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時刻表の日

まえがき

今日は時刻表の日ということである。

↑の記事で、前半はトーマス・クック、後半は達磨大師の話をしてたりする。もう少し、達磨大師のお話をするはずだったが、修行が足りないので
今日は時刻表と時計のお話を披露することとしよう。

時刻表

時刻表はほとんど時刻の羅列を読むという感じになるが
これがすごい悦楽で、まさに妄想の楽園なのである。
自分がどこの駅からスタートするか、すぐにワープできる。
妄想の入口だ。この車両にしようか、、、とその日の気分で方角と車両を決めたらあとは、時刻(数字)をながめ、目で追い、お!これに乗り換えてみよう、などと独りごちて、さらに指をなめらかに進めながら、読み進めるのである。駅弁に思いを馳せたり、ふと昔の時刻表が気になって引張りだしては、そうだこの車両もう走ってないんだと気づき、今度は昔の車両に身を委ねて古い時刻表に指をすべらてみたりする。
指をすべられるのに時刻表の紙の質はうってつけで、実にしっくりくるのである。フォントも見やすいとくる・・・
簡単な例をあげよう、真夜中の2時に時刻表をおもむろに開き、5時台の「はやぶさ1号」に乗り、新函館北斗駅で乗り換える特急「北斗」が待っているな、と指を止めて、席を外す。今度はウィスキーを片手に戻ってきて舐めながら、札幌で再び乗車して、特急ライラックを指の下に置く。ここまで来たら稚内を目指すか、などと言いながら朝を迎える。お!日付が変わる前につくぞ!とガッツポーズをとって、眠りにつくのである。
車両編成をみながら、お!っ! ここで16両から12両編成に車両が切り替わるので、ここでは、切り離しするな、駅弁でも買おうかな、、、とWebに目をやったりする。Webで何をみるかは、車両基地の場所だったりする。
次の編成を確認しながら、残り4両がどこで何時から走るのかを探したりしてみる・・・そうするとあっという間に朝を迎えたりする。
 ここで、また古い時刻表を引っ張り出してきて、古い時刻表を引っ張り出してきては、そうか、もう183系は使われないんだ、2011年から287系なんだな・・しばらくこの辺、来てなかったもんなぁ・・・などと言いながら、コースターからコーヒーを手に取る、シングルアーム式のパンタグラフで、曲がるときの速さが調整しやすくなったんだよな。

時計の話

ちょっと時計の話をしよう、時間を感じるのには、太陽をみた。
ところが、夜になると時間がこれではわからない、なので、水時計を使う
水は一定の速度で容器から別の容器に移る、これを利用しよう・・・
これが画期的だった、水から火(ろうそく)になり、砂になる。
13世紀になると、振り子が使われる。ホイヘンス。。。そして1727年にはグラハムが懐中時計を発明する、シリンダー脱進機だ。脱進機はシリンダーの中の電車である、違う歯車だ。歯がシリンダーの切れ込みに交互に絡み合い、また開放されることによって、振り子であるところのバランスホイールにその力を伝える。バランスホイールが動くとシリンダーは位置を換えて脱進車の歯が開放されて、次の駅ではなく次の歯が噛み合う位置へと移動する。
機械式の時計が温度変化や重力の影響を受けやすく、また部品の摩耗によって精度はだんだん落ちてくる。また重力は場所によって異なるので地理的な誤差を生じるのである。クオーツがそれを補う。石英水晶の振動を利用すればこれを解決するが、実は温度変化が影響してしまう。水晶そのものの微細な差異も精度に影響する。

原子時計の登場

 この微細な誤差すら許されないという厳格な要求は、特に科学的測定や精密な技術分野において顕著である。例えば、天文学では、星々の位置を正確に測定するために、またGPS技術では、地球上の位置を正確に特定するために、極限まで精密な時間測定が求められる。これらの分野では、わずかな時間のずれも大きな誤差となって現れるため、さらなる精度の追求が不可欠とされた。

こうした厳しい要件を満たすため、原子時計の研究が進められることとなった。原子時計は、セシウム-133原子の基底状態の二つの超微細エネルギーレベル間の遷移によって生じる放射線の周波数を利用して時間を測定する。この放射線の周波数は非常に安定しており、自然界で最も精密な時間の基準とされている。

原子時計の開発は、1940年代から1950年代にかけて、多くの科学者たちによる集中的な研究と試行錯誤の結果である。アメリカの物理学者、イジドール・ラービが原子の磁気共鳴を利用した時間測定の概念を提案し、それを基にルイス・エッセンとジャック・パーパルによって初の実用的なセシウム原子時計が1955年に製作された。この技術はその後も精緻化が進み、さらに精度が向上していった。

原子時計の用途は多岐にわたる。最も知られるのは、世界標準時(UTC)を提供することであろう。また、GPS衛星の位置決めシステム、国際的なデータ通信ネットワークの同期、天体物理学における観測など、精密な時間が求められるあらゆる分野で原子時計は不可欠な役割を担っている。

このように、原子時計の創出から現在に至るまでの歩みは、時間を測定する方法の根本的な見直しと、科学技術の限界を押し広げる試みの歴史である。原子時計は、私たちの世界を正確に測り、さらにその理解を深めるための不可欠な道具として、その価値を日増しに高めている

原子時計の基本原理

原子時計は原子のエネルギー準位間の遷移を利用した時計である。
一般的はセシウム133原子が使われる。その基底状態の超微細構造間の遷移が利用できる。セシウム原子の基底状態は核スピンと電子スピンの相互作用による。
プランク定数hとセシウムの遷移周波数νcsの積で表される:

ΔE=hνcs

ここで、νcs = 9,192,631,770 Hz
1.まずは原子を準備 セシウム原子を磁気光学トラップで冷却して捕まえる。
2.状態選別:特定の超微細準位にある原子のみを選別する
3.マイクロ波を照射開始 マイクロ波(さきほどのνcs)を照射して、
原子の遷移を誘発する。
4.状態遷移を検出:遷移後の原子の状態を検出
5.フィードバック制御:原子の遷移を監視してマイクロ波発振器の周波数を調整する

かなりめんどくさいように感じる・・・

だって、量子遷移はものすごく不安定なものだからだ。原子が子が励起状態から基底状態に遷移する際、その過程は確率的で予測不可能です。個々の原子の遷移タイミングは不確定である。

しかし、遷移の伴う光子の周波数は非常に正確である。
量子力学的性質で、エネルギー準位間の差は量子化され、離散的で明確な定義である。原子の内部状態は環境の変化は影響しない。遷移周波数は安定していているし、統計的精度 つまり多数の原子を用いることで個々の遷移の不確定性を平均化して高精度な周波数の測定が可能になるのである。
ちょっと復習しよう。
そもそも時計とは、一定なものをみつける→その動きを数える→数えた回数を時間に換算する、ということであった。
原子時計による一定なものとは、セシウムの状態遷移である。電子がこのときに振動する1秒間に 9,192,631,770回(マイクロ周波数)が一定なら、これを数える→ めっちゃ正確な時計が出来上がるというわけである。
さきほどの手順は一定のものみつける手段である、セシウム原子は固有の振動数をもつことはわかっているものの正確な値は実はわからない
そこで周波数を変えながら照射して原子が最も反応する周波数を探すのである、ちょうどラジオの周波数をあわせる手順に近い。また遷移確率がある。
どうしたらエネルギー準位を変えるのかということである、だんだん空気中の湿度を増やしていって霧が出たら100%とわかるように、遷移確率が最大なところを探す、と。それが原子の共鳴周波数と一致していることがわかるという具合である、この共鳴周波数こそが、一定なものである。
この状態を保てば、1秒に何回振動するかわかっているのであるから、正確な時間がわかるということである。
どうしてここまで、正確さが必要なのかについては、いまさら感があるが、
それは一般相対性理論のせいである。重力の強さが異なる場所で時間の流れが変わるということを観察するためには、重力の誤差と時間の流れの誤差を測らないといけない。非常に正確なしかも重力に少しも影響を受けない時計が必要なのである。また、宇宙探査などでは信号の伝送時間は距離を測定するために用いられる。惑星間の距離とかである。ここでも超高精度な時計は必要となるし、さらに光ファイバーネットワーク、衛生通信システムでは数ナノ秒単位の誤差でも通信の品質に影響を与えてしまう。なのでシステム同期のための正確な時計が必要になるわけである。

光格子時計

 実はもっと正確な時計がある。セシウム時計は非常に正確なのだが、1億年に1秒の誤差がある・・・(ねぇじゃん ほとんど笑)
というより、新しい原理を発見してしまったのである。1990年代後半にはレーザー技術と冷却原子の研究が進展する中で、科学者たちは原子の振動を光の周波数で制御する新しい可能性を見つけてしまったのだ。光の周波数は電磁スペクトルの中でも特に高い。原子を光格子と呼ばれる微細な光のトラップに配置すると、原子は非常に低い温度で静止状態が保たれる。この状態でレーザー光を照射すると原子はレーザー光の周波数に応じたエネルギー状態の変化を示す。
では、光格子時計の使い方を説明しよう
1.ストロンチウム原子をたくさん用意する
2.レーザーで原子を冷やしてほとんど動かないようにする
3.特別な光をあてて原子を卵のパックのように並べる
4.別のレーザー光で原子を刺激して原子の中の電子の動きを観察
5.その動きを数える

この時計・・・3000億年ずれないそうである。
セシウム時計は温度制御や磁場遮蔽などのセットアップが必要で
光格子時計は高度なレーザーシステムと低温技術を必要としてそれぞれ高度な技術知識が必要である。まぁどっちもめんどくさいということである。

鉄道で使われる時計

時刻表は分刻みであるが、秒単位の精度の管理が必要である。
最初は、ウォルサム社製の懐中時計を使っていたそうで、それから、1929年には精工舎の時計が使われるようになり、1976年にクオーツモデルの時計になった。さらに1978年鉄道向け時計として耐磁性を有するものに取って代わり現在に至る。
日本標準時は原子時計が使われていて、これと同期をとりながら調整している。NICTは複数のセシウム原子時計と水素メーザーを使用している。UTC(世界標準時)と比較・調整されている。

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