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休養の日

語呂合わせで、社団法人日本リカバリー協会が9月8日に制定した。
リカバリーという言葉は、”遅れた分を取り戻す”という意味の回復でなく、休むということなのだろう。休養できないし、無理があとで祟る。
そう訝しんで、HPをみてみる

IT技術の発達で便利になり、1日に処理している情報量は格段に増えました。
交通手段の発達で便利になり、1日に移動している距離は格段に伸びました。
これからも我々の生活はますます便利になり、そしてますます忙しくなっていくことでしょう。

”忙しくなっていく”ことには対応しないのか。。。
なんか解決にならない気がするが、まぁ協会なりのお考えがあるのであろう。

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◯ハヤシライス
リカバリーの日の今日はハヤシライスの日でもある。
これは、丸善創業者の早矢仕有的が考案した、肉と野菜のごった煮にご飯を添えたものが有名となってハヤシライスと称されるようになり、いつしかレストランのメニューにもなったとする説がある。
別な説で、上野精養軒の林シェフが考案したとか・・・
そもそもハヤシライスとハッシュドビーフはどう違うんだ。
ハッシュドビーフのハッシュは、細切れという意味らしいが、コンピュータの世界のハッシュは細切れでない、というよりHash関数は一意に決まるものであり、印象が違う。内部では細切れにしているのであろう。Hash関数は引数が同じなら引数に応じた同じ値を返却する必要がある。(そうでないと役に立たない)。さまざまなデータはコンピュータの中でどこかに格納しておかないといけないが、再び取り出すときには、名前が必要である。それを言語的に名前をつけるより、処理しやすいように数値で保持しておくと処理がしやすい(コンピュータが)。データにつけられた別名のような数値のことをハッシュ値と呼ぶのである。ハッシュ化するのにHash関数が必要だということだ。
 だいぶ話がそれた。閑話休題、ハッシュドビーフはそのルーを指すものなのであろうか。。。そうだとしても、今度はビーフストロガノフとの違いがわからない。調べてみると、19世紀にロシアで生まれた料理で、製法は似ているが、最後にサワークリームを入れることが多いという・・・
 ビーフストロガノフも作り方がさまざまで、〇〇することが多いというのは誰かがレシピをどこかに登録しているわけではないからである。

◯洋食

洋食は日本料理である。西洋料理ではない。西洋から来たものであるが、日本で改良を遂げ、独自なものを生み出している。

En premier lieu, ne faisons pas l’erreur de confondre yôshoku et « cuisine occidentale », celle qui vient des pays occidentaux. Les deux présentent des nuances nettement caractérisées. Alors que la cuisine occidentale proprement dite s’élabore au Japon en respectant scrupuleusement sa forme originale, le terme yôshoku est en réalité surtout employé pour désigner un corpus de recettes familiales et populaires reconnues et consacrées comme telles, et les distinguer de la cuisine typiquement japonaise. Certes, la cuisine yôshoku tire son origine de préparations « à l’occidentale », mais elles sont adaptées aux goûts et aux arts de la table japonaise, jusqu’à devenir des créations typiquement nippones.
●nettement ... 明瞭に

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 洋食のモットーは、”ごはんに合う料理”を目指したことである。
元祖カツレツのぽん多本家もそうだ。とんかつがあまりにも有名になってしまったが、ぽん多はビーフシチュー、タンシチューもかなり有名で、とんかつはメニューの一つにすぎない。いずれも、ごはんに合うことが目的だ。
 洋食の”それ”からとんかつは分岐しているといっても過言ではなく、もはや洋食の中の一つというより、独自の路線、むしろ”天ぷら”に近い道を歩んでいるように思える。とんかつは、ごはんに合うというよりも、そもそも、ごはんとキャベツとセットである。(牛タンもテールスープととろろごはんと鉄砲漬はセットだ。。。)
 洋食のことを思うとき、2つのキーワードが自分には浮かぶ。ひとつはレンガの壁。もうひとつは、ハイカラという言葉である。当時のハイカラは、デミグラスソースのように、こなれて、ねれて、単なる当時の流行という枠を遥かに超えて現存する。レンガ造りの様相とあわせて、伝統や格式みたいな風格があるように感じる。そしてワクワクするのである。

明治倶楽部とて芝区桜田本郷町のお堀辺に西洋作づくりの余り立派ではないが、それでも可なりの建物があった、建物は今でもある、しかし持主が代って、今では明治倶楽部その者はなくなって了しまった

国木田独歩の「牛肉と馬鈴薯」の冒頭である。こんな文章を読むと、洋食がたまらなく食べたくなる。そのレンガ造りの場所に自分を置きたくなる。
どこか晴れやかで、贅沢な香りがして、それでいて郷愁まで感じることができる、自分にとっては洋食はそんな料理である。

しかし、先程、引用した記事はつづけて次のようにいう。

Claude Brunet parle même d’une question de santé publique: «En renonçant à leur culture culinaire classique, les Japonais ont développé de mauvaises habitudes alimentaires qui ont mené à l’obésité. Le gouvernement veut donc ramener la cuisine traditionnelle afin de leur assurer une meilleure qualité de vie.»
抄訳)
健康の問題として、日本は古典的な食文化を放棄して、肥満につながる悪しき栄養習慣を開発してきました。政府は生活の質を向上させるために伝統的な食事を再び取り戻すことを望んでいます。とクロード・ブルネットは語る。

ハヤシライスは、ドミグラスソースをライスにかけたものである。このドミグラスソースは、ほかの料理でも使うという。では、具体的にはなんの料理に使うのか・・・まず浮かぶのはビーフシチュー、ハンバーグ、、、うーん。あとはなんだ?
わからないので、Wikiをみてみよう

En cuisine, la demi-glace est une sauce réduite, réalisée à partir d'un fond brun, généralement de veau et parfois de bœuf, qui tire sa texture gélatineuse de la moelle des os utilisés dans le fond brun, et sa couleur de la caramélisation des viandes et des os préalablement au mouillage. On y ajoute parfois de la tomate et des aromates.
La demi-glace sert de base pour de nombreuses sauces.
●réduite ... ここでは、Faire évaporerの意味。煮詰める
●仔牛はveau 牛肉はbœuf cf 牛という動物なら vache
●mouillage ... 水で薄めること
●aromates ... 香辛料なのだが、辛いものはない方
  odoriférante appartenant généralement au règne végétal, plus rarement au règne animal, utilisée en médecine, en parfumerie et surtout en cuisine comme condiment(調味料)

ここの最後の”デミグラスは多くのソースの基本として使われます”ということはソースの元なのである。ここで、洋食は日本料理ということを思い出す。
中華料理では清汤にあたる。ベースのスープがあり、別のスープに使われる。

清汤多被用于进一步烹调其他汤或菜肴

でも、これは西洋料理でいうコンソメだ。日本料理でいう出汁だ。
さらにデミグラスソースは”作りたし”っていう技法を使う。
日本のタレの技法である。先述のように煮詰めて使うのであるが、

Lorsque son niveau de réduction est moindre, elle porte le nom de sauce espagnole. Lorsque son niveau de réduction est très élevé, elle porte le nom de glace de viande, d'où son nom « demi-glace ».

もともと、仔牛の骨からとったソースをエスパニョールソースといい、それを半分くらい煮詰めるのだ。完璧に煮詰めると煮凝り(glace)の状態になる。ここでは半分(=demi)まで減らすのでドミグラース(demi-glace)という名前になった

En gastronomie française classique, la demi-glace est considérée comme la reine des sauces.

ちなみに、本家の西洋ではいまではデミグラスソースはほとんど使わない。20世紀半ばで昔の料理の技法となってしまっているそうだ。
もともと宮廷料理であり、冷めても美味しくなるような味の組み立ての際には便利なソースだったが、普段使いでは濃厚すぎる。いまはニーズがないという話だそうだ。
けれども、タレの技法を知る日本では、これをごはんと合わせることで真価を発揮して、いまでも使われているというわけだ。鰻のタレのごとく作りたしでコクを尊ぶ心は、あらゆる料理の全体に伝統の味を染み込ませるのだ。

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私は上京して、一番いきたかった場所が、浅草のヨシカミという洋食屋さんだった。ヨシカミはハヤシライスが有名で、デミグラスソースは、ほかの料理で使うので、ハヤシライスに使う分は限られている。
ということで、早いもの勝ちという。
その言葉がどうも頭にひっかかって取れなかった。
上京して店にはいったものの、いまだにハヤシライスにはありつけてはいないのである。でも、それハヤシライス以外の料理も、とても美味しかったことを覚えている。

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デミグラスソースは寝かせると味わい深くなる。
ってことは、休養の日も相応しく思えてくるが、
どのみち食っちまおうって話だ。

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<来年の宿題>
・日本の洋食屋
・フランス料理の変化
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ぽん多のタンシチュー。

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