もっと光を! 〜2006年旅の追憶①
乗り物には強いので、乗り物酔いなどで体調を崩すということはほとんどありません。
そんな自己分析を覆されたのが、イギリスに向かう飛行機でのこと。
実は、2002年に初めてアイルランドに行ったときも、確かに飛行機で体調を崩していました。
頭痛と吐き気をもよおして顔面は蒼白、身体を起こしていることができずに、乗り換えの飛行機を待つヒースロー空港では、ずっと座席に横たわっていたのです。
でもそれが、アイルランドのシャノン空港へと向かう機上で、ある瞬間からプシューッと、まるでシャンパンのコルクが抜けたかのように、体内で圧迫していた何かが頭のてっぺんから抜けていった感覚がありました。
そして、シャノン空港に降りたときは頬が紅潮するほど血色が良くなって、すっかりピンピンになっていた……ということがあったのです。
たぶん、急速に体調が戻った“ある瞬間”は、イギリスからアイルランドへと、国境線をまたいだ瞬間なのじゃないかと踏んでいます。
今回は、北極圏あたりを飛んでいるころから、次第に体調が悪化していきました。
レスキューレメディーを飲んだり、オーラクレンジングをしたりすると、その瞬間は楽になるのですが、やっぱりすぐに元に戻ってしまうのです。
割れるような頭痛と、針が刺さったかのような眼底の痛み、吐き気、手足のしびれ。
もう、最悪のコンディションです。
ちょっとでも栄養を……と思って、機内食に手をつけようとすると、ベジタリアンメニューにも関わらず、一口頬張っただけで身体が拒絶反応を示します。
この身体とは長いつき合いなので、こういうときに何が必要なのかは、私自身がとてもよくわかっています。……生の野菜と果物。
つけ合わせとして入っている生野菜のサラダとデザートのフルーツなら、おかわりが欲しいくらいにどんどん食べられるのでした。
そのとき、私は内側から発せられる声に気づいていました。
「もっと光を!」
でも、そのメッセージを現実の言葉にするのはためらわれたので、心の中に押し隠してしまいました。
そして、不調の原因を、睡眠不足や身体のバイオリズムのせいだと思うようにしていました。
ヒースロー空港で仲間と合流し、イギリスの旅がスタートするころには、体調は最悪の事態から改善はしていたものの、本調子には至らず。
食事は相変わらず、生の野菜と果物しか入りません。
この、本調子に至らない、何とも微妙なローテンションは何日も続き、ウェールズに入ったときには、再び頭痛が襲ってきました。
それでもどうにか我慢していたのですが、ブレコン・ビーコンズ国立公園に出かけた日の夜、どうにもならなくなって、ついに寝込んでしまったのです。
「もっと光を!」
その間も、ずっとこのメッセージが内側から聞こえていたのでした。