カッシーラ
まえがき
上記はカルダーノについて触れていて、
さらに、E.カッシーラは、この時代の自然学の柱として、”世界有機体”すなわち、この世界・宇宙を一つの生き物だと捉えてるのだと説明しているとしている、さらにミクロコスモスという流れで、畳のヘリを数えることで、畳にかすらせている。
今日という日にちなんでいないが、カッシーラについて書いてみようと思う。
E.カッシーラ
カッシーラーは20世紀を代表する哲学者の一人で、その思想は現代においても重要な意義を持っています。カッシーラーの哲学の中心にあるのは「シンボル形式」の概念だ。彼は人間を「シンボルを操るもの」と定義し、言語・神話・宗教・芸術・科学などの文化現象を「シンボル形式」として捉えました。これは、人間の認識や世界理解のあり方を包括的に分析しようとする試みた。
これを現代思想の目線で箇条書きにまとめると
文化の多元性への着目: カッシーラーは様々な文化現象を同等に扱い、それぞれの固有の論理を明らかにしようとした。これは文化相対主義的な視点の先駆けである
認識論の拡張: 従来の認識論が主に科学的認識に焦点を当てていたのに対し、カッシーラーは神話的思考や芸術的表現なども含めた幅広い認識のあり方を探った。
象徴的思考の重視: 人間の思考や文化をシンボルの操作として捉える視点は、後の構造主義やポスト構造主義の思想にも影響を与えた。
科学哲学への貢献: カッシーラーは科学の歴史や方法論にも深い関心を持ち、科学的思考の本質を探究し現代の科学哲学にも通じる視点を持っていた。
人間性の探究: 晩年の著作『人間』では、人間の本質を多角的に考察しており、これは現代の人間学や文化人類学にも影響を与えていり。
カッシーラーの思想は、文化の多様性を認めつつも、人間の認識や表現の普遍的な構造を探ろうとする点で、現代のグローバル化した世界においても重要な示唆を与えてくれている。また、彼の学際的なアプローチは、現代の複雑な問題に取り組む上でも参考になる。
具体的にどんな哲学者に影響を与えたかというと
科学的なアプローチというところで、トーマス・クーン、
そして、学際的アプローチというところで、ガストン・バシュラールがあがる。
実は上記のように説明されるのであるが、わかりにくいのではないだろうか、、彼がどれだけすごいかが全然伝わらない。
シンボル
カントの理性批判を文化批判へと発展させた功績が、あまりにも大きい。
各論があまり多くないので、伝えきれないが、まずはカントのカテゴリーという概念がある。物事を認識する土台となるテーブルのようなものである。
カントはこのカテゴリーを12提示しているが、カッシーラはもっと柔軟に押し広げ、自然科学的な認識から文化に焦点をあてたのだ。
言語、神話、宗教、芸術、科学、歴史、政治、技術と広範かつ多様性がある哲学を展開した。シンボルが多岐にわたって互いに関連しながら、人間文化全体を形成していると考えた。こうしてみると、構造学者の記号論を想起してしまうが、カッシーラは
言語:言葉を使って世界を表現する
神話:物語を通じて世界を理解する
芸術:絵画や音楽で感情や思想を表現する
科学:数式や理論で自然現象を説明する
という具合で考え、それぞれに道具みたいにシンボルがある
その文化、世界認識の方法を構造としてみたのである。
なんだろう、私の業界で昔流行ったオブジェクト思考の汎化みたいなメカニズムである具象から抽象へとシンボル化されていく構造をもって物事が認識されることを説いた。
記号論と異なる点は、この認識論的構造の部分で、カッシーラが能動的に認識を構成していいくのに対し、記号論はもっぱら共時的な分析に重点をおいたところに違いがあるのである。
違いがあれど、その後の構造主義の文化的流れから、実は記号論が目指すところも同じようなものと私には思われる。このあたり(シンボルと記号の違い)は、また別に書こうと思う。
畳のシンボル
畳は奈良時代まで、遡る日本の歴史的なシンボルだ。
単なる床材を超えて伝統行事や茶道などの文化と結びついている
和の雰囲気の重大な構成要素の一つである
自然との調和も自然を尊ぶシンボルになっている
建築様式によって、設計単位ともなっている
あとがき
来年はガストン・バシュラールについて書いてみよう