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ポケコン哀歌、きみと一緒に歩いた一年。(3)

ポケコン哀歌、きみと一緒に歩いた一年。(2)から続き。

前回までのあらすじ:
「ポケコンで Twitter」というコンセプトは揺るがないまま、ヒーローズリーグに見切り応募。カートリッジに入れる想像もできた。技術的負債を返済しながら新機能の追加へ舵を切るが、そこには大きな障壁があり……

きみはテーブル職人になれるか。

10月のもくもく会で、「実装したい機能」だったひらがな・カタカナ投稿が、「実装可能な機能」になった。

技術的な詳細は Qiita に書くので省くが、ポケコンで入力したカタカナを直接 Twitter に送ると文字コードが違うので文字化けしてしまう。これが理由で、これまで投稿にはアルファベットしか使えなかった。

この文字化けを回避する方法はただ一つ、カタカナを Twitter の文字コードに変換してやるしかない。ところがこの変換が曲者で、数式一本でできるような単純なものではなく、カタカナ全部の変換結果を網羅する必要がありそうだった。

「何かしらの計算結果を網羅したデータ」のことを専門用語でテーブルという。この瞬間、ポケコンで満足に Twitter ができるかどうかは、僕は果たしてテーブル職人になれるのか?という問いにすり替わったのであった。

作品づくりは制限との戦いだ。

計算結果とは書いたが、実際は計算よりもっと泥臭いことをやっている。
ポケコンのカタカナ一覧と Twitter 用のカタカナ一覧を照らし合わせて、番号順に並び替える作業だ。

とはいえカタカナだけなら文字数が少ないので、バグがあるかもしれないテーブル生成プログラムを作るより、手作業でテーブルを作った方が早くできそうだった。

つくるよ!の出展は11月末。もくもく会は10月末だったので、まだ余裕がある。。。

と思っていたところ、届いたのが冒頭のメールである。

<審査会詳細>
会場:ヴァル研究所
日時:2019/11/16(土) 10:00 〜 13:00

なんと締め切りが2週間も早まってしまった!

しかも、応募するときに「ひらがな・カタカナでのツイートができます」と書いてしまったので、やっぱりできませんでしたと言うわけにはいかない。

残された時間は1週間。ある日はポケコンと向き合い、ある日はカートリッジにするためのフリスクケースを削り、とにかく作品づくりを進めていった。

ご支援を受けながら東京へ。

もう一つ問題があった。この決勝審査会、交通費が出ないのである。

このとき僕は近年稀に見る金欠っぷりで、口座に数千円しか残っておらず、東京まで片道14,000円の旅費をクレジットカードで払うと翌月末の引き落としができないという状況だった。

決勝審査に行かずにリモートでプレゼンすることも考えたが、次いつ入賞できるかわからない。

大いに迷ったが、日本に Twitter for PC-G850 のプレゼンができる人は他にはいない。16日にダブっていた予定を泣く泣くキャンセルした。そして覚悟ができた。

最後の手段として、Facebook でカンパを募り、なんとか交通費を確保できた。ご支援いただいた皆さんには感謝してもしきれない。ありがとうございました。

結局、作品の完成もギリギリになってしまった。デモ動画を撮影したのが前日の金曜夜。そのまま夜行バスに乗り込み、車内で編集して YouTube にアップロード。

プレゼン資料に至っては、当日に会場入りしてからスタートするまでの間に辛うじて完成したのであった。

つづく。

いただいたサポートは、記事の内容にのっとって使わせていただきます。具体的には楽譜を買ったり、基板を買ったり、抹茶を買ったりします。