冬支度中につきどこもかしこも灯油のにおいがします
時々勝手に夫の服を着る。
サイズ感がゆったりしていて着心地が良いし、私の服ではないので仮に汚れても構わないところも気楽である。
同じ洗剤を使っているはずだし、香水などはつけない人なのにほんのり夫のにおいがするのもいい。
夫は何故か文房具屋さんというか、オフィスベンダーみたいなにおいがする。
フリクションの消えるボールペンばかり使っているはずなのに、万年筆の先っちょのような、夢みたいなにおいがする。好きだ。
夫の服を着ているのが見つかると「あ!また人の服着て〜!もう!」と文句は言うが満面の笑みなのでたぶん私のことが好きなのだと思う。
最近は太陽が出ているととても嬉しい。
どう嬉しいのかというと、まず夏の暴力的な暑さとは違うし、何よりこの時期は大根が干せるところ。
自分の畑で収穫した大根を千切りにしてザルに乗せ窓辺で干して切り干し大根にしている。
第一弾が完成したので早速炒め煮にしたところえらい上手くできたので、大根がなくなるまで作り続けることとする。大根はあと畑にあるぶんも数えると30本くらいある。今月中に全部引っこ抜かなくてはならない。大根屋さんになれるよな。ならないけど。
北の冬はいつも早くきて、遅く終わる。なのでとても長い。
今年はカメムシがとても多かったので例年よりも雪が多く降るかもしれない。本当かどうかわからないけれど、カメムシが多いと雪がたくさん降ると言われている。
私は日常を送りつつ着々と冬の用意をする。
いつもよりティッシュなどの生活用品を多めに買ったり、バイクのガソリンを補給しなかったり、冬タイヤの予約を入れたり、毎日の生活に少しずつ冬が入り込んでくる。
南へ転勤になったら冬タイヤは必要ないと思っていたが、まだしばらくは必要そうなので今年は買い替えようかな。
来年に西日本へ行くかもしれないという話はなくなった。
しかし二〜三年の内には異動になるだろう、との話だった。
ひとまず大好きなこの土地にまだ居れることになったけれど、なんだか私の中に芽生えた寂しさのようなものはなくならないままだ。
あと三年、早くて二年、もし何かイレギュラーがあればもっとはやいかもしれない。
とはいえ、そう感傷的になったところで特段生活が変わることもない。
私はいつも通り、畑は行き土を耕し飯を食い、温泉で泥を落として小さなバイクで商店街を走る。
どこに居ても、やることは大体同じだ。
どこに居ても生活は続けていかなければならないし、家を買ったとて結婚して子供が居たとて、自分がそこで一生生活をするという保証にはならない。
仮に一生だとして、その一生だって永遠とはまた違う。
当たり前のことは一つもないのだと、自分が歳を重ねるたびに実感する。
それでも日常を過ごしているとよく忘れてしまう。
いつだってちゃんと感謝の気持ちは言葉にしたいし、抱きしめたいし、大好きな友達に「遊びに来てね」って伝えたいし、私も会いに行きたい。
じゃないと距離なんか関係なくいつだって疎遠になってしまう。
今じゃなくてもいい、そのうち、と思っているうちに、疎遠になったことにも気が付かないまま疎遠になったことなんて何億回もある。
もちろん本当になかなか時間作れなかったり体力的に無理とかそういうときもあるわけだし、それに不思議なもので良きタイミングがくれば人との距離なんてまた近づいたり離れたりするわけだから、そんなに寂しがる必要もこわがる必要もないかもしれない。
けれど過去に本当にそのまま死んじゃって会えなくなった人がいるから、会いたい人がいるならたまには少しだけ限界値を上げて人と関わりたいなと思いました。
最近寒いせいか欲しいな〜と思うものが増えたのでほしいものリストを記します。
寒くなってくると物欲増しませんか。
◯諭吉くらいの大きさでフワフワのパンダのぬいぐるみ(湯たんぽ機能があるとなお良い)
◯壁にキラキラ反射するガラスの照明
◯子供向けのわかりやすい地球儀
◯お酒が飲みたくなるようなチェリーの香りの香水
◯かかとがシュッとしたイケてるショートブーツ
◯隙間風を許さない大判のマフラー
◯お風呂で使えるスピーカー
◯リンドールのリボンかけられたチョコレートボックス
◯貝の形がくっきりついて焼けるマドレーヌ型