植物の癒しは次元を超える
ある日の夕方、グループLINEにメッセージが入りました。
「今日 職場で 倒れて 救急車にて 病院
大動脈解離 と 診断されて 緊急手術中です
しばらく お休みになるかとは 思います
ご迷惑おかけしますが よろしくお願いします」
それは、仕事仲間のご家族からのメッセージでした。
空白が句読点代わり。途切れ途切れの文面から、緊迫感が一気に伝わってきます。
倒れられた方とは、前日の夜にお会いしていました。
治療家であるその人は、体の不調を訴える人々の依頼をすべて引き受けていました。朝早くから夜遅くまで、営業時間外すら受け入れてしまう献身的な姿勢に、私は正直なところ(ちゃんと休めてる?)と疑問に思っていたものです。
前日の夜も、飛び込みでやってきた患者さんを時間外で対応。仕事終わりを見計らって迎えにきた子どもたちが、職場の片隅でゲームをしながら静かに待っている様子を見ていました。
それだけに、LINEメッセージを目にした瞬間、ショックを受けると同時に(私は何もできなかった…)という無力感に襲われたのです。親子の仲睦まじい様子が、私の脳裏をよぎっていました。
そして、第一報で受けたショックは、私の奥底にある記憶の蓋をこじ開けたのでした。
大学を卒業して社会人になった春、私は父を事件で亡くしています。
誕生日を迎え、父が旅立った年齢に達したことで、今年は自分にとって重要な節目になっているように感じていたところでした。
そんなタイミングでもたらされた第一報は、かつての事件を思い起こさせると同時に、当時の自分が味わった痛みや苦しみを蘇らせるものだったのです。
自分の体験に重ね合わせたとき、今のご家族、特にお子さまたちが受けた衝撃や悲しみはいかばかりか…。それを思うと、胸が張り裂ける思いになりました。
冷静に。まずは冷静に。
慌てて、木箱から緊急時のエッセンス、ファイブフラワーレメディ(レスキューレメディ)を取り出します。
そのまま舌下に数滴を垂らして服用。10分おきに繰り返しながら様子を見、次第に服用の間隔を開けつつ動揺が収まるのを待ちます。
その間、私は心の中で強く念じていました。
「子どもたちに、大人になるのを強いるのはまだ早すぎる。幼い子どもたちを残して先に逝ってはダメ!」
時間が経過し、ファイブフラワーレメディを頻繁に必要としないほど落ち着きを取り戻した頃には、私の心境に変化が訪れていました。
「先に逝くことを選択しているなら、そのまま次のステージに進んで大丈夫。あなたの子どもたちも、深いレベルではちゃんと理解しているから安心して」
人として生きる有限の生命ではなく、無限の魂としての運命の中で、自分が選ぶ道を突き進んでいい…そんな気持ちになっていたのです。
その後、音沙汰がないまま数時間が経過。
日常生活に戻った私は、夕食を済ませ、お風呂に入ろうと準備していたときでした。
突然、何の前触れもなく意識下に植物が現れたのです。
赤の力強いエネルギーを放射する花、レッド・チェストナットでした。
レッド・チェストナット(Red Chestnut)
科属/トチノキ科トチノキ属
学名/Aesculus carnea
和名/ベニバナトチノキ
花期/5月
12-7-9選択法/セカンド19:毎日の生活で起こる感情の起伏を表すエッセンス
7グループ選択法/恐れや心配のある時に
製造法/煮沸法:できるだけ多くの木から満開の花房を摘み取る
レッド・チェストナットが見えたとき、「もう大丈夫」と直感する私がいました。
たぶん、肉体を脱ぎ捨てて先に進むことはない。大切なご家族のために、ちゃんと戻ってきてくれるはず…何の確証もありませんが、不思議とそう思えたのです。
「手術 無事終わりました」
グループLINEに救命成功の連絡が入ったのは、もうすぐ日付が変わろうかという時刻でした。
フラワーエッセンスの植物が意識に浮上することは、これまでもたまにありましたが、こんなふうに強烈なヴィジョンで現れたのは初めて。
小瓶に入った液体を用いて植物の情報(エネルギーパターン)を受け取り、私たちの心と霊的な体(サトルボディ)を調えるのがフラワーエッセンスです。けれど、その本質は、小瓶に詰め込まれた液体に限りません。フラワーカードなどの植物写真を見ることからも、そしてもちろんですが、自然に分け入って植物に出逢うことでも、私たちは植物と交流し、彼らから癒しや情報を受け取ることができるのです。
今回は、ヴィジョンを通して植物が私の意識にやってきた…というものですから、このような体験とフラワーエッセンスの作用を紐づけるのはおかしい、と思われるかもしれません。ただ、レッド・チェストナットをヴィジョンで見たとき、確かに緊張が緩んで呼吸が深くなり、気持ちが和らいで力がみなぎってくる感覚があったのです。
それだからこそ私は、これもフラワーエッセンスのはたらきの一種であると断言します。精妙なエネルギーに対する感度が高まることで、スピリチュアルな世界への扉が開かれる。奇蹟を感受する能力(sense of wonder)が研ぎ澄まされ、次元を超えたさまざまな情報にアクセスできるようになるのです。
この体験は、自然の精霊、植物、天使やご先祖さまなど、高次元の存在と交感する瞬間が訪れたならば、そのとき得たメッセージを信頼していいんだ、と把握する事例になったのでした。
このお話は、半年以上前に起きた出来事です。
手術を乗り越えて生還した治療家さんは、リハビリを乗り越え、この夏からご自身のペースで仕事に復帰する…との報告をいただきました。
オーク気質の強い方なので、つい面倒見が良過ぎてしまうところがあるのですが、今回の手厳しいレッスンを経て、改めて人生を見直されたそうです。
これからはご自身の健康にも気を配りながら、不調に悩む患者さんに寄り添い、素晴らしい癒し手として手腕を発揮なされることでしょう。