House of Commons イギリス議会傍聴に行ってきました。
有給が余っていて特にやることもないので、議会傍聴に行ってきました。
イギリス議会(the Commons、the Lordsいずれも)は、誰でも、無料で、事前予約ナシで傍聴することができます。興味がある人は、こちらのサイトからスケジュールを確認してみてください。Palace of Westminsterにふらっと行って、入口で「議会傍聴したい」と言えば入れます。私は14時過ぎに着きましたが、特に待ち時間もなく、14時30分過ぎにギャラリーに入ることができました。
https://www.parliament.uk/visiting/visiting-and-tours/watch-committees-and-debates/debates/
ただし、毎週水曜日に行われる首相答弁を傍聴するためには、イギリスに居住している必要があります。また事前に地元の議員を通してチケットを確保しておかなければなりません。
私が傍聴した日は、首相答弁はありませんでしたが、(悪名高い)Suella BravermanやJeremy Corbynの質疑を聞くことができて見ごたえがありました。
この日は、the Secretary of State for Work and Pensions(雇用と年金担当者)が答弁に立ち、子供の貧困、年金、失業対策に関する議員からの質問に応答していました。Pensionを申請する資格があるのに、申請方法が煩雑でそうした人たちが受給できていないのでは、といった批判が出ていました。議論の内容自体は日本の政策論争と似てますね。
また事前に提出された質疑終了後、防衛大臣のJohn Healeyが登壇し、防衛予算に関する質疑応答が行われました。先日、労働党政権による予算が発表され、国防費に関してはGDPの2.3%(傍聴した質疑による)から2.5%まで増額することが決まりました。それに関する質疑応答ですね。
防衛費の増額に関しては、ロシアのウクライナ侵略に関する危機感から、両党ともに広く合意している、という印象を受けました。途中、保守党の議員が「予算案を発表したがいつ増額を実現するのか」と追及していましたが、厳しい追及姿勢はポーズに過ぎないとお互い分かっている印象を受けました。(そもそも保守党政権の時代には防衛費が増額されなかったので、保守党の議員が「早く増額しろ」と追及するとブーメランになります)
個人的には、各議員の質問は個別の論点に関するもので、政策全体の見取り図みたいなものの議論はされておらず、ちょっと物足りない気がしました。
とても面白いなと思ったのが、みんな話すときは「Mr. Speaker」と言って話し始めること。論戦の相手に直接話しかけているというよりは、議長に向かって話しているようでした。"Will you tell the prime minister….?"と質疑の相手に直接聞くのではなく、"Will he tell the prime minister…?"と言っていたのも印象に残りました。
それと議事目録では全員"she"と表記されていること。男性の議員であっても、質問内容は”What recent estimate she has made of the level of child poverty in Rugby constituency.”と表記されています。
途中、her government という言い方も出てきましたが、これはHer Majesty's Government、要するにエリザベス女王が存命だったときの内閣を指します。現在はチャールズ国王なのでhis governmentになります。
というわけで議論の内容そのものだけでなく、議論のフォーマットやスタッフの人のユニフォーム、議事堂の内部も含めて非常に見ごたえがありました。
(13/11/2024)(Photo by Aron Van de Pol on Unsplash)