ITER
まずは、この記事はITERに登場願おう。
ITERとは、平和利用目的の国際熱核融合の実験炉である。
International Thermonuclear Experimental Reactorの略だ。
ちなみにまだ完成はしていない完成は2030年代になる予定だそうだ。
このプロジェクトには、日本、EU、アメリカ、ロシア、中国、韓国、インドが参加してる。オリンピックさながらの工学的プロジェクトであり、このプラントはまさに宝石である。それがフランス南部のサンポールレデュランスに建設中なのである。
原子炉なので、クライオスタット、トロイダル磁場コイル、フラックス変調器などが詰め込まれる予定だ。
・クライオスタットとは
すげぇ冷蔵装置である。極低温状態を維持するための装置で、冷凍機と真空容器からなり、超電導コイルの収納などに使う。天体観測などでは熱雑音を減らす役割も果たす。
・トロイダル磁場コイルとは
ドーナツ状のコイルである。核融合反応に必要な高温のプラズマを安定に閉じ込めるための磁場を発生させる。ITERの場合には 高さ16.5m 幅9m
の巨大なコイルだ。
・フラックス変調器とは
トロイダル磁場コイルを調整するために使う、さらには強く不安定なプラズマを安定を保つために動的に調整する役割も果たす
そして、マヨネーズなのであるが、
その前に基本を抑えよう。核融合炉の第一の課題はプラズマを生成しそれを維持することである、プラズマとは原子から剥ぎ取られた大量の荷電粒子が存在する物質の状態である。数千万度という温度に加熱されると、プラズマは燃料原子(トリチウムと重水素)が極めて激しく衝突し、あの核融合反応を引き起こす理想的な基盤となる。
プロズマを生成し制御下におくために、現在は2つのアプローチが存在する。1つめはITERで使用されている磁場封じ込めである。この種の装置では、超高温の荷電粒子の塊は、巨大な超電導コイルによって生成される磁場によって制御される。もう一つは、慣性封じ込めと呼ばれ、超強力なレーザービームで微小な燃料カプセルを爆撃する。これにより物質は途方もない圧力と温度になり、原子は融合可能なプラズマを形成することを強制される。
いずれの場合にしてもプラズマはとても繊細でつまりはめんどくさい存在であり、制御が非常に難しいのである。最大の問題は、悪魔のようなプラズマは大人しくとどまることが全くないことである。高温度の粒子の塊と比較的冷たい燃料の境界では安定を著しく乱す乱流が観察される物理学者はこれをレイリー・テイラー不安定性と呼ぶ。
この不安定性の解決がマヨネーズなのである。
実はこの問題は物理学ではなく、流体力学の問題である。
マヨネーズは、実は他の流体と異なる。通常マヨネーズは固体のように振る舞う。しかし圧力を加えるとまるで変わる。最初は可逆的に変形する、そしてすぐに不可逆的になる。物理学の専門用語ではこれを弾性変形から塑性変形と呼ぶ。ある閾値を超えるとマヨネーズは新たな変化をし流れ始め、レイリーテイラー不安定性が発生しはじめる。
研究チームにとって重要なのは、マヨネーズが弾性変形のフェーズから塑性変形のフェーズに移行する条件を正確に決定する閾値を測定することである。言い換えればマヨネーズが元の形状に戻れなくなり安定性がなくなる臨界点を特定することである。研究チームのアレン・ボヤチによれば、
「我々はレイリーテイラー不安定性の遷移基準を研究し、それがそのあとの相での摂動にどのように影響するかを調べた」と言う。さらに彼は「弾性回復が可能な条件を発見した」と付け加えている。
これらのデータは一見風変わりに見えるかもしれないが、核融合研究に携わる科学者たちにとっては貴重なものとなる可能性がある。理論上、いくつかのパラメータを調整するだけで、これらの結論を実験用核融合炉で生成されるプラズマにまで拡張することができる。もしそれが可能になれば、燃料カプセルの構造を適応させることで、プラズマ内での不安定性の発生を大幅に遅らせたり、さらには完全に抑制したりすることができる可能性があるのだ。
「その論文の中で、予測する挙動がこれらの数桁倍のオーダーに適用することを期待して、データを一般化した」
とバネルジーは説明する。「マヨネーズに関しての類似の実験を通して、高温高圧下で溶融したプラズマカプセルで何が起こるのかを予測可能性を向上させようとしている」
もちろん、マヨネースの振る舞い(調味料の流体研究)を一足飛びに核融合に当てはめることはできない。しかし、慣性封じ込め方式の核融合炉において、実質的な進歩をもたらす可能性があり、1歩前進だと言う。ITERは多くの技術的な規制上の困難があり、そのロードマップが修正されたばかりなのだ。
記事はここで終わっているのであるが、ちょっと専門家じゃないとわからないことが多い
まずは、マヨネーズを流体力学的に語ってみよう。次の9つの状況を考えることができる。
マヨネーズを流体力学する
1.エマルション形成:
マヨネーズは油中水型エマルションである。卵白に含まれるタンパク質(アルブミン)が乳化剤として機能し油と水(酢)を安定混合する
2.界面張力の低下:
卵白のタンパク質は界面活性剤として働き、油と水の界面張力を低下させる。これにより、油滴が細かく分散しやすくなる。
3.年度と剪断応力:
マヨネーズは非ニュートン流体であり、擬塑性挙動を示す。
と専門家は難しい言葉でいうが、ケチャップなどの液体の入ったボトルを静かに傾けてもなかなか出てこないが勢いよく振るとドバっと出てくる
あれのことだ。バターは固くて塗りにくいがナイフで塗るとサッと塗れる
これを数式で表すと、Power lawやHerschel-Bulkleyモデルという
ものを動かす速さによって硬さが変わるものを表そうというものである
4.粒子サイズと分布:
油滴サイズと分布→ 高度撹拌により、油滴のサイズが小さくなり、均一に分散している。このことがマヨネーズの安定性と粘度に大きく影響する。
5.レオロジー特性
マヨネーズは弱いゲル構造を形成し、弾性率が損失率を上回る。これにより半個体滴な性質を示す。(この言葉は思わず懐かしいという人もいるだろう)つまりは、3次元網目構造を持つ高分子からなる物体のことである。
まぁ、日常ではマヨネーズやプリンやゼリーを思い出せばよい
ほかにも流体力学できるのだが、今日はこのあたりで、、、(もう忘れたので復習してから追記します)
ここで、どうしてプラズマの状態を調べるのにマヨネーズが役に立つのか
振り返ってみよう。
どちらも、レイリーテイラー不安定性を示すということである。
そして、相変化の挙動を近似できる。マヨネーズは圧力勾配下で相変化を起こす固体的な振る舞いから流体的な振る舞いに変化する様子を観察することで、高温高圧のプラズマの挙動を模擬するのに役立つ
さらに、臨界点の存在がある。弾性変形から塑性変形に移行する臨界点があり、プロズマも同様に安定状態から不安定状態へ移行する臨界点が存在する。
このことにより、温度・圧力なしにプラズマの挙動を模擬でき、パラメーターを調整するときの参考値を得られ(る可能性があり)、不安定性を遅らせたり抑制したりできるのではないか・・・ということを記事は言っているのである。もう少し具体的に言おう。
◯燃料カプセルの設計改善に役にたつ(のではないか)
核融合炉の燃料カプセルの構造を最適化してプラズマの安定性を向上させる(可能性がある)
◯予測可能性
高温高圧でのプラズマの挙動を正確に予測(することができるのではないか)
◯慣性封じ込め方式への応用
の3点くらいか・・・
いずれも エマルションを形成しているところは似ている、つまり、密度の異なる2つの流体の界面で発生するこのレイリー・テイラー不安定性において、マヨネーズは油(低密度)と水(高密度)の界面がこれに該当するのである。つぎに、界面張力の低下は、この不安定性の発生を促しやすい。(同じような状態が観察できる)さらに粒子間の密度差によって引き起こすので、どのように粒子サイズと分布をうまく均一になるように誘導するかの研究ができる(かもしれない)。さらにゲル構造は、不安定性を抑制する(可能性がある)
難しく書いたが、流体力学的には、プラズマをマヨネーズで真似できるということである。