$$
y_2=A\sin2\pi\left\{(f+\delta)t-\dfrac{x}{\lambda}\right\}
$$
ここで、空間要素は原点で確認して、他の点はその位相をずらすだけなので$${x=0}$$で計算します。すると、
$$
y_1=A\sin(2\pi{ft}-2\pi\delta{t})\\
y_2=A\sin(2\pi{ft}+2\pi\delta{t})
$$
となります。ここで$${y_1+y_2}$$を作ると、正弦の加法定理で$${A\cos2\pi{ft}\sin2\pi\delta{t}}$$が打ち消し合うので
$$
y_1+y_2=2A\sin2\pi{ft}\cos2\pi{\delta}{t}
$$
が生き残ります(この変数分離のためにわざわざプラスマイナスを用意したわけです)。数字を入れると、
$$
y_1+y_2=2A\sin840\pi{t}\cos4\pi{t}
$$
この式の解釈。
$${\sin840\pi{t}}$$部分は、1秒間に420回の振動であり、人間の耳には連続したいわゆる「音」に聴こえる一方、$${\cos4\pi{t}}$$部分は、1秒間に+2A,-2A,+2A,-2Aと4回最大振幅をとり、これは人間に聴き取れるので、いわゆる「うなり」となって聴こえるわけです。なお念の為、この場合、sin部分は激しく振動しているので、cosの+2Aと-2Aはどちらも単に振幅の大きさとなり、半波長ごとに最大となります。
418[Hz]と422[Hz]の差は4Hz。すなわち、うなりと振動数の差は一致することになります。
あくまで因みに、振動数の差が大きい時、たとえば100ほどあると、確かにうなりは生じていますが、これは人間には聴き取れないスピード感になり、うなりとは感じられません。