8月の蝉鳴く空に 昭和の記録 推薦図書 軍艦武蔵 上下
私がこの夏に推薦できる本を皆さんにご紹介します。
それは、 軍艦武蔵 手塚正巳 著 上下巻
どうして、この作品なのかと言えば、この本は、何人かの士官学校を卒業したての若者を通じて、彼らが乗った武蔵をはじめとする、艦船での艦隊生活を描く、リアルドキュメンタリーです。本著内に登場する、固有名詞は実在もしくは実在された方々で、その方々は、ネット上からもサイドストリーがいくつも見つかるほど、本当に時を生きた人々です。一般にある、太平洋戦争の記録では、ここまで生活臭のする艦隊生活が伝わりませんし、さらに言えば、歴史を認識するうえでは、生活臭は不要です。けれど、歴史の中に生きた人間を理解するうえで、私はこれほど優れた書籍をしりません。一言でいうなれば、太平洋戦争であまりにも象徴的な戦艦大和の同型艦武蔵の生涯と、それに乗り込んだ人々の物語でありながら、どこか、現代の若者達の企業小説を読んでいるかのような、賢明さと清々しささえ感じるドキュメンタリーです。戦争に死はつきものです。けれど、その死を美化するのではなく、また悲惨さを強調するのでもなく、そこに確実に存在した逃れにくい現実として描かれ、生きているからこその喜び、嘆き、責任、を受け入れつつ全うした人々の記録です。
私が、この作品の登場を、なぜここまで身近に感じているのかと言えば、それは書籍内に登場する彼らが、実に普通の人間として、今の時代の私たちと、何ら変わらずに描かれていることと、彼らをもっと知りたいという、私の希望を叶えてくれた、ホームページの存在があります。
そのホームページを、縁も所縁もない私ごときがリンクして良いのか悩むところなので、ここではリンクはいたしませんが、そのページは #なにわ会 とだけ記載させていただきます。私は、神奈川は鎌倉の生まれであり、鎌倉には横須賀ゆかりの人、もの、こと、も少なくなく、また、親戚には海軍関係の人間もいたことから、決して失礼の無いように、このHpを拝見させていただいたと自負はしております。
この本に出合ったきっかけは不思議な出会いでした。
お世話になっている、王手広告代理店の偉い方から、今からもう20年近く前にこの本を贈っていただきました。当時、私は、戦争をきちんと伝えられる方々がご存命のうちに、その機会を逸したくないと考えていました。それは、私のビジネスとして、同時にライフワークとして出来ないだろうかと、強く感じていた事なのです。その気持ちは、当時存命だった祖母の影響もあり、私の周りには、存命する祖母の他に、存命していない戦争を体験した親族が何人もいたことによります。存命した祖母の話は、女性から見た戦争ではありましたが、祖母の話は極めて興味深い話であり、存命していない親族が生きた記録も歴史そのものだったのです。
その話とはこんな内容です(書籍の照会内容からは外れます)
祖母の実家は都内にあり、若い娘だった祖母が雪の日に自宅の庭に潜む兵士を見たという話は、それを聞いた当時の私は子供だったために、理解していませんでしたが、祖母の実家があった場所と、雪と兵隊で、その意味がわかりました。さらに、祖母は嫁ぎ先の私の実家もある鎌倉で、戦争末期にさる経験をしたと、私に話しました。鎌倉に爆弾は落ちていないと考えはしたものの、調べていたところその話も裏付けが取れた。さらに、親族は、戦前から航空会社に勤務していたために、そのまま軍属となり、戦死、その遺骨を持って帰国しようとした親族は #病院船 に対する潜水艦からの魚雷攻撃 にて死亡している。
ここに出てくる話だけでも、戦前 戦中の大事件が2つも存在している。