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ベトナム初の家族経営オーガニックカカオ農園 メコンデルタにあるMuoi Cuong Ca Cao Farmへ

ベトナム・カントーの市内からバイクを走らせること約30分。よく「カイラン水上マーケット」のツアーに取り込まれているカカオ農園(Vườn Ca Cao Mười Cương)にたどり着く。ここでは、カカオの成り立ち、発酵や乾燥、焙煎など、カカオバターやチョコレートを作るまでの工程を見ることができたり、ココアワイン、ホットチョコ、チョコレートの試飲や試食ができる。

何度か訪れたが、この場所は本当に貴重だと思う。

日頃から当たり前に食べている人々が多いチョコレートだけれど、カカオを実際に見たり、触ったり、身の部分の匂いを嗅いだり、そんな五感を使った体験をしたことがある人々はどれだけいるのだろうか。(実際、私は今回初めて、カカオの実の成り方をここで知った)

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※バイクで行く場合のルート写真なので、水上マーケットのツアーに参加するほとんどのゲストは反対側の川から上陸します。

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カカオ農場の入り口。この辺りはよく欧米豪の観光客を見かける。訪問時も、自転車ツアーに参加しているらしきゲストとすれ違った。

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今回初めてお話させて頂いたオーナーのLâm Thế Cương氏。今年で70歳!聞くと「僕には日本人の友人もたくさんいるよ」と。前回書いたBinon Cacao Farmを立ち上げたEndoさんも数年前にこちらの農園に訪れられたそうだ。代表のThanhさんも一緒に。また、日本人のショコラティエの方々も2年前に来られたらしい。(ベトナム人に多いのが、その人のFBのプロフィール写真を見せて、「知ってる?」と聞いてくる件。Endoさんは一方的に知っているが、他の方々は全く存じ上げなかった・・・。)

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氏は、まず「温かいココアと冷たいココアどっちが良い?」と聞いて下さり、私は温かいココアを。チョコレートもいくつかいただく。ここのココアや出来立てのチョコレートは本当に美味しい!

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今回の訪問にあたり、急なメッセージを送ったのにも関わらず、氏は「OK」と。何時頃がご都合よいですか?と言っても、「7時から12時の間、いつでも来て」と言われたので、行ってその場で少しお時間を頂いた。そんな中でも氏は来られているツアー客の全グループの皆さんに、声を掛けている。「君はカナダから?僕は昔、モントリオールに行ったことがあるよ」と気さくだ。

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氏は、ここの農園の歴史を紹介してくれた。1960年代に父親が創業した、ベトナムで初めての家族経営オーガニックカカオ農園だということ。氏は一からカカオ栽培や発酵、生産について学んだということ。カカオには赤茶色や黄緑色など色の違いがあるが、質や味は同じこと。ブラジルやトリニダード・ドバゴ等の中南米産も多いこと。毎年、4トンほどのカカオ豆が生産されて、その内3トンはアメリカ、フランス、ベルギー、スイスの会社に輸出されること(ホーチミンに会社が多いので、氏は買値が高くなった時を見計らいホーチミンに持って行って売るらしい)、そして残り1トンはここに来る観光客用。メコンデルタではほとんどの農家は果物や野菜を生産している。そのほうがお金になるからだ。カカオ生産が有名なのはベンチェ省やバリア・ブンタウ省、ダラット等だ。

写真は、カカオや乾燥後のカカオ豆、カカオバターやカカオパウダー。訪問者には家族連れも多く、子供たちも興味津々だった。

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農園の中心にあるスペース。ここで、ツアーガイドによるこの場所の説明やカカオドリンクの試飲ができる。カカオバターも肌に良い。ちなみにこの農園にはWiFiがある。さすがベトナム。

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氏も言っていたが、この農園は6年前にデンマーク大使館DANIDAの支援を受けて、ホームステイプログラムを開始している。DANIAの開発支援を受け、ツアー企画や運営、観光客を受け入れ始めたのもちょうどこの頃なのだそう。

(ちなみに、ホームステイに関しては過去5年程実施して、今はストップしているらしい。)

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カカオ農園に咲く花々。メコンデルタでは当たり前になったこの光景も、やはりいつでも緑を見ると落ち着く。

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カカオの実の成り方。最初見たときは衝撃だった。

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ここには約2000本のカカオツリーがある。全てオーガニック栽培。

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カカオの発酵。

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そして乾燥。

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農園内にはカカオ豆焙煎機が。1時間程、回し続ける(5分おきに休憩する)。

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園内では、カカオ豆から100%チョコレートを作る工程を見せてくれる。(写真はカカオバターを入れて滑りやすいようにしているところ)

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カカオワインも試飲。とても飲みやすい!ベトナム人はビールは好きだけど、ワインは女性しか飲まないらしい。そして、常温で飲むことが多い。

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カカオパウダーやカカオワインは園内にあるお店で購入可能。

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ここの農園のお手洗いは清潔で使いやすい。ティッシュペーパーも有り。

・こちらの農園は、ツアーガイドと一緒に訪れる必要がある。たまに個人で訪れる人々がいるらしいが、家族経営なのでオーナーも忙しく、ツアー参加必須。(「マミも是非ツアーガイドになって、園内の説明を代わりにやってくれ」と言われた。ツアーガイドをやるかどうかは別として、まだまだカカオ農園について学びたいことがたくさんあるので、記事を読み続ける。)

・ブラックチョコレートとホワイトチョコレートの違い
ブラックチョコレートはカカオマスを原材料としており、ホワイトチョコレートはカカオバターを原材料としている(高温にカカオを浸して100%濃度のチョコレートを作り、カカオバターにしたものに、砂糖を加えたものがホワイトチョコレート)
https://matome.naver.jp/odai/2139148398696543701

・氏はあと2年ほどで事業を孫たちに引き継ぐ予定だそうだ。

・以下の記事を偶然読んで、氏が言っていた「2019年は雨量が本当に少なかったから苦労した」という言葉を思い出した。そう、メコンデルタは常に自然界の気候変動に脆弱な土地なのだ。


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mami@Chennai
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