イギリス就職を目指す人へ Skilled Worker Visa編
留学などで渡英し、その後イギリスでの就職を目指す場合、Student VisaからGraduate Visaに切り替えて就業するのが一般的です。Graduate Visaに切り替えれば、2年間(もしくは3年間)イギリスで働くことができます。
ただし、2年間という期限付きのため、その後はSkilled Worker Visa(就労ビザ)に切り替える必要があります。以前の記事で書いたように、Graduate Visaが廃止になった場合、初めからSkilled Worker Visaをスポンサーしてくれる企業を探さなければなりません。
問題は2024年4月4日から、Skilled Worker Visaの取得が今よりも難しくなることです。
イギリス政府は2023年12月にSkiller Worker Visaを取得するための年収要件、さらにイギリス人がイギリス国外から家族・配偶者をイギリスに連れてくるための年収要件を£38,700まで引き上げると発表しました。
このニュースが出てから、「一定以上の年収があるイギリス人しか外国人と結婚できないのはおかしい」「一定の収入がないと家族をイギリスに連れてこれないのはおかしい」という批判が噴出し、イギリス政府は家族帯同の条件については、二段階に分けて実施することにしたようです。
しかしSkilled Worker Visaに関しては、批判が盛り上がらず、昨年12月の発表からわずか5か月で実際に実施されることになってしまいました。現行の年収要件である£26,200からの大幅な引き上げとなります。イギリス官僚の友人は「どうせ選挙対策で打ち出しただけですぐには実施しないから慌てなくても大丈夫だよ」と言ってくれていたのですが…
£38,700はイギリスにおける年収の中央値とほぼ同じ、ということですが、ロンドンにおけるエントリーレベルの給与テーブルがおよそ£25,000~£30,000であることを考えると、今後イギリスで就職活動する人にとってはかなりの痛手だと思います。Amazonでも初年度の給与は£35,000らしいので、£38,700以上の仕事を見つけるのは簡単ではないということが分かると思います。
以下、留学生に多いパターンごとにイギリス就職のために必要なことを考えてみます。
まず大学を卒業後、日本で職務経験を積まずに大学院に進学する場合。この場合、Graduate Schemeというポテンシャル採用のスキームに応募することになると思います。これまでコンサルティング大手などは一般にGraduate Schemeでも就労ビザをスポンサーしていましたが、今後はGraduate Schemeでもビザをスポンサーしてもらえるのか、という問題が出てきます。
私が昨年末にとあるBIG4のGraduate Schemeに応募したとき、「ビザの条件がどうなるのか分からないので、選考を保留します」と言われてしまいました。その会社で働いていた人に聞いたところ、Graduate Schemeの年収がビザの要件に達していない可能性があり、今後、ビザが必要な人は採用されないのではないかと言っていました。
またエントリーレベルの仕事に応募する場合も同様に年収要件がネックになってくると思います。
このルートで卒業後のイギリス就職を考えている人は、あらかじめLinkdInやBright Networkを使って、自分がしたい仕事、応募できる仕事の年収を調べる必要があるといえます。もしかしたらComputer Scienceなどであれば問題ないのかもしれませんが、私のように人文社会科学系の専攻の場合、かなり厳しいのが現実です。
日本で働いた経験がある人に関しては、次回以降書きます。
(16/3/2024)(Image ©Charles Postiaux)