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ピッツァの日
まえがき
pizzaのマルゲリータの命名の由来となったマルゲリータ女王の誕生日を記念とした日である。
ピザに関することについて、続報をnoteしてみる
マルゲリータ
Selon la légende, le 11 juin 1889, lors de la visite du roi Umberto Ier d'Italie et de la reine Margherita à Naples, Raffaele Esposito, un maître pizzaïolo renommé, leur présenta trois pizzas différentes. Parmi elles, celle qui conquit le cœur de la reine arborait les trois couleurs du drapeau italien : rouge (tomates), blanc (mozzarella) et vert (basilic). C'est ainsi qu'elle fut baptisée "Margherita".
Cependant, des recherches récentes ont mis en lumière plusieurs points contestables dans cette histoire d'origine largement répandue. Il a été découvert que la recette de la Margherita existait déjà au moins trente ans avant cet événement. De plus, des documents datant de 1853 mentionnent déjà l'existence d'une pizza garnie de basilic, de mozzarella et de tomates. Il est également notable qu'aucune trace de cet événement n'apparaît dans les archives locales ou dans les chroniques royales de l'époque.
伝説によれば、1889年6月11日、イタリア王ウンベルト1世と王妃マルゲリータがナポリを訪れた際、ピッツァの名手として知られていたラッファエーレ・エスポージトが3種類のピッツァを献上した。中でも、イタリア国旗の三色を表現した赤(トマト)、白(モッツァレラ)、緑(バジル)のピッツァが王妃の心を捉え、これが「マルゲリータ」と命名された経緯を持つとされてきた。
しかし、近年の研究により、この広く知られた誕生秘話には複数の疑問点が存在することが明らかになってきた。マルゲリータという料理自体は、この逸話より少なくとも30年以上前から存在していたことが判明している。さらに、1853年の時点で既に、バジル、モッツァレラ、トマトを組み合わせたピッツァの記録が残されており、当時の現地記録や王族に関する報道にも、この出来事についての記載は見当たらない。
Le contexte politique de l'époque éclaire la naissance de cette légende. Le jeune royaume d'Italie devait renforcer le sentiment d'unité nationale, et la famille royale cherchait des moyens de se rapprocher du peuple napolitain, accablé par de lourds impôts. Dans ce contexte, l'histoire associant la "pizza", un plat populaire, à la famille royale, revêtait une signification politique particulière.
Aujourd'hui encore, la "Pizzeria Brandi", l'établissement d'Esposito, poursuit son activité. Une plaque commémorative y a été installée en 1989 pour célébrer le centenaire de cette appellation. Le 20 novembre, jour anniversaire de la reine Margherita, est même devenu la "Journée de la Pizza", témoignant de l'influence durable de cette histoire sur la culture contemporaine de la pizza.
Que cette histoire soit vraie ou non, elle est devenue un patrimoine culturel important symbolisant la cuisine italienne. La Margherita continue d'être appréciée dans le monde entier comme l'incarnation de la philosophie culinaire italienne, qui cherche à obtenir le meilleur goût à partir d'ingrédients simples. En tant que pizzaïolo traditionnel italien, je considère que la compréhension de ce contexte historique est aussi importante que la maîtrise des techniques culinaires.
この逸話が生まれた背景には、当時のイタリアが置かれていた政治的状況が深く関係している。新生イタリア王国は国民の統一意識を高める必要に迫られており、高い税負担に苦しむナポリ市民の心を掴むため、王室は様々な施策を講じる必要があった。このような文脈において、庶民の食文化である「ピッツァ」と王室を結びつける物語は、極めて政治的な意味を持っていたと考えられる。
現代においても、エスポージトの店である「ピッツェリア・ブランディ」は営業を続けており、1989年には命名100周年を記念したプレートが設置された。また、王妃マルゲリータの誕生日である11月20日は「ピザの日」として制定されるなど、この物語は現代のピッツァ文化に大きな影響を与え続けている
ナポリ公認
ナポリ公認というピザは2種類しかない。多くのピザの種類があるにもかかわらず、2種だ。すなわち、マリナーラとマルゲリータである。
しかもマルゲリータはマリナーラの亜流だ。ちょっと書いておこう。
ナポリピッツァの世界において、マルゲリータとマリナーラは単なる定番メニューではなく、ピッツァ文化の真髄を体現する重要な存在として君臨している。
まず、マリナーラの誕生は1750年頃まで遡る。当時のナポリでは、早朝から出港する漁師たちが、長時間の航海に耐えうる食事を求めていた。そこで考案されたのが、トマトソース、オレガノ、ニンニクという保存性の高い食材のみを用いたマリナーラである。その名の通り、「船乗りの」あるいは「海の」を意味するこのピッツァは、シンプルながらも力強い旨味を持ち合わせている。
一方、マルゲリータは、このマリナーラを基盤としながらも、より華やかな進化を遂げた逸品だ。1889年、ナポリの著名なピッツァイオーロ(ピッツァ職人)であるラファエーレ・エスポジートが、当時のイタリア王妃マルゲリータに献上したことでその名が定着した。赤いトマト、白いモッツァレッラ、緑のバジルという三色の配色は、イタリア国旗の色彩を表現しており、まさに国を代表するピッツァとしての誇りを内包している。
実際、ナポリの老舗ピッツェリアでは、初めて来店した客がマリナーラを注文すると、職人が身を引き締めるという逸話さえ存在する。なぜなら、マリナーラは贅沢な食材で誤魔化すことのできない、まさに職人の真髄が問われる究極の一枚だからである。
生地の適度な薄さと耳の膨らみ具合、トマトソースの酸味と塩味のバランス、薪窯で焼き上げる際の温度管理と時間—。これらすべての要素が完璧に調和してこそ、真のナポリピッツァは完成する。マルゲリータとマリナーラは、そんなピッツァ職人たちの技術と魂が凝縮された、まさにナポリピッツァの神髄と言えるのである。
この真髄を日本で再現しようと日本のピザの銘店は苦心している。
そのため、材料もとことんイタリアの材料を使う。
マルゲリータという単純にも思えるピザの価格がピンキリなのはこのためである。
価格を左右する最も重要な要素は、やはり材料の品質と原産地だろう。特に水牛のモッツァレラチーズ(ブッファラ)の使用は、味わいに決定的な違いをもたらす。その芳醇な香りと、口の中でとろけるような食感は、一般的な乳牛のモッツァレラでは到底実現できない豊かさを持っている。また、イタリア産の厳選されたトマトソースは、太陽の恵みを たっぷりと受けた果実本来の甘みと酸味のバランスが絶妙で、ピザの味の骨格を形成する重要な要素となっている。
製法においても、価格差を生む大きな要因が存在する。長時間発酵させた生地は、複雑な旨味と深い香りを持ち、薪窯での焼成によって生まれる香ばしさは、電気窯では決して再現できない魅力がある。熟練の職人による手作業は、機械製造では出せない、生地の適度な焼き加減とモチモチ感を実現している。
これらの要素を具体的な価格帯で見ると、スーパーの冷凍ピザは300-500円程度、一般的な宅配ピザはMサイズで1,990-2,140円、本格的なピッツェリアでは2,000-3,000円以上と、明確な階層性が存在する。この価格差は、単なる材料費の違いだけでなく、各店舗の経営方針や提供形態にも大きく影響されている。原価構成を見ると、食材原価が27-30%、人件費が20%、物流コストが10%、その他経費が10-15%という内訳になっており、これらが複雑に絡み合って最終的な販売価格が形成されている。しかし、真のマルゲリータの価値は、単なる数字では測れない。それは、伝統と革新が融合した、まさに美食の芸術品と言えるだろう。
原材料だけではない。窯もイタリアから輸入する徹底ぶりだ。
ピザ窯の名器とも言えるステファノフェラーラについて書いてみる。
ステファノフェラーラ
ナポリピッツァの真髄を語る上で、ステファノ・フェラーラの存在を避けて通ることはできない。3世代にわたってナポリで薪窯を製造し続けてきた老舗メーカーであり、その伝統と技術は世界中のピッツァ職人たちを魅了している。
特筆すべきは、その製造過程における妥協のなさだ。プレハブ工法を一切使用せず、職人たちが一つ一つのレンガを丹念に積み上げていく様は、まさに芸術的な域に達している。窯の構造も実に緻密で、外枠には耐火煉瓦を採用し、内部には岩土とガラス片を耐火セメントで固定。さらに興味深いのは、中間層にソレント半島の海岸の砂を使用し、保護層には薪の高熱からの劣化を防ぐための塩の層を設けている点だ。この複雑な層構造こそが、理想的な焼成環境を生み出す秘密となっている。
実際の焼成性能も驚異的だ。炉内温度約500℃、炉床温度450℃という高温環境で、わずか60〜90秒という短時間で完璧なピッツァを焼き上げることができる。この温度管理と焼成時間のバランスは、長年の経験と技術の結晶と言えよう。
世界的な評価を見ても、その卓越性は明らかだ。イタリア国内はもちろん、ヨーロッパ、アメリカ、カナダ、アジアと、世界中のピッツェリアから絶大な支持を得ている。特に印象的なのは、多くのピッツァ職人たちの間で「最終的には必ずこのステファノ・フェラーラの窯に戻る」と言われている点だ。これは、他の窯を使用した経験を経てなお、その優位性が揺るがないことを如実に物語っている。
各窯が手作業で製造される一点物であることも、ステファノ・フェラーラの大きな特徴だ。それぞれの窯に独自の個性が宿り、職人とともに成長していく。これこそが、Made in Italyの誇りと技術の結晶であり、世界最高峰の窯メーカーとしての地位を確立している所以なのだ。真のナポリピッツァを追求する者にとって、ステファノ・フェラーラの窯は、憧れであり、また到達すべき一つの理想として存在し続けている。
日本でこの窯を利用している店舗は以下の通りである。
ダ・ミケーレ(恵比寿)
ピッツェリア・ダ・アオキ(代々木上原)
スポンティーニ(各店舗)
ピッツェリア イル・トラムワイ(神楽坂)
あとがき
ピザに関するこだわりはなんだか、日本そばのようであるように感じた。
もちろん、生地にもこだわる。次回はピザ生地について、加えてイタリアの職人について書いてみたい。