パルプデーモン・チーフ
「やっぱりミュータントだよ……!」
編集長はバッサリ。俺の顔に原稿が投げつけられる。
「悪魔とか妖怪は宗教色強すぎるとおもうわぁ。時代受けしない」
「でも」俺は食い下がる。ここで、曲げたら作家の俺はオワリ、ジ・エンドだ。家賃も払えず野垂れ死ぬ。
「敵がミュータントなら何でもできるし、どんな形にでもできるでしょ?わかってんの?触手ウジュウジュ〜!ね?」
「じゃ、じゃあ、ダックスフンドミュータントとかどうです?カワイイですし、意外性も」
「は?脳みそ、ママのお腹においてきちゃったわけ?」
沈黙。ヤバイ。
「つまんない、ねぇ耳きってみる?」
耳を疑う。
「ちょっとでいいよ」
ハサミで切るポーズ、無邪気でセクシーだが、いっていることはアポカリプス。
「い、いやですよ」
「だろうね、だからやるんだよ」
パチンと指を鳴らすと編集部室から大男のグーリとグーラが現れた。こいつらは血も涙もないロシアン編集者だ。
【続く】
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