埋もれさせてはいけない...素晴らしい名作・傑作・カルトSF映画
こんばんは ぷらねったです
素晴らしい内容でありながら なぜかあまり脚光を浴びていない 傑作SF映画たち
今回は「埋もれさせてはいけない...とにかく素晴らしい名作・傑作・カルトSF映画」というテーマで そんなSF映画を紹介していきます
1.パラサイト (1998年)
監督は ロバート・ロドリゲス
地球外生命体に侵略される学校を舞台にした SFホラー映画です
舞台はアメリカ オハイオ州の田舎町
フットボールが盛んなハイスクールに ある日突然 不穏な空気が漂います
学校新聞の専属カメラマンであり 内気なケイシーがグラウンドで見つけた謎の生物が 水に浸けると動き出したのです
その後謎の生物は フットボールのコーチであるウィリスをはじめ 数人の教師らに寄生しはじめ 彼らの身体を次々と乗っ取ってしまう...というストーリーです
製作費は1500万ドル
「スパイキッズ」シリーズなどで知られる ロバート・ロドリゲスが監督をつとめ「ロードオブザリング」シリーズのフロド役で知られる イライジャ・ウッドが主演した映画です
作中では 身体乗っ取り系エイリアンvs生徒たちという 戦いの物語が描かれます
この映画のエイリアンは異常に水を欲す特徴をもち 乗っ取った人間の外見はそのままに 中身を支配
"誰が乗っ取られているのか分からない"まま 侵略が進行していくのです
まるで人狼ゲームのように人間不信に陥る生徒たちですが この生徒たちが見どころになっており 校内で自作ドラッグを売るワルや SFオタクなど 彼らのキャラクターが魅力的なのも大きな特徴です
この映画と近い"身体乗っ取り系エイリアン"を描いた映画は「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」をはじめ 多数存在します
そんな中でも強い独自性をもった今作について 個人的には同じく学校が舞台ということで 1986年の傑作SF映画「スペースインベーダー」を思い出しました
その他「遊星からの物体X」のオマージュなども登場し とてもおもしろい内容になっています
ちなみに本作品は アメリカで劇場公開された際もかなり好評だったそうで 国内でカルト的人気を誇っているようです
果たして生徒たちとエイリアンの熾烈な争いは どんな結末をむかえるのか
イギリスのロックバンド Oasisのエンディング曲でスカッとする 90年代後期の傑作SF映画をぜひ観てみてください
2.リキッド・スカイ (1983年)
監督は スラヴァ・ツッカーマン
強烈なセンスの光る アメリカのSF映画です
舞台はアメリカ ニューヨーク州マンハッタンのナイトクラブでは この日 ニューウェーブなファッションショーが開催されます
そんな中 上空に小さなUFOが現れ 謎の力をもったエイリアンはファッションモデルのマーガレットの身体に寄生し 支配してしまいます
このエイリアンはヘロインによる陶酔や 性的快感を追い求めており マーガレットと関係を持った者たちは次々と奇怪な死を遂げていくことに...というストーリーです
製作費は 50万ドル
監督をつとめたのはソ連生まれのスラヴァ・ツッカーマンであり 彼はソ連とイスラエルでドキュメンタリー作品とテレビ映画などの製作を経験してきた人物です
主演のアン・カーライルが男女2役を演じ 彼女は脚本にもクレジットされています
また ツッカーマン監督の妻であるニーナ・V・ケローヴァも 監督やアンカーライルと共に脚本にクレジットされています
1980年代初頭のパンクやサブカルチャーを基にした要素を中心に構成されており 主にニューヨークにおいて 許可なしで撮影されました
作中では UFOの舞い降りたニューヨークの街を舞台に ある女性と関わった人々の怪死事件についての物語が描かれます
ドラッグムービー的とも言える摩訶不思議な映像演出が多く登場し 正気では考えつかないのではないか...というバランスで映画が構成されています
強烈な映像表現や音楽 そして独特な衣装デザインやメイクが異様な空気感を作りだしており この映画でしか感じられない雰囲気があります
映画内ではオープニングから 特に音楽がとてつもない存在感を放っており これは主に"フェアライトCMI"というシンセサイザーが使用された 奇妙な電子音楽になっています
この"フェアライトCMI"というシンセサイザーは 1980年の発売当時 1000万円を超える値段だったという話もありますが 日本では久石譲が「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」の音楽でも使用しています
低予算映画ということで 音楽の作曲には監督自身も関わっていますが この超高額なシンセサイザーが誰の所有物だったのかは不明です
そのほか低予算エピソードとしては カラフルで印象的な衣装はリサイクルショップで手に入れた素材から製作されたそうです
また タイトルの「リキッド・スカイ」とはヘロインの俗語ですが 映画内に登場するヘロインはもちろん実物ではなく 単なる砂糖だといいます
前述した通り 監督のスラヴァ・ツッカーマンはソ連生まれの人物であり 1973年にイスラエル, 1976年にニューヨークに移住した経歴をもちます
つまり 今作は"アメリカで製作されたソ連映画"とも言える面があります
とはいえスタッフの内 ソ連出身の人物は監督含めて4,5人ほどだったといいますが...特殊効果やカメラマンの担当がソ連生まれの方だったそうで アメリカらしくない独特のカメラワークや 時おり登場する特殊効果は素晴らしいです
そんな まさにカルト映画と言える本作品ですが 実は2014年頃の時点では続編製作の意向が明かされながらも しばらく音沙汰がありません
また アメリカでは4Kリマスター版のDVD・ブルーレイが発売されているそうで ぜひ日本版もお願いしたいところです
とにかく強烈な個性の光るカルトな名作になっていますので 気になる方はぜひ観てみてください
3.2つの頭脳を持つ男 (1983年)
監督は カール・ライナー
お下品なノリで描かれる アメリカのSFコメディ映画です
著名な脳外科医であり スクリュートップ法による脳手術の発明者であるマイケル・ハフハハール(HFUHRUHURR)医師は 亡き妻レベッカのことを忘れられないまま 毎日を過ごしていました
そんなある日 彼は交通事故を起こしてしまいますが そこでドロレス・ベネディクトという美しい女性と出会うことになります
ハフハハールは自らの手術によってドロレスの命を救った後で 彼女に恋をしてしまい やがて二人は正式に結婚
しかし彼女は傲慢であり 彼を弄ぶため ハフハハールの欲求不満は限界を迎えてしまいます
そんな中 脳移植の権威であるネセシスター博士の研究室で瓶詰めされた脳とテレパシーで会話できることに気づいたハフハハールは ある女性の脳に恋をしてしまう...というストーリーです
本作品では「オー!ゴッド」などで知られる カール・ライナーが監督をつとめました
「サタデー・ナイト・ライブ」のコメディアンとしても知られていたスティーヴ・マーティンが主演し 彼は脚本にもクレジットされています
「ペギー・スーの結婚」のキャスリーン・ターナーが悪女ドロレスを演じているほか「タイム・アフター・タイム」の悪役が印象的だったデビッド・ワーナーが出演しています
作中では 脳移植にまつわるおかしな物語が描かれます
アメリカらしいノリでとにかく終始ふざけまくっており ほとんど真面目なシーンはありません
特に前半はお下品なシーンの占める割合が多く 合わない人はここでリタイアしてしまうかもしれませんが ハマる人にはハマるようなコメディーです
ところで カール・ライナー監督と主演のスティーヴ・マーティンは そのキャリアの中で何度もタッグを組んでいます
今作以前にも1979年の「天国から落ちた男」,1982年の「スティーヴ・マーティンの四つ数えろ」があり それに続いたのがこの映画です
※それぞれの映画において スティーブ・マーティンは主演に加えて脚本を担当
そんなこの映画では 最終的に主人公が"とある女性の脳"に恋をすることになりますが この"脳"の中身であるアンという女性の声を 実は「キャリー」で知られるシシー・スペイセクが担当しています
とにかくふざけっぱなしのSFコメディー映画になっていますので 気になる方はぜひ観てみてください
4.ブラザー・フロム・アナザー・プラネット(1984年)
監督は ジョン・セイルズマッカーサー・フェロー
地球に不時着したエイリアンの生きる姿を描く アメリカのSF映画です
そこに宇宙の果てからニューヨークに不時着した宇宙船
乗っていたのは黒人そっくりの姿をしたエイリアンでしたが 彼はハーレム地区にたどり着き 生き延びます
言葉をしゃべれない彼は "ブラザー" という愛称で呼ばれました
そして彼は 手をかざすだけで病気を直したり 機械を修復する不思議な能力を持っていたため 住民を助けたり 助けられたりしながら 次第に人間社会へ馴染んでいきます
そんな中 彼を追うハンターが 地球へ到着する...というストーリーです
製作費は35万ドル
「ピラニア」や「ハウリング」の脚本などで知られる ジョン・セイルズが監督をつとめました
主演としてエイリアンを演じたのは「ターミネーター2」にも出演したジョー・モートンです
作中では エイリアンが地球へ不時着したニューヨークのハーレムの街を舞台に 人間とエイリアンの関わりや助け合いにまつわる物語が描かれます
「ピラニア」では「ジョーズ」の真似をしたジョン・セイルズが 今作では「E.T.」の大ヒットに便乗した...そんな捉え方もできる映画です
しかし内容は単なるパクリ映画とは程遠い素晴らしさで SF映画らしからぬほどに人情味が溢れる内容になっており 心あたたまる映画です
主人公のエイリアンはブラザーと呼ばれますが 彼は黒人の姿をしているため 常識知らずの人間かのように見られてしまう...というのがこの映画の肝になっています
そんな設定もあり 主演のジョー・モートンは"黒人の姿をしたエイリアン"という難役を演じています
この役は地球の言語を喋れない設定であるためにセリフがなく 表情やボディーランゲージだけとなっていますが 彼は素晴らしい演技を見せています
映画の構想にあたっては ジョン・セイルズ自身が監督した 1983年の「リアンナ」の製作中に彼が見た 3つの夢が基になっているそうです
1つ目の夢は"異星から来た自動車セールスマン"、2つ目は"フィルムノワール版ビッグフット"、3つ目は"ハーレムに住む黒人の姿をしたエイリアン"...この内3つ目の夢を気に入ったセイルズは 他の2つの夢から要素を抜粋し 1週間程度で脚本が完成したのだそうです
35万ドルという製作費の大部分は マッカーサー・フェローズ・プログラム いわゆる「天才助成金」から捻出されました
これは慈善基金団体による将来への投資として 今もアメリカで行われている助成金制度であり 匿名の人々による推薦に基づいて 匿名の選考委員会によって受賞者が選定されるプログラムです
主な撮影は 映画の舞台となっている実際のハーレム地区で 夜間に行われました
撮影監督はアーネスト・ディッカーソンであり 彼は「デス・ゲーム2025」での監督に加え「ドゥ・ザ・ライト・シング」など スパイク・リー作品での撮影監督としての経歴で知られています
彼が撮影時に追求したのは派手さではなく 人間味にフォーカスするような繊細な質感だったそうです
低予算ということもあって特殊効果はほとんど使用されていませんが それが功を奏し この映画の個性をさらに際立たせていると感じます
そんな本作品は まさに埋もれさせてはいけない名作にふさわしいタイトルです
機会があればぜひ観ていただきたい 弱者の目線に寄り添った 素晴らしいSF映画となっています
あとがき
今回は「埋もれさせてはいけない...とにかく素晴らしい名作・傑作・カルトSF映画」というテーマのSF映画紹介でした
今回の4作については もし観たことがない映画があれば ぜひ観ていただきたい作品ばかりです
この動画を観ていただいた方々が これらの作品に出会えますように...
最後までご覧いただき ありがとうございました