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チェコ語の勉強をはじめた。

高校生のころチェコに行った話は、たまによくするのだが、ここにきてやっとチェコ語の勉強をはじめた。なぜか。また行きたいからだ。

行ったときにはもちろん数種の挨拶と、簡単な自己紹介と、すこしの単語を覚えたのだが、未だにそれをよく覚えているから、不思議なものだ。ただ、スペルは完全に忘れてしまった。私はどうやら音声記憶らしい。

で、そんなバックグラウンドがあるわけで、そのうえチェコ語というのはとても可愛らしい言語だから、活用がやたらと難しいことを除けば習得しない理由はない。活用がやたらと難しい、ただそれだけで、数年間敬遠していたのだった。

例えば消しゴム。チェコ語では guma というらしい。可愛い。日本語にある消しゴムの「消す」という機能の詳述がどこかに行って、代わりに可愛いさを足した感じだ。
もはやあのゴム塊は、ものを消すためにあるのではない気がしてくる。ヨーロッパの香りがする。というのは私の偏見かもしれない。
けれど、プラハの旧市街を走るトラムの車内でこの可愛らしい言語が交わされるのだろうと思いを馳せると、私はいてもたってもいられなくなる。

そうして私は向こうで買ったマーブル消しゴムを思い出す。あまり消えなかった。そうだ、あれは guma だったのだ。

英語もある程度通じるのだが、だからといって英語を喋ってはいけない気がしてくる。チェコ語でしか語れない夢がある気がしてくる。
きっとチェコ語を生んだチェコという国の歴史が、文化が、あるいはチェコ人の人柄が、そうさせるのだろう。

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