一週間の歌
『一週間』という歌がある。
たぶん、知らない人はいないだろう。
奇妙な歌詞と、独特なリズムが印象的なロシア民謡だ。
この歌については、仕事らしきことを何もしていないにもかかわらず、最後になって「これが私の一週間の仕事です」と締めくくる、たちの悪い怠け者のような印象をもっていた。
実際は、原曲のロシア語の歌詞によると、はた織りで働きづめの女性が恋人に向けて歌った歌だということがわかるのだそうだ。日本語の歌詞では、音数の問題で色々とはしょっているとのこと。
ちなみに、「月曜日にお風呂をたいて、火曜日にお風呂に入る」という部分については、「いつまでお風呂炊いてるんだ」などと思うかもしれないが、当時のロシアでは、寒さのせいでお風呂を炊くのに本当に1日かかったのだとか。日本語の歌詞は、はしょっているとはいえ、完全に間違ったことを言っているわけでもないらしい。
個人的に、この歌が長きにわたって親しまれている理由の1つとして、「◯曜日は…◯曜日は…」と羅列する展開があると思う。
「曜日」という大まかな流れがあるから、その先へ、その先へと引きずられるようにして聞いてしまうのではないか。
この歌に限らず、「曜日」を軸に展開する歌はなんかいいな、て思っている。自分が知っているのは、この4曲。どの曲もおすすめしたい。
CHAPPIEの『Everyday』は、アメリカのキッズソングのように明るい曲調なのに、歌詞がちょっぴり切ない。
ということで、先週、自分も「曜日」をテーマに漫画を描いてみた。
以下は、その再掲になる。ただ、一度投稿した作品をそのまま再掲してもどうかなと思い、試しに縦スクロール型にリミックスしたバージョンにしてみた。もっとも、そうしたところで内容的にそこまで変わったわけではないので、すでにお読みになった方はエピローグまでジャンプしていただいても、だいじょうぶ。
月曜日/MONDAY
火曜日/TUESDAY
水曜日/WEDNESDAY
木曜日/THURSDAY
金曜日/FRIDAY
土曜日/SATURDAY
日曜日/SUNDAY
エピローグ
以上、これが私の一週間の仕事です。
と、読み返してみたら大して「仕事」してなくて、『一週間』の歌(日本語ver)をとやかく言えたものではなかった。それから、それぞれの曜日らしさがそんなに出ていないことにも気がついた。
自分の漫画はともかく、本来「曜日」という概念はおもしろい。「◯曜日」と聞くだけで、さまざまなイメージをもたせてくれる。
『決戦は金曜日』(DREAMS COME TRUE)とか。
『土曜日の恋人』(山下達郎)とか。
天気のいい日曜日の朝なら、『日曜日よりの使者』(THE HIGH-LOWS)を。「シャララーラ♫」というおなじみのコーラスで、明るい気分になれる。
天気の悪い月曜日の朝なら、『雨の日と月曜日は』(Carpenters)を。イントロからもうすでにほろほろした気分になる。
なお、月曜日においては、「成人の日」や「敬老の日」など、年に数回祝日があるので、その際はゆずの『月曜日の週末』を聞いてハイテンションになってやってください。
と、曲紹介ばかりしているけれど…
よくよく考えれば、「曜日」とは、人が社会活動の便宜上作ったものでしかない。日が昇って沈むという意味では、同じ一日だ。でも、人は「曜日」によって一喜一憂することができる。
金曜日の夜に解放された気分になったり、日曜日の『サザエさん』の時間帯でだんだんと「終わり」を察して、月曜朝に観念した気持ちになったりするのも、人として社会に順応できている証拠かもしれない。
そういえば、小学生の頃は、体育や図工といった好きな科目の集まっている曜日は、毎週朝起きるのが楽しみだった。
だが、ここ数年は、そうした「曜日感覚」が鈍ってしまうことが、少なからずある。特に家で過ごす時間が長くなると、ついそうなりがちだ。
先ほど、「それぞれの曜日らしさが出ていない」と書いたが、今回うっかりそんな漫画を描いてしまったことで、
「もっとくっきりはっきりとした、曜日感覚のある日常を送ってもいいのでは…!」
と、自分を省みることになった。
曜日ごとにもっと何かあったほうが、毎日が活き活きするような気がする。
在宅だろうと何だろうと、工夫できる余地はきっとあるはず。
これからは、そんなことを意識して生活を送っていきたい。