「noteの母」と、かつて頭上で瞬いていた星たちと

 一番印象に残っている「占い」は、ハリー・ポッターの劇中で出てきた「紅茶占い」だった。飲み終わったカップの中に残る茶葉から、その人の未来を占うというものである。

 舞台であるイギリスは、歴史ある占いの国で、ホロスコープというのは対象者の生まれた時の天体の配置を書いたもの。どこで訊いた話か忘れたけれど、とある科学者は占星術というものを否定しようとして研究したのに、逆にその正確性を証明する結果を出してしまったとか。

 また、イギリスでは今でも、権力者や良い家柄の人々は当然のようにホロスコープを作り、専属の占星術師がいて、何かあると占ってもらうらしい。……何となく、平安時代の藤原道長と安倍晴明の関係を連想してしまう。

 などというムダ知識を、こつこつと蓄えている私だけれど、実際に占ってもらったことは一度もない。せっかくなので、サークル加入と同時に実紅さんに占ってもらった。

相談内容は以下の通り。

ライティングの仕事につきたいと考え中。会社員にはなじめないと感じており、今後個人的に活動していきたいと思うものの自信なし。長編小説を書きたいがなかなか書けずに悩んでいる。

 なんで、こんなにぶっきらぼうな文体なのかって? ……白状すると、ぎりぎりまで悩みが思いつかなかったのです。というか、「人に相談していいこと」って何だろうって思ったんです。

 けど、そこはさすがに「noteの母」だった。

 上記のぶっきらぼうな相談内容に対して、返信はとても聡明で優しいもの。

 ライティングの仕事には適性があります。文筆業によって生計を立てることができる資質の持ち主です。 -中略-  ただあなたは「自分がこうだ」という信念のようなものが強く、人とは違った感性や個性がハッキリしています。そのため、自分の個性を殺さずに済むライティング業であることが望ましいです。 
 収入的にも仕事的にも困ることはないけれど、本当に心から「納得できた」と思えるタイミングは人生の中でも晩年になっていく星回りです。-中略- 大器晩成ですので、すぐ結果を出そうと焦るのは禁物。ただし文才のなどの資質は本物です。自分の才能を地道に信じて打ち込めば、必ず執筆業で結果が出ていくと思います。

 ……うーん。すごい。

 実紅さんとは、相談した時点でzoomで一度しか顔を合わせていないのだけれど、「noteの母」にふさわしい包容力がある返信だ。

 そして「信念云々」の辺りは、ずばり当たっている。

 noteだけでなくTwitterでさえ「自分はこうあらねばならない」と定義して書いているから、頭でっかちだなぁと思っていたけど、なるほど、これって生まれつきだったのね。

 あと驚いたのは「すぐ結果を出そうと焦るのは禁物」の部分。読んでいてドキッとしてしまった。無意識に焦って、さっさと結果を出そうとする性分を完璧に見抜かれている。

 恐ろしや、ホロスコープとnoteの母の慧眼よ。

 そして、今回の占いの中で飛び切り驚いたのが、この結果。

 執筆に関して言えることとしては、宗教観や信仰心などをモチーフとした、高尚で精神性の高い内容が向いているとホロスコープには出ています。心酔するというよりは、文化や学問としての興味を伸ばしていくイメージです。

 ……実紅さん、直接お茶会でもしましたっけ???

 私は、大学で宗教学を学んでいた。学問面から、スピリチュアルや宗教、占いなどと向き合うことが、自分のポテンシャルに一致していたせいだ。

 そして執筆内容は、ずばりその通り。「宗教観や信仰心」を書きたいと思うことがある。少なくとも、自分の作品を書くうえで、心のどこかで意識するキーワード。

 ううむ。本当にすごいな、ホロスコープ。そしてnoteの母。

 結論として、私は「自分らしく、のんびりと書きたいことを書くべし」という自分の方向性を肯定してもらえた。

 そして「自分は才能がないんじゃないか」という弱気な逃げ道を切り捨てるきっかけを、この占いで得ることができた。

・ ・ ・

 「占い」というのは本来、混乱してぐるぐる回るコンパスに手を添えてもらい、方向性を正してもらうものだと思っている。

 「~のせいで」や、「~だから」という占いの結果に依存して現在を否定するのではなく、自分が納得できる方向性を示してもらい、時には「楽をしたい」と思う自分の弱さを指摘してもらって、より良く生きる道を進むためのもの。

 今回、私の背中を押してくれた手は、実紅さんの手であると同時に、数千年の時間を「西洋占星術」にかけてきた人々の知恵の手でもある。

 背中に手を添えるような優しさで、率直で胸にすとんと落ちてくる結果を教えてくれた実紅さん……noteの母に、心からの感謝を。




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千羽はる(ChibaHaru)
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