セガ SYSTEM32基板を吸い出してMAMEで遊ぶ(Out Runners)
Out Runは誰もが知るセガのレトロゲームですが、あの作品には続編が何本もあることを最近知りました。続編の中でもOut Runnersはメガドライブ版を除き現在も移植されていません。MD版は雰囲気を残した別ゲーになっているのでアーケード版の雰囲気はもう二度と楽しめないのです。フェラーリ似のロゴも出てこないし、特にBGMもジャスラック的な縛りは無さそうなのですが何で封印されているんでしょうね?今回は安く手に入ったので吸い出してみます。
稼働していた当時の時代背景とMODEL1世代へのバトンタッチ
System32基板は1990年代前半あたりに稼働していたアーケードですが、裏ではMODEL1基板の開発が始まっていた時期ですので2Dゲーム集大成としての立ち位置が強いです。この時代からアーケードでは予算マシマシの3Dグラフィックを、家庭では2Dメインでゲーム業界の頂点を目指します。MODEL1から2へと数年でポリゴンが加速度的に進化するため、初代バーチャファイター等は後年の2や3と比べるとだいぶチープに見えます。一方でスプライトを限界まで多用した2Dゲームはそれ以上進化しないので画質の「古さ」を感じません。
尚、Out Runners筐体では画面が2台分並んでおり対戦可能になっているが基板は1台のみで構成されている。厳密にはSYSTEM MULTI32基板と言い、無印SYSTEM32よりもパワーアップしているためROMは1枚で2人分賄える。
SYSTEM32基板の注意点
セキュリティチップが搭載されているタイトルがあります。特に有名なソニック等についていて、「羊羹」と呼ばれているやつです。詳細は下記ブログ様が述べていますが中の電池が切れると複合キーが消滅してロムがデータ化け(暗号化されたまま読みこむ)するといった感じです。羊羹を外すと(給電されない状態になると)アウトなのでROM吸出しの際は注意。
Out Runnersは何故か羊羹無しで出荷されているため、すべてのROMが平文のままです。素直にROMダンパーで吸い出せばOK。当時はエミュレーターなんて無く、十分なスペックで遊ぶには実機の価格以上にコストがかかる上にハンドル・ペダルが必須のゲームなので基板コピーする意味がないと判断したのでしょうか?
ROMの状態確認
写真のとおり、合計17個のROMを吸い出してzipファイルにすればOK。詳細はModel2の記事を参照されたい。
EPROMは3個のみ、のこり14個はすべてマスクROMです。既に20年以上経っているため表面のシルク印刷が消えていますがPCBに「ICxx」と印字があるのでどのROM名にすればいいかは判別できます。名称とCRCチェックは恒例のMAMEデータベースにて。
この世代はROM側に地域データも含まれているため、JPN / USA / EXPでデータが異なります。自分が持っているロムがどれに当たるか確認しましょう。Out Runnersではデモ画面とオートマチック・マニュアル選択の時以外日本語は出てこなかったと思います。ほぼ英語。
データベースにはMain CPUのEPROMが「EPR-15616」と「EPR-15617」となっています。ところが自分の基板は「EPR-15536」と「EPR-15537」でした。チェックサムは同一でしたのでもしかしたらJPN版のデータベースが間違っている可能性あります。しかもご丁寧に"Need to verify the EPR numbers"(EPR番号を検証する必要あり)と備考にあるので他にも同様の方がいるのかな。
もうひとつハマったポイントがありまして、IC36とIC39だけ何故か吸い出したデータがFFになっていたのです。DIP40の512KBマスクロムは本来27C4096モードのハズなのですが、データベースでは27C4200扱いとなっています。あまり聞いたことないプリセットで、Xgecu製ダンパーでも読み取れませんでした。いろいろ頑張った結果、この27C4200は東芝TC574200Dで吸出し可能です。42ピンの下駄を履き、上の1段をずらして装着が必要となります。
以降はいたって順調。MAMEではサウンドとグラフィックが一部未完成と出ていますが、正直どこなのかわかりませんでした。エミュレーターでもしっかりと2画面出てきますので、このROM 1枚で2人対戦できるのはいいですね。ちなみにSYSTEM32は今のところBIOSは不要です。
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