13歳で出会った「Because I am a Girl」が、私の人生を変えた
はじめまして!プラン・インターナショナルの齋藤イングリッド小巻と申します。異なる文化や環境で育つなかで見えてきた「当たり前」の違い。13歳の時に出会ったプラン・インターナショナルの書籍「Because I am a Girl※」。世界の女の子たちのために行動する原動力となった出来事を振り返りながら、プランの職員となった今、私が実現していきたいことをお伝えしたいと思います。
※Because I am a Girl(著者:Rosemary McCarney 出版:Plan International Canada Books Series)
多文化が育んだグローバルな視点「世界のことは私のこと」
私は、パラグアイと日本のミックスルーツです。私が生まれる前から獣医として国際協力の現場で働いていた父の影響で、私は南米で生まれ、中南米や南アジア、アフリカで育ちました。幼いころから家ではスペイン語と日本語を話し、学校では世界各国のクラスメイトと英語で勉強しました。多様な背景を持つ人々との交流を通し、幼いころから日常的に、「『当たり前』と感じていることが、場所によって大きく異なる」ことを意識するようになったと思います。
13歳のとき、家族でケニアに旅行に行った際、旅先で必ず本を買っていた父の真似をし、ふと目に留まった「Because I am a Girl」という書籍を手に取ったことが私の人生を大きく変えました。本には世界中の女の子たちが直面する課題が書かれており、それを読んだ私は「将来は彼女たちのために働きたい」という夢を抱くようになりました。現在、その夢が実現し、この書籍を出版した団体で働いていることは、当時の私にとっては想像もできないことです。
ウガンダで衝撃を受けた「生理の貧困」とジェンダーへの関心
高校時代、ウガンダに住んでいた私は、現地の小学校でジェンダー格差に関する調査を行い、論文を執筆しました。その際、初めて「生理の貧困」という問題を知り、自分にとって「当たり前」だったナプキンが、ウガンダの多くの人々にとっては「高級品」のため、なかにはバナナの葉や土を代用している人々がいるという現実を知り、衝撃を受けました。同時期に、私は大怪我をして2カ月半ほど寝たきり・車いす生活を送り、長期間学校を欠席しなくてはならなくなりました。この経験を通して、教育、健康、メンタルヘルスの重要性を深く認識し、世界中の女の子たちの力になるためには、包括的なアプローチが必要不可欠だと気づかされました。
その後、無事高校を卒業し、大学では国際開発を専攻しました。在学中はカンボジアやミャンマー、ネパールで教育に関するインターンシップを経験し、卒業後は日本とウガンダに事務所を持つ教育団体に就職。遺児の教育支援に携わりました。この団体では、学生たちに生理用品を無料で提供するため、他の団体に寄付を呼びかけたり、性教育の講演を行ったりと、ジェンダーの視点を取り入れながら、自分なりに活動に取り組みました。
大学院での学び:気候変動とジェンダーの深い繋がり
その後、私は気候変動や地球温暖化問題にも関心を抱くようになりました。自然災害が頻発する現状を目の当たりにし、環境について深く学びたいと思い、大学院に進学。環境と開発、平和学を専攻しました。持続可能な食文化の研究を通して、気候変動の影響を最も受けやすいのは女の子や女性であることを知ったのも、このときです。食料不安や自然災害がジェンダーと深く結びついていることを実感し、あらゆる分野においてジェンダーの視点が重要であると確信しました。
13歳の夢を叶え、念願のプラン職員に
大学院修了後、日本に帰国。プログラム担当の求人募集に応募し、念願だったプラン・インターナショナルに入局しました。現在は、災害や紛争地域での緊急人道支援を担当しています。初めての海外出張先は、かつて「Because I am a Girl」という書籍に出会い、国際協力の道を志したケニアでした。プランの職員として再びケニアの地を踏むことができ、感慨深い思いでいっぱいです。ケニアでは、ジェンダーの観点を取り入れた気候変動対策の事業を視察しました。今後、プランにおいて気候変動に関連する事業に貢献していけたらと、期待に胸を膨らませています。
自分の「当たり前」を再考し続けることの重要性
この仕事を通して、多くの困難な状況に直面している人々のために働けることは、私にとって大きな喜びです。同時に、私たちが日常で感じる「当たり前」が、どれだけ多くの人々にとって特別であるかを忘れてはならないと感じています。これからも、自分が享受している権利は特別であるということを自覚し、リソースを最大限に活かすことで、より良い世界を築くために貢献したいと考えています。世界中の女の子たちが安心して生きられる社会を作るために、努力し続けたいと思います。
国際NGOプラン・インターナショナル プログラム部 齋藤