【道路名比定】大阪・船場
趣旨
道路名は、道案内の用に供するという実用性と、歴史や文化を継承する文化遺産という面を兼ね備えている。
故に日本を除く殆どの国では極一部の例外を除き道路名による住所表示を行っている。
然るに、住居表示に関する法律の不定見な実施は文化を破壊し、世界でも稀な道路を境界線とする住所の表示を行ない、国民の利便を損ない過去と現在を分断している。
旧町名を調べ、歴史を紐解き、現地の慣用を調査採用して道路名を比定、これを表示し、便に供し、地名という遺産を引き継いで行く。
幸い、技術の進展でインターネット上の地図にこれを表示する事が可能となっている。
逐次その成果をここに記録していく。
対象地域
大阪市中央区、歴史的に船場と呼ばれて来た地域を対象とする。
北を土佐堀川、東を東横堀川、南を長堀川(現長堀通)、西を西横堀川(現阪神高速環状線)を境界とする地域である。
比定道路名図
一覧
東西(北→南)
土佐堀通
内北浜通
今橋通
浮世小路
高麗橋通
伏見町通
道修町通
平野町通
淡路町通
瓦町通
備後町通
安土町通
絹張小路
本町通
鰻小路
南本町通
中央大通 唐物町
中央大通 北久太郎町
久太郎町通
北久宝寺町通
南久宝寺町通
博労町通
順慶町通
安堂寺橋通
塩町通
長堀通
南北(東→西)
東横堀筋
箒屋町筋
板屋橋筋
八百屋町筋
堺筋
藤中橋筋
中橋筋
三休橋筋
丼池筋
心斎橋筋
御堂筋
御霊筋
狐小路
魚棚筋
渡辺筋
横堀筋
資料
船場ナビ
現在の地元の認識を優先するため、上記サイトを基本とした。
歴史的資料で補完、ほぼ全ての道路の名称が特定された。
古地図で愉しむ大阪まち物語
詳細かつ示唆に富む解説が為されている。
絹張小路
こちらに記載がある。
古地図での確認はできていない。情報求む。
浮世小路、鰻小路、狐小路
国際日本文化研究センター所蔵地図データベースより
当該箇所に記載あり
大阪市主要幹線道路
https://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/cmsfiles/contents/0000159/159911/osakaroadmap0.pdf
所謂「道路愛称名」について記載あり。
幹線道路に人為的に名称を付したものであり、旧町名や実際の通称とは異なる場合もある。
議論
淀屋小路
かつては西は魚棚筋から東は心斎橋筋まで存在したが、2024年6月現在、「淀屋橋駅西地区第一種市街地再開発事業」と「(仮称)淀屋橋駅東プロジェクト」により封鎖されている。おそらく道路自体がなくなるであろう。
道路は無くなっても、何らかの形で遺産として残しておくことを強く希望する。
唐物町、北久太郎町
両町とも中央大通(都市計画道路築港深江線)の開通によって道路が拡幅され、道路片側は隣接町に吸収、阪神高速高架下となった中間部分は船場中央という町名を付された。
歴史的な町が幹線道路の一部となった事例であり、旧町名を残すため、一丁目二丁目のような道路区分として、「中央大通唐物町」のような表示も考えられるので記載している。
末吉橋通
長堀が埋め立てられる前、長堀北岸の通り、現在の長堀通の北半分に相当する部分の旧町名である。
旧長堀の区間を超えて東の今里交差点まで伸びる幹線道路である長堀通の一部となっており、参考までに記載しておく。
反映
Google Maps及びOpenStreetMapへの転記はほぼ完了している。
但し、Google Mapsへの反映には審査等があり、路線名と思しき「船場魚棚筋線」等不完全な反映となっている(2024-06-26)。