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駆け抜けてロマンス

先日50ccのプレスカブを購入した。
カブというのは働く乗り物代表の一つで、郵便屋さんや新聞屋さんが乗っているアレです。

今回カブを購入しようと思ったきっかけは、家から15分ほどの場所にある市民農園をレンタルしたことに始まる。
我が家は田舎暮らしには珍しくマイカーが1台しかない。
夫が通勤で使うが、私が歯医者や買い物など予定がある際は朝に夫を職場まで送ってそのまま使うこともある。
基本的にそれで不便はなかったし、今後農園へ通うにしても特に問題はないといえばない。
ないのだが、まあ気軽に動かせる移動手段がもうひとつあったらいいかもしれないと思った。

車まではいらないよねと意見が一致した。
私たち夫婦は二年ほど前に中型バイクの免許をとっていたのでバイクの購入も考えたけれど、住んでいるアパートはバイクを駐輪場に停めることができないことが発覚した。
別途で駐車場が必要になるけれど、敷地内の駐車場は全て埋まっているため家から少し離れた場所で借りることになるのでそれもまた不便。
ここまで考えたところで、50ccの原動付き自転車であれば駐車場ではなく駐輪場に停められるのでは?と思い至る。
何故ならあれはあくまでチャリの括りだから。
念のため不動産屋に問い合わせたところ「50ccまでなら全然オッケーですよ〜」との返答。

この時点でもまだ、気持ちは買うか買わないか半々くらいだった。
何にせよ値段や納車日などを知らないとなんとも言えないので早速近所のバイク屋へ行った。
原チャを取り扱う店はいくつかあるが、以前行った際にカブの種類が多かったことも記憶にあったのでまずそこへ行った。
私は原チャに乗ったことはなかったのだけれど、乗るなら絶対カブが良かった。これは10代の頃から思っていたことだ。
まず見た目が良い。座席から荷台にかけて並行なフォルム、丸いライト(最近のモデルは横長で四角いのもあるが)、カブ特有のクラッチ音、全てが激渋でかっこいい。
見た目部門でいったらベスパもかなり好きだけれどあれは迂闊に手を出して良い値段ではないので現実的ではない。


バイク屋ではカブ50cc、荷台をオプションで付けてもらった場合の金額と納車時期を教えてもらった。
まあ値段は概ね予想通り、納車は2〜3ヶ月ほど。
以前中免をとってバイクを購入しようとしたところ、コロナ禍の影響で納車は半年以上かかると言われたこともあったので納車も想像よりは早いと感じた。
色だったりオプションも考えて見積書と共に一旦話を持ち帰ろうとしたところ、店員さんが「もしも中古でも問題ないのなら、まだメンテしてないがカブがある」と言い出した。

そうして目の前に差し出された少し錆びついたブルーのカブが、可愛くて私は一目で好きになってしまった。
前の持ち主は写真を撮るのが趣味のお爺さんだったらしく走行距離も5000kmほどしかなく、多少の錆はあれど状態はかなり良かった。
何より私たちが付けようとしていた荷台のボックス(結構良い値段する)が最初から付いている。
しかも値段は新車で買おうとしていたものの三分の一ほどだった。
「メンテナンス終わったらご連絡しますので、その時また見て決めてください」と言われて帰宅した。

帰宅後夫と話し合う。
まだ少しは「まあなくても生活できるしな…買ったら買ったで持て余すかも…」という気持ちもあった。
けれども「カブに乗ることなく終える人生」と「カブに乗っていたことのある人生」のどちらがゴージャスで魅力的か考えた際に、私の答えは完璧に後者だった。
二択で迷ったときはこのように考えると楽しくなるのでおすすめです。
夫は「まあなくてもいい」と「50ccなら絶対カブがいいし結構乗りたい」の気持ち4:6という感じだった。
君は何故カブがいいの?見た目?と尋ねたところ「カブは他の原チャと違ってクラッチがあるから燃費もいいし、今後125cc以上のバイク買うにしてもクラッチの感覚を忘れなくていい」という答えがきた。
ハエ〜知らなかった。中免取ったけど原チャ乗るなんて意味ねえな〜と思っていたがスムーズにカブに乗れたのはちゃんと教習所通ってたからなんだな。

というわけで5月のゴールデンウィーク明けにメンテナンスを終えたカブを我が家に迎えたわけですが。


控えめにいってカブのある人生、かなり良いです!!!!!!

え!?カブこんなに楽しいの!?って乗る度に感動してる。
二段階右折もやってみると思ってたほど面倒ではないし、この季節に乗ってると風がめちゃ気持ちいい。
バイクと違って両足地面にベタ付けできるしチンタラ走っているせいかやたらと道覚える。歩いてても車運転してても道覚えないけどカブ乗ってると二回くらいでがっつり覚えられる。私道覚えられないタイプだと思ってたけど全然そんなことなかった。
ほぼチャリだから駐車場狭いところや混んでいる場所も躊躇わずいけるし、駐車料金もかからない。
ガソリンも数百円で満タンになる。最高すぎる。
連日夫と取り合いしながら乗ってる。
なんならもう一台、今度は125ccのカブ欲しいよねなどという話し合いが始まっている。

カブ、不思議なバイクで誰かに「カブ買ったんだ〜」と話すとみんな一つはカブエピソードを持っていてそれを聞くのも楽しい。
カブで仙台から東京まで行ったとか、恋人とカブでツーリング行ったとか、カブに轢かれたとか。
なかでも母の「私が子供の頃、爺ちゃん(母の父)乗ってたのよ。当時は交通ルールなんてあってないようなもんだったから、家族5人で乗って近所の銭湯まで行ったわ」は無法者すぎてインパクト強かった。


母に負けないカブとの思い出をこれから作っていこうと思いました。おしり。





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