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ポケコン哀歌、きみと一緒に歩いた一年。(1)

※ ポケコンのことを書いていたらとても長くなってしまったので、ヒーローズリーグ全般の感想投稿は別にしておきます。
結果として、ギーク度・オレトク度が非常に高めになっております。

メールがやってきた。

とある日曜日のこと、受信ボックスに見慣れない差出人からのメールがとびこんできた。

Twitter for PC-G850
開発者様

この度はヒーローズ・リーグ2019にご応募頂きまして、
ありがとうございました。

運営委員の伴野でございます。

厳正なる審査の結果、
ご応募を頂きました作品が、
「学生ヒーロー」の「オンライン選考」を突破し、
決勝審査に進出をいたしましたので、
ご連絡をさせて頂きました。

マジかよ。

今年エントリーしたのは、「Twitter for PC-G850」という、SHARP 製ポケットコンピュータ PC-G シリーズにくっつけて Twitter をできるようにするカートリッジである。

ポケコンは漢字を出せない。

実は昨年も「TWITTER.BAS」としてヒーローズリーグに応募していた。
当時の機能はといえば、特定のキーワードで Twitter を検索して、その結果をポケコンに表示するというもの。UI こそ今年のものほどリッチでなかったが、コンセプトとハードウェア構成は今年応募した Twitter for PC-G850 と全く同じものである。

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この機種は本来、漢字を表示できない。
なぜ表示できているかという話は技術的すぎるので省略するが、ここまで来るのにも相当の苦労があった。漢字が出た時点で、これは応募に足る作品だ!と満足していたのだ。

だが、Web 審査すら通過できなかった。

仕方がない、ポケコンは時代に取り残されたハードなのだ、と納得していた。それ以降の開発も中断していたと言っていい状況だった。

ポケコンに出来ないことは他にやらせよう。

転機が訪れたのは、思い返せば 2019年1月。
IoT ALGYAN 広島支部のイベントに参加。STM のセンサボードと Azure をつなげて何か作るという課題に、ポケコンに ESP32 を経由して WebSocket でデータを流し込み、計測値をリアルタイムでグラフ描画する(ついでに計測値に合わせて音が鳴る)というシロモノを発表して、最優秀賞をいただいたのだ。

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実はこれ、前日に発表日を2週間も間違えていたことが発覚し、徹夜で作った急ごしらえのもの……

しかし、この一作が全てのアイデアのタネになった。
パワーが足りないなら、コネクティビティーがないなら、他のコンピュータをつなげて補えばいい。

奇しくも昨年の IoT ヒーローは、カセットテープに ESP を内蔵してストリーミングプレイヤーにしちゃうという作品だそうで、勝手にシナジーを感じている。

ポケコンは壊すと替えがないので内蔵はできないが、外付けなら問題なさそうだ、という証明ができた。

出展するならインタラクティブにしないと。

2月の NT 広島には、TWITTER.BAS に任意の検索ワードでの検索機能と、ユーザーIDを指定してその人の最新のツイートを取得する機能を追加して出展。

人生初展示だったので色々と準備不足ではあったが、一部の人にはどストライクする展示ができた。ポケコンはそれでいいのだ。

そしてアフターパーティー中に、ポケコンからアルファベットでのツイートが可能になる。クラブの片隅でコードを書いた。

当時はマイコンも配線も剥き出しだった。

プロトタイプレベルなら剥き出しでいいが、人前で出展するとなるとさすがに見た目が気になってきた。しかも、ケーブルのつなぎ方が覚えづらく、当然間違えると動かない。「ちょっと動かしてみる」のは難しかった。

だが、専用基板をつくるほどの技術力はまだない。

どうすれば展示に堪える見栄えにできるだろうか。

つづく。

いただいたサポートは、記事の内容にのっとって使わせていただきます。具体的には楽譜を買ったり、基板を買ったり、抹茶を買ったりします。