見出し画像

紫式部は今日も憂鬱

"この日記は、その出産レポをもとに寛弘七年(1010年)にまとめたものだ。将来勤めに出る娘のために、女房としてのライフハックも書き足しておいた"2023年発刊の本書は『紫式部日記』令和言葉全訳、背景知識なくも楽しめる工夫に満ちた一冊。

個人的には源氏物語はおろか紫式部の著作を手にしたことがなかったので、手にとりました。

さて、そんな本書は『エモい古語辞典』著者が、原文を30代OL風の言葉でわかりやすく訳し、合間にかわいらしい猫のキャラクターが平安文化を解説。『初マタ中宮様とバタバタ藤原家』『出産レポ』『産後はパーティー三昧』『帝が土御門邸にやってきた』
『誕生五十日目のパーティーは大波乱』『中宮様、宮中へ帰る』『平安京ガールズコレクション(五節の舞姫)』『年の暮れに大事件勃発』『女房たちについていろいろ言いたい』『私もたいがいなんですが』『浮かれてはいられないお年頃』『中宮様、二児の母になる』と全12章で構成しているのですが。

まず、日記執筆時は30代だったひきこもり妄想過ぎ、やる気レスだった紫式部が後半には、むしろ同僚たちにダメ出しをしたりと宮廷におけるベテランの風格を感じさせる『キャラ変している』のが【お仕事日記】として興味深かった。

また、紫式部の視線を通して、藤原道長他、歴史上の人物たちが活き活きと、加持祈祷や宮廷儀式など当時の風習と共に描かれているのも新鮮で。個人的には【藤原道長。流石にやり手だな】と印象に残りました。

2024年大河の副読本、紫式部の作品への補助線的テキストとして。また【平安時代のお仕事日記】としても読みやすくてオススメ。

いいなと思ったら応援しよう!