【数学用語】交差項(クロスターム)に対してそうでない項をどう呼ぶか
実はマイナーだった?「交差項」
いつから$${(x+y)^2=x^2+y^2+2xy}$$の中の$${2xy}$$の部分を交差項、クロスタームと呼んでいたかは自分自身定かではないが、気付いたら自然にそう呼び、塾でも普通に使っていました。
生徒さんに聞くと、学校の先生からはこの単語を聞いたことがないとのこと。そうなのか。
その項が交差項かどうか、計算結果に交差項が存在するかどうかは、数学的には大きな意味を持ちます。計算を複雑にする要因でもあります。
しかし、「交差項」「クロスターム」を検索しても統計の回帰分析の「交互作用項」の別名としての用語ばかり出てきます。みんな本当に使わないのかなあ。
英語でも検索してみましたが、どうもcross termという言葉は使うようですが、その対義語については定番がなさそうです。
今回は、交差項そのものについて細かいことはさておき、対する交差項ではない項、上式での$${x^2,y^2}$$に呼び名をつけてあげるのが本稿の目的です。
英語の記事より候補を選出
英語で「cross term mathematics opposite」のように検索したら、次の記事が引っ掛かりました。
数学の質問疑問に答えるサイトのようですが、こんな質問があるということは、英語でもこの問題は看過されているということでしょうか。
この記事の中から、交差項の対義語の候補となる単語を拾ってみました。
square / quadrature term(平方項)
aligned term(平行項)
𝑛th power(n乗項)
univariate term(単変数項)
pure term(純粋項)
direct / straight term(直接項)
diagonal term(対角項)
happy term(?)
non-cross term(非交差項)
品評会
英語の記事で出てきた言い回しを品評してみます。
平方項 意味としては適切。難を言うと「平方根」と音が似過ぎている。「へいほうこう」「へいほうこん」。そして、3乗の式の時に応用が効かないのも難点。平方は2乗と同義。
平行項 交差に対して平行、意味も良いけど、「へいこうこう」という音が少々違和感。「へいほうこん」と早口では勘違いされるかも。 ホとコは音声学に近いし。慣れの問題かも知れないが。
n乗項 確かにまあ、そうなんですけどね。ただ、結果をそのまま名前にしているだけで、交差項のように「絡む」「絡まない」という含意が欲しいところ。
単変数項 そういうことです。ただ、少し長い。そして固い。
純粋項 混じり気がない。確かに。ただ少し抽象度が高すぎる気がする。
直接項 掛け算するときに、積の要素である$${(x+y)}$$とかを上下に並べて、上から下へ真っ直ぐ($${x \to x \to x^2}$$)かけてできた項を直接項、斜め($${x \to y \to xy}$$)なら交差、対比が取れて良い。平行項とほぼ同じ感じ。ただ、直接って、交差項も斜めというだけで直接だからなあ。
対角項 行列にした時の対角要素に相当するから、とのこと。線形代数を前提にしていれば良いかも知れないが、普通の式の時には何が対角なのか分かりづらい。ハイコンテクスト過ぎる。そして見た目が中学幾何学の「対頂角」そっくり。
happy term。多分、適当な書き込みですね。そして早口で言うとハッピーターンと同じ。
非交差項 そりゃそうです。間違いない。でも、「〜ではない」ではなく、積極方向で名前をつけたいものです。
結果
視認性、弁別性、分かりやすさ、音の響き、意味の的確さ等から、厳正な審査の結果、決勝に残ったのは
2.平行項 5.純粋項 6.直接項
の3候補です。
甲乙つけ難いですね。個人的には、暫定「純粋項」かなと。
良い案があれば、どなたか教えてください。お待ちしています。