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麻衣
2020年4月5日 00:15
玄関を開けると、母がランタンを持って佇んでいた。初夏の匂いがする。この匂い、東京では決して嗅ぎえない。だから、正確には初夏の地元の匂い。母のそばに駆け寄り、歩く。時々たわいもない言葉を交わす。黙ることもある。 空。やっぱり地元の空は一味違う。青と紫を溶かしたような色。西の空にはまだ明るさが尾を引いている。東の地平線近くは闇が迫っている。巨大な雲が、その隙間から模様を描いて