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国際海洋デー

かつて足を踏み入れた砂浜は、
まるで遠い記憶の中の場所のように、
現実とは異なる時間軸を刻んでいる。

そこに立つと、時間の流れが遅くなり、
周囲の世界が静まり返る。
心の奥底に秘めた願望が、海の潮風にさらされて、
何処か懐かしい郷愁として胸を満たす。

この海にまた行きたいという思いは、
ただの感傷に過ぎない。

自分は海の香りに囲まれた
場所が故郷である

近くでは潮の匂いがたち
海産物の饐えた臭いも混じる場所を踏み越えて 
砂浜に立ち入る

砂浜に立ち入ると
臭いの雑踏を超えられるのである

生命が生まれくる場所のような気がした

中学、高校時代はそうした港まで
一人で自転車で出かけていた

しばらく忘れていたが
そして目をつぶっていたが、
紛れもなく
それが自分の青春の匂いなのだ

それは、けっして
楽しくない、華やかさも 爽やかでもない

どこか物憂げでなにかを探して、
あるいは誰かを求めては彷徨う自分の姿を
波に散らす場所である

海は人類の起源と深く結びついている。ガストン・バシュラールは
水の元素がもつ想像力の豊かさを「水と夢」の中で詳細に分析した。
彼にとって、水は無意識の象徴であり、人間の本能や原初的な欲望を映し出す鏡なのである。

我々の祖先が海から陸へ進出した過程を考え、海は我々の生物的起源の場である 我々の意識の深淵に海で過ごした時期の記憶が宿っているかのようだ。
エコロジー思想を提唱するフィリップ・デュアメルは自然界の一部としての海が私達の存在をどのように映し出すのか探求している。「自然と対話」という著書の中で、海が地球の生命維持システムの一環であるとデュアメルはいう。

La mer, partie intégrante des systèmes de maintien de la vie sur Terre, fonctionne non seulement comme un vaste réservoir de biodiversité, mais aussi comme un espace essentiel pour l'existence individuelle des organismes. Elle régule les climats, fournit de la nourriture et des ressources, et est un lieu de rencontre pour la diversité génétique, ce qui est crucial pour l'adaptation et la survie des espèces dans un environnement en perpétuel changement.

海は単なる地理上の場所以上の意味を持っている。それは人間が自己をみつめ、内面の声に耳を傾ける場所であり、本能や深層心理が顕在化する場所であるとも言えるだろう
海は古来より人類の精神的な探求の対象であり続けてきて、そして未だに答えてもくれていない莫大さを持っている それが神秘だと表現しようが、美しさと表現しようが、海をみて 私のようにどうしようもなくイライラしたり、多くの人のように惹きつけられるのは同じ海の持つ力によってなのである。

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