Piyoko-Labo イラスト担当・陽菜ひよ子です。
「生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」
この展覧会のレビュー、ずいぶん前に書き始めたのに、気づけば会期もだいぶ前に終了。。。すみません。
モンドリアン展の開催された豊田市美術館について、わたしは拙著『ナゴヤ愛 地元民も知らない魅力』(秀和システム)にこんなふうに書いています。
どれほど行き慣れた美術館でも、好きな美術館に行くときには、居住まいをたださねばと思います。特にこの豊田市美術館にはそんな「特別感」があるのです。こうした気持ち、美術館好きにはわかってもらえるのではないでしょうか。
ひときわ目立つ地平線
モンドリアンは初期にはたくさんの風景画を残しています。でもその作品は初期から一貫して、奥行きのある絵はほとんど描いていないのですね。絵の中央から少し上に地平線が広がる風景画、そんな印象です。それがのちのコンポジションの世界につながるのが、すごくわかりやすかったです。
色彩に関しては、コンポジションの黄色・赤・青の三原色の印象が強いのですが、キュビズムの影響を受けた初期には、下記のようなパステルカラーの作品も多く残しています。
誰かの影響を受けたことを、そのままわかりやすく表現しています。印象派の影響もすごく受けているし、特に好きな画家であるセザンヌ風の絵は見てすぐにそれと気づきました。
印象派の中にコンポジション
印象派らしい色づかいなのに、ドーンと真ん中に描かれた平面的な建物の屋根や窓やドアが「分割」され、まさに「コンポジション」になっている作品の前では、思わず「おお!」と声が出てしまいました。
「三つ子の魂百まで」と言いますか、その人の本質や核になるもの、つまりその人らしさってものは、そうそう変わるもんではないのだなぁ!とひたすら感心。
点描作品でも有名ですが、彼の場合フランス(新印象主義)の画家の影響はあまり受けておらず、同じオランダ人画家であるゴッホ、ヤン・トーロップや分割主義(ディヴィジョニズモ)の影響を強く受けているのだそうです。
デ・ステイルとミッフィー
それから、オランダの抽象美術運動「デ・ステイル」での活動。
モンドリアンは絵画だけでなく、論文やコラムなどの才能も発揮するんですね。自分の芸術世界を理論で語れるって、本当にすごいと思います。
そんな中で生まれたコンポジション。この一連の作品は絵画だけでなく、後のカルチャーに多大な影響を与えます。
同じオランダを代表するデザイナー兼絵本作家のディック・ブルーナ氏も、デ・ステイルの影響を大きく受けていることは、こうして並べてみれば歴然。
ただ、デ・ステイル主導者のドゥースブルフとモンドリアンは次第に対立するようになるんですね。ドースブルフは絵画よりも建築を重視し、1924年には垂直と水平だけでなく、対角線を導入した要素主義(エレメンタリズム)を主張しました。そのため、モンドリアンは、1925年にグループを脱退してしまいます。
この家の内部が動画で紹介されていて、すごく楽しかった。部屋のドアや窓などがモンドリアンのコンポジションそのもの!
モンドリアンがあふれる世界
上記にも書いたように、モンドリアン、建築やデザインだけでなく、インテリアやファッション、絵本、ゲームまで、本当にありとあらゆるカルチャーに影響を与えているんですね!
ずっと世界的に流行してきた北欧デザインの次は、ダッチデザイン!とも言われているそうです。
これ、マジで着たい!
この時代の人たちは、二度も大きな大戦があって大変でしたね。
館内とグッズ販売
館内は相変わらず素敵でした。
グッズは絶対欲しかったので、平日なのに混んでたミュージアムショップにも並んで購入。ピンバッジと一筆箋。
《みどころ》