日本の家電メーカーには道がある・・
僕は この #note において、複数回、この話題を取り上げてまいりました。これは、多分、私の中では、放置でききれないモノとして、意識されているからだと思うのです。それは、 #日本人の議論は 「ノンキすぎてお話にならない」で有名な デービット・アトキンソンさん の受け売りなのかもしれない、また、トマピケさんのおっしゃる事にも影響されている部分もあるのだけれど、いずれのしても、20世紀の日本やアメリカの様に、右肩上がりで人口が増加しない時代の中、日本は、ずれたことをしているという、ことにただならぬ危機感を感じているからなのです。そんなお話から、今日は書いてまいります。
日本の大量生産、大量消費は、経済成長を支えてきたのは、異論をはさむ余地がありません。大量生産、大量消費、なのに、生産される製品は、常に高品質を目指し、実現され、競争の中で磨き抜かれ、一流の商品へと成長したのです。この、日本のモノずくりの秀逸さは、実は現代の日本が最も考えなくてはならないものなのです。
=耐久消費財の代替えサイクルとその動機付け=
減価償却等の会計的なものは別として、一般的な生活者の消費行動において、耐久消費財の理想的な代替えとは何であるかを考えます。昭和の日本ではこんなことが実際にありました。購入してから、使い続けた家電、目立った劣化、故障もなく、標準的な耐応年数をつつがなく過ごしつつある、ここにきて発売される新製品は、機能面でもデザイン面でも、大変魅力的であり、この機会に、購入から一定期間使用し、充分に満足した状態で、代替えをすることにした。簡単に言えばこういう事なのです。ここには、故障しない製品を世に送り出そうとする、作りて側の意気ごみがあり、日本人の気質に、これがマッチして、製品は進歩したのです。この理想的な形の代替えを、もったいない、とか、大量消費に異論を唱える動きが起きたのも、記憶の新しいものです。けれど、そんな批判があるのは理解しつつも、日本のメーカーが生み出した製品は、魅力的でかつ、今、真剣に見直すべき、アップスケールマーケット化が、この時期の日本は実現できていたのです。この時期とは、実はそんなに昔ではないのです。さらに言えば、この傾向は、他業種に現れていましたし、実は現在も続いていて、アップスケール市場へのアプローチは、日本企業が最も得意とするところなのです。では、なぜ? はい、それは以下のことです。
★製品の良し悪しよりも優先させる、経営戦略の良し悪し
アップスケール市場 かつては、人口のボリュームゾーンをアップスケール化させるのが主戦略だった。けれど、ボリュームゾーンが、かなりの割合で、貧困化したため、そのターゲットは限られたアッパーゾーン向けに特化しはじめた。それは、格差の問題と原因を同じくするものであるにもかかわらず、国はその問題を放置した。これにより、企業は良いものを生み出せば売れる時代から、高度な販売戦略という、消費者には関係のないところでの企業の持つポテンシャルにより企業の売り上げにも格差が生じることになった。もはや、製品の良し悪しよりも、経営の良し悪しが企業を変えたのです。もともと、理系のモノづくり、に特化する傾向が強かった、国内家電メーカーは一気に弱体化し、古くから、マーケティングに長けていた、自動車産業は、この状況でさえ切り抜けてきたのです。
自動車メーカーの数社は、完全にアップスケール市場に対応出来ている。製品のトータルコンポーネントと、マーケティングの成果、ブランディング。
家電メーカーの多くは、迷走してしまった。一番の理由は、パーツメーカーになったこと。ヒューマンリソースの流動性を考えなかったこと。例えば、ブラウン管大型てれび、液晶テレビ、プラズマ、そして、デジタル時代の到来、新しい魅力的なテレビの展開をすすめれば未来も見えたはずです。なのに、3Dテレビにシフトしたかと思えば、やめて、液晶パネルだけに特化し、部品を売ったこと、技術を売ったこと、人を出したこと、など。他社ではPCを売るべきなのに、半導体を売ったこと。これは、技術浴が劣っていたのでもなく、商品が悪いのでもなく、マーケティングや経営戦略側の問題なのです。
その意味で言えば、世界的に見ても、自動車産業は、一つの好循環が生まれていますね。これには、化石燃料に頼らないという、世界的な流れがあることも大きいと思えます。ただ、最新最前線の魅力的な高額車両を買える人口は限定的なので、ボリュームゾーン向けには、車種を減らすなどの工夫があり、金が無いと車も楽しめないきおとも事実としてありますが、ここしばらくは自動車は良い方向だと思います。
では、日本の家電メーカーに日の目は無いのか? その答えは、勝算は大いにアリです。それは、今一度、アップスケールに目を向けることなのです。限られた富裕層に向けたマーケティングではなく、圧倒的なボリュームゾーンに対しての、アップスケール戦略です。なぜなら、今現在、家電系は、私個人の感想ですが、変なシフトが起きていると感じます。人件費の安い国で製造させて、単価を抑えても、世界中のメーカーが、同じ部品を共有して、部品単価が下がろうと、価格を必要以上に下げる動きは、本当に良いものを見分けられない顧客になら通用しても、良いものを使い慣れた日本人だけにはNGを出される筈です。現在、日本をはじめ先進諸国の人口は、減少傾向、または横ばいだと仮定します。となると、この地域では需要を上げるためには、購買頻度を増やすしかないのです。となれば、ポジティブな考えでは魅力的な新製品を開発して、代替え需要を促進するか、現実にそんなことがあるかはまったくわかりませんが、耐応年数を短くすることかと思われます。 #壊れたから買うしかない これは、気持ちのいい消費サイクルではないと言えます。さらに、その需要を促進するために、 #修理は高くつく という状況で、諦めを後押しします。
不健康な消費サイクルには、私達は違和感を感じるのです。
ここが、日本的なものの生み出し方、ものの使い方ではないでしょうか?信頼できるものをきちんと使いきる。そのために、 #安かろう悪かろう を避ける、この #避ける という、消費行動に対応した商品を提供することが現在の、家電業界には必要なのだと思います。
量販店の長期保証 が意味するものは 決して商品の確かさではなく、壊れることが、消費者の中で予見されるからの、プロテクションなのかもしれません。ただ、壊れるのは、この長期保証が切れた直後、というのことを、私は何度か経験しています。
アップスケールの第一条件は、消費者の要望に応える 消費者を裏切らない 驚くほどの喜びは提供しないけれど 絶対に消費者を不機嫌にはさせない
こういうことだと思うのです