アーツカウンシル アームズ・レングスの現実を超えて
"すなわち文化政策とは、行政のみでデザインするものではなく、議会や専門機関(アーツカウンシル)と一体となった、いわば『拡張された政策デザイン』というフレームで企画・構築する必要があると考えられる"2017年発刊の本書は望ましいアーツカウンシルの実現、在り方について提案した一冊。
個人的にはメタバース芸大RESTのサブテキストとして手にとりました。
さて、そんな本書は文化政策研究者として、様々な委員を多数兼務してきた著者が、1945年英国から始まり、日本語では『芸術評議会』とも訳され、欧米諸国やシンガポール、韓国など、世界各国で設置されているアーツカウンシルについて全7章で。英国および日本におけるアーツカウンシル的な組織、活動の概観から始めて、最大の特徴である『アームズ・レングスの原則』、2020年の東京オリンピックにむけての文化プログラムを支援するために不可欠な地域版アーツカウンシルについて、また大学自治や編集といった他分野の『アームズ・レングス』の在り方と比較しながらアーツカウンシルの未来について提言を行っているのですが。
個人的に、特に文楽への補助金カットなどで賛否があった橋下元大阪市長下において湧き上がった大阪アーツカウンシル成立における議論を眺めていた私としては、過去を懐かしく思う読後感でした。
一方で2024年。地域に次々と誕生した日本版、地域版アーツカウンシルの現在について。一体どのような効果、機能を果たしているのだろうか。そんな事をあらためて考えるスタート地点として、よい一冊だと思いました。
アーツカウンシル、アームズ・レングスについて考えている、興味がある方にオススメ。