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東南アジアから見る、ベトナム・メコンデルタの竹建築への道

ベトナム・カントー市の、地域の障がい者に編み物を教えて、観光局等が主催する祭典で販売し、収益を生み出し還元する仕組みをつくっている起業家の友人と話していて、「竹の糸」の話になった。私は、竹のことも糸のことも、綿のことも、そういう原材料に関して何も知らんな、と思いながら、この友人の話は非常に面白く、いつの間にか数時間程経っていた。

で、飛躍するが、今回は、「竹」関連で思い出した世界の竹建築で印象に残る場所があったので、ここにまとめたいと思う。そして、ここ数年でなぜ竹建築が東南アジアでこれほどまでに広がっているのか、逆になぜ今まで使われてこなかったのかを考えていきたい。そして、竹生産が豊富な日本で、なぜ竹建築がほとんど無いのか。大好きな場所は見つかったので、そこに面白い仕組みを生み出せるかどうか、考えていきたい。

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@ Green School Indonesia by IBUKU

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@ Green Village

https://trendland.com/green-village-ubud-bali/

言うならば、ここは巨大な「竹の街」。「竹をつかい、『ラグジュアリー』を再定義する」。Airbnbでみつけて、後でここは学校がメインだったことを知る。

以前、noteにまとめていたベトナムの竹建築で有名なヴォ・チョン・ギア・アーキテクツの建築物。

その関連で、以下の文章を見て、ふと疑問に思ったのが、「彼の建築は、主にホーチミン近郊、ソンラ省、ビン省等にあるけれど、『自然や農業』の哲学で動く彼が、農業が主産業のメコンデルタにはなぜ建てないのだろう。彼がメコンデルタに設計をしない理由はあるのか」ということ。

《ファーミング・キンダーガーテン》はホーチミン市近郊のビエンホア市という工業都市に建設された幼稚園である。巨大靴工場に隣接しており、そのワーカーの子どもたちのために建設された。ここでは安全な遊び場の欠如・緑地の減少・農業衰退のリスクといった問題に応えるために「農業する幼稚園」というコンセプトが掲げられている。https://www.10plus1.jp/monthly/2015/09/issue-06.php

そもそも、彼の竹建築だけじゃなく、川沿いの竹建築が思いつかない。雨期の雨量が多いから、竹建築には合わない?干ばつや洪水、海面上昇等、気候変動の影響が強いのか?川沿いの場所には、竹建築は設計上難しいのだろうか?

以前、友人とカントー周辺の農地を巡って、建築の場所の候補地を探していたことがある。(というか、この友人はもうすでに場所をいくつか持っていて、「何か建てればいいやん」と思ったけれど、なぜか彼の中に、まだ「時代が追いついていない」(需要が無い)感があるのだろう)その時に、農地から出る煙や農薬が多いから、場所の候補が難しい、と聞いた。そうなれば、農業そのものを変えていかないといけない。投資家や建築家は、それを待っているのだろうか?とにかくコストがかかりそうだ。

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@ Bamboo Wing Restaurant in Dailai Resort by Vo Trong Nghia Architect 

https://www.designboom.com/architecture/vo-trong-nghia-architects-bamboo-wing-07-04-2014/

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@ Hanchey Bamboo Resort in Cambodia 

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@ Panyaden International School by Chiangmai Life Architects and Construction(CLA and CLC) in Thailand 

オーストリア出身の建築家Markus:「マーケットが限られているのではなく、自分たちのマインドセットがマーケットを制限しているだけ。竹の建築をヒッピーのためではなく、メインストリームにしたい。」

「仏教では諸行無常の価値観を大切にしています。たとえ壁にひびができたとしても、なかったこととして隠すのではなく、新しくなにかを加えたり工夫をすることでより美しくアップデートする。そして自分でやるからより愛着が沸く。変化を起こさせるのです」

そんなことを考えていたら、思い出した。我らカントー市の竹建築を。

Eco Bamboo Village は、カントー市内から車で20分程の場所にある竹建築の宿泊施設。ただ、ここは竹と煉瓦の融合と言えばいいのだろうか、北部の建築と南部の建築の融合ともいえるのかもしれない。オーナーは、何度も食事に誘ってくれる本当に素敵な家族。もっと知りたい建築学。

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@ パビリオン by Bumbubuild in Vietnam

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@ Làng ẩm thực sinh thái Quê Dừa in Ben Tre, Viet Nam by DDConcepts

ここは、ココナッツと竹という組み合わせ。思えば、ここが唯一、メコン川に面した竹建築(レストラン)かも。2018年にオープンし、夜はよく結婚式に使われるのだとか。食事のメニューも豊富で美味しい。

https://saigoneer.com/vietnam-architecture/19979-photos-ben-tre-s-stunning-coconut-bamboo-restaurant

そして、東南アジアではないけれど、印象的だったパラオのプランテーションリゾート。結構、この名前自体も好き。あと、なんだろうな、メコンデルタでは、背後に山という景色を望めないから、ジュラシックパークのような熱帯感を出し切れなく、それならタムコック(ニンビン省)になるのかな。

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@ Palau Plantation Resort in Palau 

うーん、考え続けたい。川沿いの竹建築で、ヨガスペースもあるような、バリ島感覚を生み出せればよいのだけれど。


追記:2021.04.04
竹建築のメリットとデメリット

メリット
・軽い(運搬のコストや建築の労力もかからない)
・水で強くなる(→思っていたのと逆だった!)
水や雨にも強く、濡れることでさらに強度が増すらしい。
・柔軟
竹はしなやかで曲げることができる。木の建築ではできない造形的な建築を作ることが可能。
・部分的な補修が可能
竹はその壊れた部分の竹を入れ替えられる

デメリット
・虫がつきやすいい
・カビが発生しやすい
・燃えやすい
(これらの欠点は事前の加工竹の内部に発砲ウルタレン樹脂を詰めるなどの技術でカ虫が着くのは防ぎ、竹自体の強度も上がり、耐火性能も上がる)などで解決ができる)

「(日本では)現在の建築基準法において竹材は材料特性が定められておらず、建築構造の主要な材料として用いられる例は極めて少ない」

ベトナムの竹建築で有名なヴォ・チョン・ギア氏は、東大院で建築を学び、その後母国でカフェや学校の建築に関わっているけれど、不思議なのは、そのように日本人が持つ個々の技術に対しては世界でとても評価されているはずなのに、それをじゃあ日本でやろう、となったときに、規制や法律に防がれる。残念極まり無いというか、そりゃあ技術専門家や何かに挑戦したい人、豊かな暮らしを追求している人は自身の価値が全うに評価される場所(国外)に出るよね。となる。

以下「現代建築の文脈で最初に竹を用いたのは、日本において竹を編んでコンクリートの三次元的構造をつくり出した葉祥栄」なのにも関わらず、

「日本においては、建築基準法第三十七条によりJAS(日本農林規格)に認定されていない竹は構造材として使用することはできない。しかし2004年にISO(International Organization for Standardization)が伝統的な知識を取り入れ、木材基準を参照した竹を用いた建設に関する3つの基準を定め発表した。それに倣う形で多くの国が長けの構造利用に関する基準を制定した」

とある。「それが昨今になって環境問題への関心の高まりから、環境性能の高い竹を合理的に利用するための手段として竹製品が選択されているため」。

うーーん、難しいな、なんだかもともと日本で優れた技術を持っていた人が始めて、それが世界では評価されているのに、国内では規制によって遮られる、そして竹建築自体が環境問題への関心の高まりによって、世界で再評価されて、こんどは日本人が外に学びに行く構造。竹建築だけじゃなくて、それがずっと続いている現実。

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建築学科の学生たちは、どんな未来を描いて学業に励んでいるのだろうか。IBUKUの方々も。CLA and CLCのMarkusも、それぞれ世界を旅した後に巡り合った地で竹建築を始めた人々。外からの視点って、やっぱり大事。考え続けよう。


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mami@Chennai
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