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ユニバのカチューシャ

夢から覚めたとき、最も要らないもののひとつは、テーマパークの被り物だ。そう思っていたはずなのに、夢から覚めてもまだ私の心をウキウキさせてくれるものがある。

少し前にUSJに行った。スーパー・ニンテンドー・ワールドができてからずっと行きたかった私は、念願叶い喜び勇んでいた。すると、隣の夫が何気なく言ったのだ。

被り物は何がいいかなぁ?ヨッシーかなぁ?クッパかなぁ?マリオ・・あ、キノコもかわいいね。

ちょちょちょ。ちょっと待って、え?被るの??

正直今までの私はそれらを冷ややかな目で見ていた。なぜそんなに平然と被っていられるのか、むしろ邪魔ではないのか、パークを一歩出た瞬間から無駄になるものをなぜ買うのか、意味が分からない、と。

でも、被り物から最も遠い人物だと思っていた夫から発せられた言葉が意外過ぎたせいで、被るの?!から、即座に、どれにしよう?に変わった。これぞ夫婦の化学反応だと思う。知らんけど。


ヨッシーとスーパーキノコ&1UPキノコのカチューシャに決定!


着けてみると、正直少し頭が痛い気がする。でも、高揚感と解放感が凄い。夢中で楽しむ私がそこにいた。

カチューシャ姿はちょっと間抜けだ。でも、その間抜けさを受け入れると、あんなものと斜めから見ていた自分より、ずいぶんいい気がする。今年は蛙化現象という言葉が流行ったが、きっと学生の頃なら、好きな男子がカチューシャを被っていたらそれだけで嫌いになっただろうと、すれ違う制服姿の彼らを見ながら、あの頃の私を景色に写した。

これが大人になったということなのか、なんだか違う気がするけれど、隣にいる頭にヨッシーを乗せた夫については、むしろかわいいとさえ思えた。どうぞ着けてください。そして、写真を撮らせてください、と。何はともあれ、カチューシャを着けたことによって、ひとつ階段を登れた気がした。1UPだけに。(←しょーもないと思っても、どうしても言いたかった。)


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