見に行ってください/ひとりでできるもん/うずめ劇場

なんかね、とても良かった。笑ったし、ぐっときたし…内田春菊の台本がもの凄く良いっていうのもあるけれど、演出のペーター・ゲスナーが、台本をリスペクトしているところがひしひしと伝わってきて…旧東ドイツ出身でベルリンで演劇をやって、日本に来てうずめ劇場という劇団を組んだゲスナーが…そう彼は男性、日本から見れば外国人…が、女性からのフェミニズム視点満載の演劇を日本でやり続けている。外国人で男で…で、その人が日本の文化満載のフェミニズムをとらえた演劇をする。このギャップがテーマを明確に浮き上がらせる。といってもお堅くないのが、特色その1という感じ。春菊さん台本の何本かを見た…素人の人が役者としてでてくる。(でてくるには理由があってそのジャンルのフェミの人だったり、役柄がたとえば医者だったら本もの医者だったりする。共通しているのはフェミニズムで活動している人という感じかな。全部が全部ではないけれど…)だからなんとなくでこぼこしている。その凹の素人が現実を感じさせる。舞台乗せて、笑ってもらってるけど、厳しい現実あるよー。って感じ。今回は全員役者がやっている。…あ、いや、歌手が二人でている達者なので忘れてた。
劇団は、女性中心、後藤まなみという硬、軟、笑、怒…なんでもチャームをもって演じられる女優がいるからだろうけど…いいなぁと。芝居って、人と人のやり取りだから…それは俳優と演出と戯曲家との関係が、演劇という枠でのつき合いじゃなくて大げさな言い方をすると、[今]の[日本]の…という中でのフェミミズム思考を捉えている。で、そこからみた落語の噺が今回のテーマ。落語には女性演者がなかなか入れなかった、入ってもいろいろ、その、セクハラ的な…いやもっと直接的な…こともあり、そして落語の噺のなかでも、女性はかなり酷い扱いを受けるというところを、痛みをもって笑い飛ばすという作品。言葉で魅力を解説できないのでぜひ見に行ってください。
個人的に好きなのは、おえっーて吐くシーン。韓国ドラマでは美形の女優がけっこうおえってやる。男の子の背中の上だったり…(あと全然関係ないけど、バス停やバスのシーンが多い)その韓国リアリズムはけっこう重要な手法なんじゃないかと…日本の舞台では余り吐くシーンはない。MODE(松本修)がカフカ上演でおえってやってた。原作にあるんだけどね。でもこれも良かった。まさに不条理な扱いをされるときにおえっーていうのは、やっぱり素敵な表現だと思う。ロジックで駄目だよって言い聞かせても男はやる。しょうこりもなくやる。だってこんなに駄目だって世界中から糾弾されているのに、止めないし止められないセクハラパワハラ野郎・プーチン。この戦争がロジックでかたがつかないのと同じレベルで、かたがつかない話しなんだ…春菊さんが書いたはなしは…。で、凄いのは、見方によっちゃ女性に酷い落語を、ゲスナーも春菊さんもちゃんと褒めて、楽しんで、慈しんでいると云うことだ。文化に対してはそうじゃなくちゃ。プーチンは×だけど、ロシアは…ロシア的なものは面白い。(最近は、サハリンにはまっている)

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