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ポケコン哀歌、きみと一緒に歩いた一年。(2)

ポケコン哀歌、きみと一緒に歩いた一年。(1)から続く。

前回のあらすじ:
MA2018 に応募した TWITTER.BAS は予選敗退だったが、ポケコン現役世代の熱狂をうけ、じわじわ開発を進める。NT 広島への出展を経て、半角文字のツイートが可能に。まだ基板がむき出しで、持ち運びや展示は厳しかった。2019年2月のことである。

スマートフォンがない世界を想像してみる。

ある日、こんなツイートが流れてきた。

してやられた。これこそ、Twitter for PC-G850 の目指すべき境地だ。
さすがに色を変えるのはしんどいが、カセットの入れ替えで利用する SNS が変わるのは魅力的だ。そのためには、Twitter をカセットに詰め込んでやらなくてはいけない。

このツイートで、全ての物語が出来上がった。

カートリッジは、本来は形のないソフトウェアを「所有する」ための依り代である。DLソフトにお金を払いたがらない人も、カセットにはお金を払う。

Twitter for PC-G850 は、コンピュータの価値の本質はどこにあるのかを問う作品になるだろう。

カセットを変えれば、同じハードウェアを使い続けることができる。30年前のゲーム機は当時のソフトで動かせるが、10年前のスマートフォンはもうまともに動かない。

Twitter for PC-G850 は、スマホを数年に一度も買い換えてまで Twitter をやるのかという、問題提起をする作品になるだろう。

惜しいのは準備不足で、プレゼンの場でこれについて全く触れられなかったこと……

カートリッジをつくろう。

コンセプトはこうだ。「ポケコンに挿すと Twitter ができるカートリッジ」、それが Twitter for PC-G850 だ。

次はカートリッジを何にするか検討しなくては。

電子工作をやる人ならお馴染みのフリスクが、使っていた ESP32 基板を入れられる丁度いいサイズだった。しかも手元には偶然「フリスクケースにあうユニバーサル基板」がある。これを使わない手ない。

もとのアイデアが上記の端末なので、ゲーム機を意識してこんなラベルを作ってみた。

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その後、フリスクと間違えてミンティアを買うトラブルがあったのだが、これはまた別の話。

中身を食べきり、ヒートカッター・ルーター・ヤスリを駆使してケースを削るのに結局1ヶ月近くかかった。実はフリスクは刺激が強くてなかなか食べられない。大義のためにはしかたがないので、毎日数個ずつ消費した。

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想像よりかわいい仕上がりになったので満足している。

自分より強いやつを動かせそうだ。

夏休み、8月の IoTLT 広島への登壇で新境地に至る。NT の後どこにしまっていたかわからなくなっていたプログラムを引っ張り出してきて、山之上教授の十八番「着る電光掲示板」に、ポケコンから文字を流し込むことに成功したのだ。

これができれば、Twitter をきっかけにして動くあらゆる機器をコントロールできるようになる。IFTTT や Zapier、MS Power Automate(旧 Flow)を経由すればウェブサービスとの連携も簡単にできる。

ポケコンが他の機器やソフトを制御する「母艦」になる未来が、この時はっきりと描けた!あの素晴らしい愛をもう一度!

一年分の負債を返済せよ!

10月頭。IoT ALGYAN の小暮さんから、11月末に横浜で開催される IoT つくるよ!2への出展のお誘いをいただいた。最初は距離の問題で悩んだが、「ぺんたさんの存在をもっと広めたいのです!」の一言に、不覚ながら胸キュンしてしまう。
そんなことを言われたら行くしかない。行くからには、完成度を高めて出さなくてはいけない。

そこで、Incaaaan でおなじみ武村さん主催のもくもく会に参戦。

当時マイコン側のソースコードが 1,200行を超え、だんだん新機能を追加するのがしんどくなってきていた。
開発当初から残っているコードを消して、拡張ができるように書き換え・分割する、俗に言う技術的負債の返済をやらなければ、今後の発展は望めない。

この、新機能の追加ができない苦しい作業を、もくもく会の力で乗り越えられた。

これを機に大規模プロジェクトもソツなくこなす Platform IO に開発環境を変えたところ、移行でつまづいて動かなくなるという事態に見舞われたが、それでも無駄に凹まずに「動かなくなっちゃったんですよアハハ〜」で済ませてお酒を飲めるのがもくもく会のいいところである。武村さん、ご馳走さまでした。

そして応募。

もくもく会の後の居酒屋で、ヒーローズリーグへの応募を決意。そして即登録。武村さんに累計3回くらい「出してみなよ〜」と言われた気がする。この後押しがなければ応募はなかったので、武村さんに感謝です。

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余談だが、居酒屋とポケコンは非常に相性が良い。席に持ち込めるサイズ感、酔っ払っていても使える平易な文法、指先の感覚でキーを探せる入力装置、を兼ね備えているからだ。飲みの席でのライブコーディングに是非。

昨年の経験から、身の丈応募ではダメなことがわかっていたので、思い切り大風呂敷を広げた。

ポケコンからのツイートには英字・ひらがな・カタカナを使用可能。将来のアップデートで単漢字変換もサポート予定です。

当時は英字でのツイートしかできなかったが、もくもく会の帰りの電車で閃いて、ひらがな・カタカナも使えるようになる目処が立ったのだ。

しかし、その実現にはまだ大きな壁が残っていた。

つづく。

いただいたサポートは、記事の内容にのっとって使わせていただきます。具体的には楽譜を買ったり、基板を買ったり、抹茶を買ったりします。