京都寺町三条のホームズ
"『で、ですから、なんでも分かるから、【ホームズ】ってあだ名なんですよね?』『いえ、苗字が【家頭(やがしら)】というんです。それでホームズと呼ばれているんです』"2015年発表、2016年京都本大賞受賞の本書は、骨董品鑑定と京都探訪、それに人が死なない日常ライトミステリー人気作。
個人的に慌ただしく京都を調べる用事がある中、気軽に読める京都本としてアニメや漫画化もされている本書を手にとりました。
さて、そんな本書は京都は寺町三条商店街に佇む骨董品店『蔵』に埼玉から引っ越してきた女子高生の真城葵が、ひょんなことから店主の孫であるイケメンかつ"いけず"な京男子にして、洞察力の鋭さから『寺町のホームズ』と呼ばれる家頭清貴と出会ったことからバイトとして働く中、一緒に持ち込まれる骨董品にまつわる謎を解き明かしていくのですが。
北海道出身の著者が"『余所者目線と感覚』が色褪せないうちに"どうしても描きたいと執筆した本書、語り部の真城葵を通して【京都ならではの行事や事情】が驚きと共に紹介されていたり、加えて骨董品店が舞台とあって【美術ネタが各所にちりばめられている】のも楽しかったです。
また、登場人物がバタバタ死んでいくミステリばかりを読んだ後に、こうした【誰も死なない日常ミステリ】は、やはり何というか癒されますね。探偵役の家頭清貴が女性の理想を体現したかのような完璧イケメンすぎて『本当に大学院生かよ!』と多少は同性としてはツッコミたくなりますが、それはそれ。本書が人気なのもわかる気がしました。
京都を舞台にした手軽に読めるライトミステリとして、また骨董や美術好きな人にもオススメ。