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アール・ブリュット

"熱情を持った創作が花開くためには、徹底した拒絶、頑固、辛酸、反抗心、矛盾、不服従、反逆といった貴重な土壌が必要です"2017年発刊の本書は「アール・ブリュット」(生の芸術)提唱者、ジャン・デュビュッフェの考え、境界設定に補助線をひいてくれる良書。⁣

個人的にはメタバース芸大RESTのサブテキストとして手にとりました。⁣

さて、そんな本書は第二次大戦後の1950年代。前衛美術運動アンフォルメル(非定形)の先駆者として評価させる一方で、従来の西洋美術の伝統的価値観を否定して、アール・ブリュット(生の芸術)を提唱した事でも知られるフランスの画家、ジャン・デュビュッフェについて、臨床心理士・精神分析家のエミリー・シャンプノワが特にアール・ブリュットについて注目、起源や概念、作品の特徴、アートマーケットや各国での受け止められ方について、デュビュッフェの言葉を豊富に引用しながら解説を加えているわけですが。⁣

恥ずかしながら、アンフォルメルの画家としてしかデュビュッフェを認識しておらず『アールブリュットの提唱者』としては知らなかった事、またアメリカで発達したポップアート含む『アウトサイダーアート』と混同していた事から本書の解説は【何がアールブリュットなのか】その境界線について。とても勉強になりました。⁣

またアールブリュットの話をさておいても引用されるデュビュッフェの真摯な芸術に対する言葉。"孤独なときこそが、何かを創りたいという欲求が高まる瞬間です。自分自身の方々で、自分だけの素材の使い方で作り上げられた作品は、作家にとって祝祭の劇場なのです""1枚の絵を描くこと、それは開放の行為なのだ。つまり、境界のない平面の上にいくつかの境界をつくることが重要である。画家はまず境界の創造主であり、穴を作り、それを塞ぐものである"なとば、私自身、1人の表現者としてグッと響くものがありました。⁣

アール・ブリュット(生の芸術)とは何か。をちゃんと学びたい方、他のアートとの区別を知りたい方にオススメ。

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